中村悠平

相川が骨折してチームから離脱してしまった今、ヤクルトファンの目が彼に注がれている。そうである中村悠平捕手にである。
福井商業時代から注目され08年のドラフトでヤクルトに3位指名された選手である。捕手というポジションは他のポジションに比べ非常に特殊なポジションである。1軍に不動のレギュラー捕手がいる場合出場機会はほとんどなくなってしまう。そのため注目されてプロ入りしても大成しない選手は山ほどいる。そんなこともあって私は、高卒の捕手がヤクルトにドラフト指名されても他の選手に比べてあまり期待しないようにしている。捕手というポジションはそれほど難しいポジションである。中村についても超高校級の捕手という評価は聞いていたが、それほど注目していなかった。
しかし1年目のシーズンから注目せざるを得ないような活躍を見せてくれた。いきなり2軍でレギュラー捕手となり3割を超える打率を残したのだ。こんな高卒ルーキー捕手は滅多にお目にかかれない。そしてシーズン終盤には1軍のゲームにも起用され、巨人戦では脚のスペシャリスト鈴木の盗塁を刺すなど強烈なインパクトを残してくれた。
その後の2年間も1軍での出場はわずかなものだったが、2軍ではしっかり出場を重ね実戦経験を積んでいった。中村の一番の長所というとやはり強肩を活かしての盗塁阻止ということになるのだろうが、その他にも捕手らしいたたずまいと大人びた雰囲気を持っていることも捕手として大きな武器となるだろう。そして何よりバッティングにも期待できるという所が、ヤクルトファンをよりワクワクした気持ちにさせてくれる。
古田の活躍ぶりをリアルタイムでずっと見てきた私のようなヤクルトファンは、古田に匹敵するような捕手の登場を心待ちにしている。強肩でバッティングセンスのある右打ちの捕手。中村悠平は大物捕手への階段を登りはじめていると私は考える。

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