石川の芸術的ピッチングに酔いしれる(一旦酔いが醒めましたが…)

ヤクルト6-5西武

試合は最終盤に大きく動き、石川の勝ち星も消えてしまったのだが、土壇場の9回に相手のミスも重なり、逆転に成功する事が出来た。しかし今日は何といっても石川である。前回の日本ハム戦同様西武打線を緩急自在のピッチングで手玉に取って見せた。勝ち星は付かなかったが、2試合続けての快投は驚きだった。

日本ハム戦の快投から中9日で西武戦を任された石川が今日も芸術的なピッチングで西武打線を抑え込んでみせた。私は正直敢えて西武戦で先発させる意図が分からなかった。広い札幌ドームでの日本ハム打線相手だったからこその好投だったのでは?という思いも持っていた。そして石川のピッチングスタイルが今の西武打線に通用するとも思っていなかった。相手打線との相性という意味でも楽天戦に持って行って良かったのではないか?と感じていた。しかしそんな私の不安を吹き飛ばすピッチングを見せてくれた。
初回から強力西武打線を三者凡退に抑えると、2回、3回は2アウトランナーなしからピンチを招いたのだが、そのピンチもしっかり切り抜けて見せた。その後も抜群のコントロールと緩急、冷静なマウンド捌きで西武打線に付けいる隙を与えなかった。「山賊打線」と呼ばれる、強力西武打線をMAXでも130キロそこそこのスピードしか持ち合わせていない小型ベテランサウスポーが翻弄するのだから痛快である。「マジシャン」とか「テクニシャン」と形容したくなる変幻自在の投球だった。内外角にこれだけ投げ分けられて緩急も使えるというのが石川の最大の特徴である。4回~7回までヒットを1本も許さず、3人ずつで強力打線を片付けてしまった。タイトルの通り私は石川の芸術的なピッチングに酔いしれてしまった。
7回を終了した所で球数は80球。前回の登板では92球を投げているため、8回のマウンドに上げたことは全く持って問題なかったと思う。しかし1アウトから金子侑、秋山に連打を許したところで降板となってしまった。金子侑のヒットに関してはストレートで完全に詰まらせていただけに多少不運な部分もあったように感じたが、球数的にもここでの降板はやむを得なかったと思う。結局後を継いだ梅野、マクガフが西武打線に掴まり、石川の成績は7回1/3で被安打5与四死球3の2失点という数字になってしまい、勝ち星も消えてしまったのだが、それでも「一見の価値あり。」と皆さんにオススメしたくなるようなピッチングだった。石川自身はよく山本昌の名前を引き合いに出すのが、私としてはイチローがメジャーデビューを果たした頃のマリナーズのエース、ジェイミー・モイヤーに投球スタイルは近いと思っている。モイヤーは180センチを超える長身サウスポーであるため一概に石川と同タイプと語ることは出来ないのだが、130キロそこそこのストレートに多彩な変化球と抜群の制球力で試合を作るという意味では似通った部分もあるのではないだろうか?モイヤーは30代後半からが全盛期だった珍しいタイプの投手でもあるのだが、ここ2試合の石川の投球を見ているとモイヤーのような数字を残してもらいたいと感じさせてくれる。是非もう一花咲かせてもらいたい。

試合後小川監督は「自分の継投ミス。」とコメントを残したようだが、私は今日のゲームに関しては継投ミスがあったとは思わなかった。おそらく楽天戦からは8回梅野、9回石山で行くというチーム方針もあったと思うため、8回の1アウト1,2塁、打者源田の場面は梅野を投入するのが基本だと思う。もちろんこの時点でマクガフを投入することも考えられるのだが、様々なシチュエーションで投げまくっているマクガフよりも梅野ー石山のリレーで勝ちにいったことはごくごく自然なことだったと思う。結果的には梅野が2つの押し出し四球含む3四死球に暴投も記録し、石川の勝ちを消すきっかけを作ってしまったのだが、16球粘られた源田を三振に斬って取ったり、ピンチでも表情を変えないところにリリーフ投手としての適性を感じさせてくれる。反省する部分はあるのだが、20歳でこれだけのボールが投げられる事が魅力である。
マクガフに関しては、今日はボールが走っているように感じた。このボールであれば中村は抑えられるかな?と感じたのだが、追い込んでからのストレートが中村が反応できる真ん中低目のコースに入ってしまった。おそらく高目であれば反応が遅くなったと思うのだが、中村側からすると「ここしかない。」と感じるようなコースにストレートを投げ込んでしまった。石川の勝ちを消すという意味では大きな1球になってしまったのだが、ボール自体は威力を感じた。
そして9回のマウンドに上がった石山は怪我から復帰し、クローザーにもう一度戻ることになったのだが、戻ることになっただけのボールを投げ込めていた。左足を上げたときに軸足にしっかり体重が乗り、そこから上手く体重移動が出来、ボールに力が加わっているように感じられた。これだけのボールが投げられればクローザーに戻っても問題なさそうである。

