12月3日に行われた福岡国際マラソンで大迫傑が2時間7分19秒という日本歴代5位の好タイムで3位に食い込んだ。
大迫は2015年に日清食品を退社し、「ナイキ・オレゴン・プロジェクト」に所属し、プロランナーとして活動している。日本の長距離選手は、箱根駅伝の人気も合いまって毎年のように期待のランナーは現われるのだが、そのランナーが中々マラソンで結果を残せない状況が続いてた。高校でも大学でも実業団でも大きな駅伝の大会があり、その影響からマラソンの為の練習が不足しがちになっているのではないか?などといった指摘は以前からあった。私自身も2011年にこんな記事を書いていた→「日本のマラソンは死んだのか?」
公務員ランナーの川内が福岡国際マラソンで日本人トップとなった事に対する不安を記事にしたものだったのだが、その後川内は実業団に所属するいわゆるエリートランナーと互角に戦い続け、世界陸上の日本代表にまで上り詰めていった。その反面箱根駅伝でスター扱いされた選手達は中々マラソンで結果を残せない日々が続いた(初代山の神こと今井正人が2時間7分台を記録したことはあったが…)。
そこに現われたのが佐久長聖ー早稲田大で活躍したスピードランナー大迫だった。5000m、10000mではそのスピードですでに日本人トップの座を奪っていたのだが、そのスピードをマラソンに活かす事が出来ないのがこれまでの日本人選手の課題だった。しかし大迫は、初マラソンとなった今年4月のボストンで2時間10分台の記録で3位に入ると、先日の福岡国際マラソンでも素晴らしい記録で走破して見せた。これは日本の実業団チームに一石を投じる事になったことは間違いないのではないだろうか?世界との距離はまだ離されていると思うのだが、今回の大迫の快走で「日本人でもやれる!」という雰囲気は出来始めるのではないだろうか?
雑草ランナーとも呼ばれる川内とエリートランナーと呼ばれる大迫は歩んできた道もランナーとしてのタイプも違うのだが、「世界で戦いたい」という強い意志と新しい事にも果敢に取り組むチャレンジ精神という部分では似通った面もあるのではないだろうか?この2人が結果を残した事で日本の長距離界の図式が変化し始めるかもしれない。
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