プロ野球・巨人の鈴木尚広外野手(38)が今季限りで引退することが13日、球団関係者への取材でわかった。同日午後に記者会見を開いて表明する。
鈴木は1996年のドラフト4位で福島・相馬高から入団。20年目の今季は主に代走の切り札として44試合に出場し、12年連続2桁盗塁となる10盗塁を決めた。クライマックスシリーズ第1ステージでチームが敗れたあとに引退する意向を固め、球団側に申し入れたという。通算成績は打率2割6分5厘、10本塁打、75打点、228盗塁。
(朝日新聞デジタル引用)
このブログでも何度か書いているのだが、私は巨人のことが好きではない。しかしこの選手は大好きな選手…というよりヤクルトファンからすると非常に怖い選手だった。一芸に秀でた「足のスペシャリスト」だった。
日本のプロ野球界は「足のスペシャリスト」と呼ばれる選手は意外と多いのだが、その中でもこの鈴木尚のスピード、盗塁技術、走塁技術は群を抜いていると思う。「原巨人」の切り札の1つだった。ゲーム終盤代走として出場するだけで球場の雰囲気を変えられる特別な選手だった。通算盗塁数228という数字も立派な数字なのだが、常に警戒される場面での出場だったにも関わらず盗塁成功率.829という数字を残していることは驚異的である。相手が絶対に走ってくると分かりきっている場面でも盗塁を決める姿はまさに「スペシャリスト」の姿そのものだった。
この鈴木尚広は1996年に相馬高校からドラフト4位で巨人に入団しているのだが、当時の巨人は、非常に歪なチーム作りを行っており、ドラフトで獲得した選手についても1年目から即戦力で使えなければほとんど2軍で埋もれてしまうような育成を放棄したかのようなチームだった。そのためこの時代に高卒で巨人に入団した選手が1軍に定着することは至難の業に近かった記憶がある。鈴木尚もそんな選手の中の1人なのかな?と思っていたのだが、原監督に見出され、自分の武器であるスピードを徹底的に磨き上げたことでチームになくてはならない選手となり、長年巨人を支えて見せた。
90年代前半からFA制度やドラフト逆指名制度などが始まり、巨人はいわゆる大物選手をかき集め、野手陣も長距離砲を何人も配置した重量打線を売りにしていたのだが、そんな時代に自分の武器であるスピードで成り上がった鈴木尚はやはり偉大な選手であり、特異な選手だと思う。
先日のCSで田中健二郎に牽制で刺されてしまった場面は、衝撃的だったのだが、正直まだまだ衰えは感じない中での引退劇となった。それでもこの幕引きもいかにも職人鈴木尚らしくて格好良く感じる。プロ野球史に残るスペシャリストだった。
P.S 「足のスペシャリスト」であることは間違いないのですが、守備、打撃も一定のレベルにはあり、タイミングが合えば長年レギュラーを張れるだけのものを持っていた選手だとも感じます。巨人だからこそここまで強烈に輝くことが出来たのかもしれませんが、他球団でプレーしていたらまた違う存在になっていたのかもしれませんね。
にほんブログ村
コメント
巨人も嫌いだし、鈴木も嫌いだったな。本当に厄介な選手でしたから(笑
引退には驚きましたね。まだ普通に戦力でしょう。ただ去年に高橋監督が引退して一気に若返りを図る空気があるのかななんて感じます
まさに走塁のスペシャリスト!鈴木がいなければここまで原巨人が何度も優勝出来なかったのではないでしょうか?
ただ他チームならもしかしたらレギュラー取り盗塁王を取るという可能性もあった
それでもこの通算盗塁数と成功率は記録の上でも偉大ですね
> saboさんへ
盗塁だけが走塁のスペシャリストではないということを示した選手でもあったように感じます。常勝チームの切り札としてなくてはならない存在でしたよね。
ホントに盗塁だけでなく走塁全般に関してのスペシャリストでしたね
1ヒットで1塁から3塁まで行く力
本塁でキャッチャーを掻い潜るスライディング
野球の足は身体能力だけでなく技術あってのものだと魅せてくれる選手でした
> saboさんへ
そうですね。歴代№1のランナーなのではないでしょうか。