打線に関しては、注目していたオーダーは、1番山田哲、2番青木、3番村上、4番バレンティン、5番雄平、6番中村、7番山崎、8番廣岡、9番藤井と組んできた。1番~6番までは前日と同じオーダーを組み、山崎を7番から9番に上げ、8番には廣岡、9番には藤井を起用してきた。これといった感想はないのだが、やはり1番に山田哲を置くということは山田哲の状態がまだまだ上がってきていない証拠ではないだろうか?それでも山田哲はバレンティンの2点タイムリーに繋がるヒットと土壇場9回に決勝犠牲フライを放ってチームの勝利に貢献してくれた。調子は上がっていないと思うのだが、それでも9回の犠牲フライに関しては、あのコースのボールをあれだけ窮屈に打ちながらライト低位置付近まで飛ばすのだから流石だと感じた。並の打者であればセカンドフライになってしまうようなバッティングだったと思う。
そして7番に打順を上げた山崎も先制タイムリー2ベースを放つなどバットがよく振れている。9回に何とか送りバントを決める事が出来たこともプラスポイントである。
9回に関しては相手のミスも重なったのだが、代走塩見、代打荒木の起用が的中する形となり、首脳陣もノッていけるような逆転劇となった。塩見のスピードと荒木の勝負強さが最後に活きてきた。

石川の勝ち星が消えてしまったことによるショックはあるのだが、とにかく勝ててよかったゲームである。そして勝ち星は逃してしまったが、39歳石川の芸術的な投球が見れただけでも価値のあるゲームだったと思う。

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コメント

  1. 超匿名 より:

     石川に勝ち星を積み重ねて欲しいというのは、多くのスワローズファンの共通した思いでしょうが残念です。
     梅野はイニングの頭からだけではなく、今回のような途中からの出場という痺れる場面も、良い経験にしていって欲しいですね。
     山田に関しては固め打ちやタイムリーを打った記憶が全くなく、体の状態がよくないのでしょうね。
     終盤に逆転できたという点で、16連敗の時とは少しだけチーム状態が上向いていると感じます。
     個人的に西武打線は仮想広島だと思っていたので、リーグ戦再開後にマツダでのゲームにおいて、臆することなく今日の勝利を思い出して、広島に挑んでいってもらえばと思いました。

  2. k より:

    終盤の逆転勝ちは野手陣の粘りを感じましたが、相変わらずピンチになると失点してセーフティーリードが5点以上というのは厳しいというのが感想ですね。
    石川はパ・リーグのように対戦が少ないと攻略が難しいのですが何年もやってると打てる球と切り捨てる球を選択されていくんでしょうね。次はロッテより予備日に組み込まれたオリックスの方が若い選手が多いので石川には楽かなと。
    梅野は外崎への死球が痛かったですけど広島戦でも味方のエラーからピンチになって大量失点でしたし今回も石川の作ったランナーでしたから現状は回の頭からの方が結果が出るんでしょうけど、これも経験なので絶体絶命のピンチでの投球を身に付ける為にも精神面の落着きは課題になるかなと感じましたね。
    それと山崎・塩見は充分戦力として使えますよね、9回のバント野選は塩見の足が生きてましたし山崎も左中間の大きい当たりを楽に追い付いてアウトにしてましたから足を使えるのは勝てる要因に繋がる事が前回の楽天戦から分かりましたよね(青木センターなら二塁打になってましね、山崎には元ロッテの岡田みたいになってもらいたいですね)
    やっぱり野球は足やバントなど小技を使った攻撃していかないとホームランも生きてこないのでスタメンだけではなくベンチ入りメンバーの役割と適材適所というのが交流戦明けの戦いには重要になってくると感じますね。
    は新人の松本ですが情報ないので今までのヤクルトは初対戦に手こずる事が想像してしまうのですが積極的にファーストストライクから打ちにいってもらいたいですね。高橋に関しては真っ直ぐ一本やりではやられるので緩急つけられるかですね、真っ直ぐと変化球の割合が半半くらいにして的を絞らせないようにしたいですね(中村のリードが大事かなと)
    ずっと連勝もありませんしカード勝ち越しもないですし、……連敗が止まって打線も点を取れるようになって完封勝ちもしてホームラの連敗も止まり逆転勝ちもして少しずつ勝てる形のリハビリが進んでるかなと、次は大事な一戦になるので勝てれば来週のホーム七連戦に弾みがついて大きく勝ち越せる可能性も出てくるかもしれませんね。

  3. タラちゃん より:

    まず勝てたことで、梅野が救われた。
    あそこまでの強力打線はセリーグにはないですし、慣れないイニング途中からの登板。
    勝ったからこそ言えるが、良い経験したなと。今後壊さない程度での登板期待したい。源田にはよく投げきったと思うし、ただ外崎のデッドーボールがね。
    ああなると一発同点で山川はああなるしね。

    9回よく逆転したと思う。
    ムーチョの打撃。まさかの悪送球で2塁まで行き、山崎の運もあり、サード野選。塩見の足生きた。
    荒木の最低限の意識で、三振だけはしない意識で粘り同点タイムリーに、
    山田哲人も最高の最低限の仕事。

    でも、石川でしょ。
    昨年の大宮同様。
    パリーグにはいないタイプだし、振り回す相手には有効なのは今年も証明。
    石川は間隔をしっかりと取って、投げないとでしょうね。

    石山もナイス三凡。
    球威戻ってきて、9回は安心して見れそうね。

    3タテは何とか回避でき良かった。
    久しぶりに連勝したいところね。

  4. FIYS より:

    > 超匿名さんへ

    確かに西武打線と比較出来るセリーグのチームとなると広島くらいですかね。次々の強打者が出てくる所は多少似た部分がありますかね? 

  5. FIYS より:

    > kさんへ

    山崎が岡田のような守備が出来るようになれば、非常に大きいですが、岡田の守備は超一流の域ですからね。そう簡単にはいかないと思います。

    次回の石川はどこで登板しますかね?確かにオリックス戦に持っていくということもあり得そうですね。

  6. FIYS より:

    > タラちゃんさんへ

    外崎への死球。ああいった投球が梅野の課題でしょうね。それでもいい経験が出来たと思います。

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