広島との差は想像以上に大きいのか？

ヤクルト１－２広島

野村ヤクルト時代から受け継がれていた戦力がなくても「巧い野球、相手から嫌がられる野球」で勝利を重ねていた時代が完全に終焉したと感じたのは、2013年辺りだっただろうか？そこからは、小川監督、真中監督が野村監督とはまた一味違ったアプローチでチーム作りを行っている。2015年にリーグ優勝を果たしているため、一定の成果は挙げているのだが、今日のようなゲームを見せられてしまうと野村監督時代を知るファンにとっては寂しく感じるものもあるのではないだろうか？守備力、走塁力、試合中の判断能力という面で、広島との差を感じるゲームとなってしまった。

今日の小川の投球は素晴らしかったと思う。ストレートの球速も出ていたため、本来のストレートとフォークを軸にした投球を披露してくれた。しかし2回の失点シーンは非常に持ったいなかった。2アウト１，３塁で8番バッター石原をカウント０－２と追い込んでいた場面で広島は1塁ランナーを動かしてきたのだが、ここでバッテリー間でのサインミスがあり、結局ダブルスチールという形で先制点を許してしまった。小川が中村の返球をカットするサインを見落としていたようなのだが、小川だけでなくこの場面でそういったサインを出した中村にも責任はあるように感じる。回はまだ2回と浅く、石原を追い込んでおり、次の打者はピッチャーの岡田である。普通に盗塁を許したとしても慌てる場面ではない。リスクを最小限にとどめて良い場面だったと思うのだが、中村が送球して小川にカットさせることにどれほどの意味があったのだろうか？偽投だけでも良かったように感じるのだが…結局ミスで先制点を与えてしまい、石原にもタイムリーを浴びてしまった。正直点の獲られ方としては、最悪に近い形だったと思う。いつまでも古田と比べてしまうのは、私くらいの年代のヤクルトファンの悪い癖なのかもしれないが、捕手古田であればあり得ないような失点場面だったことは間違いないと思う。

そんなことを書いてしまったのだが、私は、小川ー中村のバッテリーが大好きである。ヤクルトが最下位に沈んでしまった2013年、ルーキー小川とまだ相川からレギュラーポジションを奪えていなかった中村のバッテリーは躍動していた。私の目には小川ー中村のバッテリーは当事のヤクルトの数少ない「希望の光」に見えていた。その後小川はチームのエース格となり、中村もレギュラーを獲得し、2015年にはリーグ優勝にも大きく貢献してくれた。それだけに昨シーズンの停滞が非常に気になっている。年齢的には2人ともここからが選手としての全盛期を迎えなければならない選手である。今日のようなミスでの敗戦は非常にもったいない。小川にしろ中村にしろ野球に真摯に取り組む姿勢も魅力的な選手だけにこの失敗はしっかり修正してくれると思うのだが、もっともっと高いレベルを求めたい選手だけにどうしてももどかしい気持ちになってしまう。小川は次回の登板で中村は明日のゲームで今日のミスを取り返してもらいたい。

そして広島は本当にバランスの良いチームに仕上がってきている。小川が好調でも2回のダブルスチールのように足で揺さぶりをかけたり、1番田中、2番の菊池のコンビで球数を投げさせたりと相手からすると本当に嫌らしく感じるチームになってきている。今年の広島も間違いなく強そうである。

打線は昨日はドラ1ルーキー加藤に抑え込まれてしまったのだが、今日は2年目のドラ1岡田に8回まで無得点に封じられてしまった。岡田も力感のないフォームから150キロを超えるボールを投げ、カットボール気味のスライダーも中々のボールであるため潜在能力は高いのだが、まだ細かい制球力という部分に課題があり、ここまで抑え込まれてしまうとは思わなかった。岡田の成長もあると思うのだが、ヤクルト打線の状態は私が思っている以上に深刻なのかもしれない。特に本来打線の核とならなければならないクリーンアップの山田、バレンティン、雄平のバッティングに物足りなさを感じる。雄平に関しては元々5番打者としてはちょっと物足りないかな？という部分はあったため仕方ないかな？とも感じるのだが、山田、バレンティンはチームがピンチの時にこそバットで試合の流れを一変させて欲しい選手である。この2人がブレーキとなってしまっては、ヤクルトの戦力は大きく落ち込んでします。今日は2人とも散々な出来だったが、明日以降に期待したい。得点が獲れなくても今のメンバーであれば3番山田、4番バレンティンは動かす必要はないと思う。2人の奮起を待ちたい。

ようやく打線が反撃に出たのは、昨日に続き9回に入ってからだった。1アウトから畠山が2ベースで出塁し、中村が四球で繋ぐと、代打大松、鵜久森にも連打が飛び出し、1点を返し、尚も1アウト満塁と攻め立てたのだが、その後の坂口、大引が打ち取られ、そのままゲームセットとなってしまった。
先日の阪神戦で谷内の代打で大松を起用したことに疑問を呈したのだが、今日の場面での大松起用は全く問題ないと感じている。2点ビハインドで1アウト1，2塁という場面であれば長打のある打者の方が相手からすると嫌なはずである。そしてしっかり結果を残して見せた大松、鵜久森は素晴らしかった。鵜久森のタイムリーに関しては、広島の外野が前進守備を敷いていなかったため2塁ランナーの中村も本塁へ突入しても面白かったかもしれないが、チームが3連敗中であり流れが悪かったこと、またアウトカウントが1アウトだったことから無理をせず、坂口、大引のバットに期待することも間違ってはいなかったと思う。もちろん本塁へ突入させて同点となっていれば福地コーチの手柄となるのだが、あの場面は無理に突入する必要はなかったと思うため、私は福地コーチの判断を支持したいと思う。それよりもチャンスで一本が出ない打線の状態の方が心配である。

正直川端が戻ってきてからオーダーの組み換えを行えば良いと思っていたが、その川端の復帰が大幅に遅れるということである。こうなると逆にオーダーをいじった方が良いのかもしれない。明日真中監督がどんな先発オーダーを組むのか逆に楽しみになってきた。

P．S　昨日の広島加藤の好投も驚きだったのだが、ヤクルトのドラ２星の3試合続けての好投も私の中では予想外である。武器であるストレートが想像以上にプロの世界でも通用している。まだ僅差でリードしている場面で使う必要はないと思うが、楽しみになってきた。


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