3月16日(土)「岐阜メモリアルホールで愛ドーム」で『WBO世界フライ級タイトルマッチ』が行われ王者・田中恒成(24=畑中)が元IBF・WBA世界ライトフライ級王者で挑戦者の田口良一(32=ワタナベ)を判定3-0で下し田中が初防衛に成功した。
(イーファイト引用)
薬師寺VS辰吉、畑山VS坂本、井岡VS八重樫といった日本人ボクサーによる世界タイトルマッチに比べるとネームバリューでは多少劣るかもしれないが、今回の田中VS田口もそれらの試合に匹敵するビッグマッチだったと思う。
正直言って戦前からスピード、パワー、勢いともにチャンピオンの田中が上回っているかな?という予想をする人が多かったと思うのだが、それでも田口もライトフライ級で7度防衛した実績があり、自分のペースに引き込む上手さと無尽蔵のスタミナ、メンタル面の強さを持ち合わせているため、簡単に田中が勝利できる試合でもないと予想される試合でもあった。簡単に言えば激闘が予想されるライバル同士の対決だった。
実際今日の試合は戦前の予想通りと言えば予想通りの試合展開となった。チャンピオンの田中がスピード、パワーで上回り、4ラウンド以降は完全に試合をコントロールしている印象だった。特に左のジャブとボディが力強く効果的に効かせていると感じた。終盤には田中が決着を付けるかな?と感じるくらいの展開となった。
田口は田中に比べて動きにキレがなく苦しい展開となった。これまでの世界戦と比べて肩で息をしながら苦しんでいる表情を見せる場面が多かったと感じた。それでも試合を諦めないのが、田口の強さである。9ラウンド以降少しだけ疲れが見え始めた田中に対して多少食い下がる場面も見せてくれた。改めて田口の強さの本質を見る事が出来たような気がする。
結果的には3-0でチャンピオンの田中が勝利し、田中の強さが証明される形となったのだが、結果以上に見応えのある世界戦だったと思う。田中も田口も気持ちの強さがあり、見ていて清々しい気分になる事が出来た。
田中には今後も強い相手との激闘を期待したい。田口はジムの先輩内山をはじめ、華のある日本人チャンピオンの影に隠れたチャンピオンだったのだが、アマ実績がない中でプロで実績を積み、世界チャンピオンにまで登り詰めた努力の人である。ボクサーとしての強さももちろんなのだが、人間としての強さのような物を感じさせてくれるボクサーだった。田口のボクシングには田口にしか見せられない魅力が詰まっていたと思う。まだ引退を発表したわけではないのだが、とりあえずお疲れ様という言葉を掛けたいと思う。
P.S 田口の土俵でしっかり打ち合い、試合を支配した田中のボクシングセンスは素晴らしいものだと感じるのだが、前回の木村戦含めて最近の試合は接近戦で打ち合う展開が多いため、その部分に関しては多少不安を感じる。もっとスピードを活かして圧倒することも出来ると思うのだが…敢えてやっていることであれば良いのだが、まだまだ若いだけに激闘によるダメージが気になるところである。
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