第89回箱根駅伝を振り返ってみたい。今年の正月は、結婚して初めての正月ということで今までのように勝手気ままに過ごすことは出来ず、復路はほぼ見れなかったのだが振り返ってみたい。
優勝 日体大ー昨年19位に沈み、予選会を経ての優勝である。戦前から戦力的には整っていると感じていたが、優勝という結果は正直予想外だった。本田、服部、矢野の三本柱はもちろんなのだが、その他の選手も実力を出し切って走れていたのではないだろうか?ブレーキが全くない完璧な駅伝を見せてくれた。
特に5区の服部は強い向かい風の中素晴らしい走りを見せてくれた。高校時代から注目され、大学に入ってからも結果を出し続けている選手だが、今回の箱根の走りで精神面の強さも感じることが出来た。3年生でキャプテンを任せられるだけのことはあると感じた。
30年ぶりの総合優勝ということで見事な復活劇である。
2位 東洋大学ー改めて柏原という選手の偉大さを実感できる結果となってしまった。それでも「敗れてなお強し」という印象を持った人も私だけではないだろう。8区の大津をはじめ、復路はイマイチ伸びなかった印象もあるが、大きなブレーキなく走りきった。1区田口の積極的な走り、設楽兄弟の向かい風の中でも結果を出す強さには個々の能力の高い選手がきっちり育っている印象を抱いた。特に3区設楽悠太の大迫を抑えての区間賞には驚いた。
5区の定方は、柏原の後を継いでの5区だったが、ほぼ実力通りの走りを見せたのではないだろうか?過酷な区間ではあるが、来年に繋げてほしい。
3位 駒沢大学ー往路の不振が全てだったが、ここも復路優勝を果たし3位に盛り返すなど選手層の厚さは充分に見せつけてくれた。
往路は、2区窪田が思ったよりも伸びなかった。強さと速さを兼備したランナーの印象があったので意外だった。4区湯地の大ブレーキも痛かった。またいつも5区をきっちり仕上げてくる駒沢のことなので村山もかなり走るのではないかと予想していたが、風に苦しみ区間8位の平凡な成績に終わってしまった。
それでも復路で6区千葉、9区上野、10区後藤田が4年生の意地を見せて区間賞を獲得して見せた。往路9位からの追い上げは地力がある証拠である。
4位 帝京大学ーここも実力を出し切った結果が総合4位に繋がった。以前「ファイヤーレッド旋風」などと言われた時代は、個性的なランナーが個々の力で良い流れを作り出し、その他のランナーで粘る印象があったが、中野監督就任後の帝京大は、総合力で勝負できるチームに生まれ変わった。課題になると思われた5区、6区の特殊区間もきっちり上位で走り抜けた。それにしても4位という順位には驚いた。
5位 早稲田大学ーここは順位だけを見るとイマイチな印象が残るが、復路でよく粘った印象である。往路は何とか2位に食い込んだが、主力5人を並べただけに本来は、往路優勝を狙いたかったのだろう。結果論になってしまうが、1区前田の出遅れがあまりにも痛かった。3区大迫、5区山本にもう少し楽な展開でタスキを渡したかったというのが本音ではないだろうか?それでも復路の粘りは近年の早稲田大学を象徴するような走りだった。
6位 順天堂大学ー2年連続でシード権を獲得し、低迷期をようやく乗り越えた印象だ。1区~3区で下位に沈んでしまい、厳しい状況に追い込まれたと感じていたのだが、4区田中が見事な走りを見せ区間賞を獲得し、立て直すと後のランナーは、きっちり走り6位に食い込んだ。エース田中が4区に回った時点で厳しいのでは…と感じていたが、総合力で繋いでくれた。チームの起爆剤となるようなエースが誕生すれば再び上位争いに顔を出せるチームになりそうである。
7位 明治大学ーここは、9区、10区のブレーキで大きく順位を落としてしまった。5区大江にももう少し区間上位で走ってほしかったところだろう。復路でも8区までは2位争いをしていただけにもったいたなかった。1,2年生に有力ランナーが多く来年からが楽しみなチームだが、そのためには5区をきっちり走れるランナーを擁立しなければならない。山登りさえクリアできれば来年は優勝候補と見て良いだろう。
8位 青山学院大学ー1区遠藤の出遅れが痛かったが、それでも8位に入ったことに意味があるのではないだろうか?ここ数年で本当に地力が付いてきた。出岐が10区で区間上位にも入れなかったことを考えると、戦術的な起用というよりは、やはり2区に使える目途が立たなかったと考えるべきだろう。その中で2区大谷が区間5位の走りで挽回するなどきっちり見せ場は作ってくれた。ここも下級生に強いランナーが多いので来年は本当に優勝を狙える戦力が揃うだろう。久保田が大エースに成長しそうな点もプラスポイントである。
9位 法政大学ー今大会で最も大きなサプライズを見せてくれたのがこの法政大学だろう。注目のランナーは1区の西池くらいかと思っていたのだが、その西池が3位でタスキを渡すと、4区黒山が区間3位、5区関口が区間2位と素晴らしい走りを見せてくれた。波は激しいものの乗ったら怖い法政大学は見ていて非常に面白いチームだ。このチームのサプライズは何度か見てきているがいつも心地よい気分にさせてくれる。
10位 中央学院大学ー2区藤井でもっと稼ぎたかったと思うのだが、復路でよくシードラインまで持ってきたなという印象である。ここも時々上位に顔を出すイメージなのだが、徐々に力を付けている印象である。高校時代から実績のあるランナーが少ない中でエース級のランナーを育て上げるチームカラーは独自路線を歩んでおり非常に面白い。川崎監督の手腕に今後も注目していきたい。
シード以外のチームでは中央大学、城西大学の途中棄権が残念だった。2チームともに5区での棄権ということで向かい風が強い過酷な条件でのレースを実感させる出来事だった。5区の距離については、以前の距離に戻す方が良いのではないだろうか?最も過酷なコースが最も長い距離を走らなければならない現行のコースはどうなのだろう?現在の距離に変更された経緯もよく分からないものなのでもう一度考えなければならない時期に来ているのではないだろうか?
中央大学は個人的に応援していただけに特に残念だった。2区新庄翔太はフラフラになりながらの大ブレーキ、5区野脇は低体温症ということだったが、体調管理に失敗したという面もあったのだろうか?来年に向けて予選会からのスタートとなる。決して楽な道のりではないが、きっちり出場権をもぎ取ってもらいたい。
今大会のように往路で強い向かい風が吹くと前半で下位に取り残されてしまったチームは非常に厳しい中でのレースになってしまう。「箱根駅伝」という大会の難しさ怖さを実感する第89回大会だった。
最近の大会の流れとしては、5区でしっかりタイムを稼いで復路はマイペースに走ってそのリードを保っていくという流れである。今後も現行コースで行われるようなら「山を制する者が箱根を制す」状況が続きそうである。個人的には5区の距離は以前の距離に戻してもらいたい。
それにしても日体大の優勝は見事でした。おめでとうございます。来年は優勝候補の一角としてまた箱根を盛り上げてもらいたいものです。
1年に1回のこの大会をこれからも楽しみたいと思います。
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