今回のオリンピックでも上村は素晴らしい滑りを見せてくれた。オリンピックという大舞台でこれだけ自分の実力を高いレベルで発揮し続けられる選手もそんなにいないだろう。
これまでのオリンピックでの成績は、長野7位、ソルトレイクシティ6位、トリノ5位、バンクーバー4位、そして今回のソチが4位と驚異的な安定感である。しかしメダルには後一歩及ばなかった。長野はともかくその他の4大会においてはメダルを獲得していてもおかしくないような出来のレースばかりだったように記憶している。(もちろん普段モーグルという競技を見ていない素人が見ての感想だが…)
今回のモーグル競技、予選、決勝の2本を滑る方式ではなく予選1回目、2回目、準々決勝、準決勝、決勝と最大で5回のレースを行う方式に変更されていたことすら私は知らなかったのだが、この方式で決勝に残ったことにも上村の確かな実力を感じさせた。
準決勝では6位ということでギリギリの順位で決勝に残ったため、決勝は1番滑走ということで少し不利な部分もあったのかもしれない。ターン点がもう一つ伸びなかったのは1番手の選手は基準点になるためあまり高い点数を付けられなかったという部分があったのかもしれない。(完全な素人目戦ですが…)それにしても銅メダルを獲得したハナ・カーニーよりターン点が低かったのは少し疑問にも思ったが、カーニーは数年前から絶対女王としてモーグル界に君臨しており、審判団にもしっかり「カーニーは素晴らしい選手」という印象を残していたことが銅メダルに繋がったのではないだろうか?これが採点競技の面白さであり難しさなのだろう。(フィギュアスケートで日本では高橋が、ロシアではプルシェンコが代表に選ばれたのもこの辺の印象度の重要性を示しているのではないだろうか?)上村にとってはバンクーバー大会以上にメダルに近付いた4位だったのではないだろうか?
それにしてもこの上村の長年に渡る活躍ぶりには驚かされる。正直長野で7位になった時は可愛らしい現役女子高生ということでアイドル的な扱いを受けていたのだが、上村はその扱いに流されることなくストイックに競技に向き合ってきた。いつの間にか「可愛らしい女性選手」というよりは「カッコイイ女性選手」の代表となったのではないだろうか?
モーグルという競技はまだまだ新しい競技であり、長野大会から比べるとエアを中心にかなり進化してきている。その進化の中で5大会連続入賞という記録はやはり素晴らしい。長野で金、ソルトレイクで銅と2つのメダルを獲得した里谷の勝負師的感性も素晴らしかったが、その里谷と対照的な上村の姿はモーグル界の人気を支え続けてきた。上村は今回のオリンピックでオリンピックは最後にするというニュアンスのコメントをしていたが、素晴らしい後輩が複数登場してきている。皆上村の攻める姿勢、ストイックな姿勢を見て育ってきているはずである。そういう意味では次回のオリンピックの女子モーグルも注目できる競技となりそうだ。
P.S 上村のオリンピック後の言葉には印象深いものが多いような気がします。特にトリノ大会後の「一体どうすればオリンピックの表彰台に上がれるのか。謎です。」バンクーバー大会後の「何でこんなに1段1段なんだろう。」は印象深いです。今回の「メダルは獲れなかったけどすがすがしい気分。」というコメントも応援していた人々の胸に響く言葉だったのではないでしょうか?
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