2月1日から12球団がキャンプインとなり、スポーツニュースなどでも取り上げられているのだが、ヤクルトでは1人の選手がキャンプに参加していない。参加していない選手の名は「川端慎吾」である。「ガラスのプリンス」、「ガラスの天才」などと称される(もしくは揶揄される)ヤクルトきっての人気選手である。
私はこの川端慎吾が大好きである。出会いは彼が市立和歌山商時代に出場したセンバツ甲子園大会の時だった。当時注目の好投手として評価が高かった神村学園の野上(現巨人)から見事なホームランを放ったのをちょうどテレビで見ていたのである。大型で動ける遊撃手というのはいつの時代も見栄えが良いのだが、川端に関してはそれだけでなく、バッティングという部分で明らかに秀でているものを感じさせてくれた。非常に楽しみな選手だと感じたため、ドラフトが近付くごとに様々な動画をチェックしたことを覚えている。この年のドラフトは高校生ドラフトが行われた年なのだが、大阪桐蔭の平田(現中日)、辻内(元巨人)、近大付属の鶴(元阪神)、履正社の岡田(現オリックス)といういわゆる大阪四天王や台湾からの留学生陽仲壽(現巨人)など逸材ぞろいの年だった。私はヤクルトのチーム事情から陽、岡田をトップ評価(指名してもらいたい選手)していたのだが、その次の野手という意味では川端を評価していた。その川端が高校生ドラフトの3巡目でヤクルトに指名された。1巡目村中、3巡目川端ともに私が好みの選手だったため大いに喜んだことを記憶している。
プロ入り後の川端はルーキーイヤーから1軍の舞台でヒットを放つなど順調に滑り出したのだが、2年目以降は怪我に苦しみ、中々本来の実力を出せずにいたのだが、2011年シーズンから遊撃手としてレギュラー格となり、怪我さえなければある程度の数字を残してくれていた。しかし「怪我さえなければ」という部分が常に付きまとっていたことも事実である。満足に試合に出場できたシーズンは2014年シーズン、2015年シーズンくらいである。規定打席に到達した中で3割を超える打率を残し、2015年シーズンには首位打者を獲得し、チームのリーグ優勝に大いに貢献してくれた。ここから選手として脂が乗ってくると思われたのだが、結局その後も怪我に苦しむことになり、2017年シーズンにはヘルニアの手術を受けることとなり、1軍のゲームに出場することすらできなかった。その後は復活をかけてシーズンに臨んだのだが、思うようなプレーが出来ず、結局キャンプ前の時期に再手術を受けることを決断した。
おそらく身体の硬さが怪我を誘発しているのでは?と思うのだが、あの天才的なバットコントロールをほんの短い期間しか見せてもらっていないことに寂しさを感じる。ホームランの数は少ないのだが、完璧に捉えたライトスタンドへのホームランは見惚れてしまうし、追い込まれても自分が仕留められるボールが来るまでカットする技術は職人技である。その凄さを感じさせてくれたの多く見積もっても3~4シーズンくらいのものである。若松、青木に負けず劣らずのヒットメーカーになるだけの素質はあったはずである。そんな川端の再手術のニュースは複雑な思いで聞かせてもらった。おそらく今回の手術は選手生命を賭けた手術である。ことはそんなに単純ではないことは素人の私にも容易に想像が付く。
「川端慎吾 32歳」本来であればまだまだ老け込む歳ではない。しかし彼の身体はすでに満身創痍なのだろう。思うようなバッティングが出来ないことに本人は苦悩しているはずである。自身のイメージと身体の動きが全くマッチしていないと感じるシーンを昨シーズンは嫌と言うほど見させられた。おそらく今シーズンも川端にとっては苦難のシーズン、我慢のシーズンになるはずである。しかし私はもう一度川端の天才的なバッティングを見てみたい。大好きな川端慎吾のバッティングを…
最後に川端の天才性をブログ内で書かせてもらった一文と怪我で苦しむ姿を書かせてもらった一文を貼り付けておきたい。
「好投杉浦を援護できず」より抜粋。→「川端のバッティングは素晴らしいですね。バッティングに関しては天才的ですね。フリーで打たせてもらえるなら軽く3割は打ってもらいたいですね。怪我が多かったり、守備での下半身の硬さは気になりますが、これだけの才能をもっているのであれば首位打者を獲得してもらいたい。」
「打球が飛ばない。それでも飛ばす畠山!」より抜粋→「打線ではとにかく1番川端の天才的なバッティングセンスに目を奪われた。今日はセンターから左方向へ4安打と固め打ちをしてみせた。特に7回に山口から放ったレフトへの同点タイムリーと10回に澤村から放ったレフト線への2ベースヒットは普通の打者では捌けないような素晴らしいバッティングだった。
7回の同点タイムリーは2アウト1,3塁の一打同点の場面でのタイムリーだったのだが、山口のインコースの厳しいシュートを腕をたたんで三遊間を破って見せた。あんなバッティングをされたらピッチャーはたまったものではないだろう。芸術的なバッティングだった。
10回の2ベースは得点には繋がらなかったが、こちらも澤村に150キロを超えるツーシームをコースに決められ追い込まれた中で決め球のフォークにしっかり反応して見せた。このバッティングも芸術的だった。
これで川端の打率は.418まで跳ね上がった。ボールが飛ばずに打者が苦しんでいる中でこの打率は驚異的である。川端自身現在はよくボールが見えていると思うのだが、ボールが良く見えているだけではこれだけのバッティングは出来ないだろう。天才的なバットコントロールがあってこその好成績である。先日も書いたのだが、これだけのバッティングが出来るならば確実に首位打者のタイトルを手に入れてもらいたい。」
「石川さんの170勝目のために」より抜粋→「8回のチャンスで打席に入った川端はカウント3-0からのストレートを待ってましたとばかりに強振したのだが、結果はサードファールフライに倒れてしまった。本調子の川端であればあり得ないようなバッティングであり、現在の川端の状態の悪さが浮き彫りとなる結果に終わってしまった。おそらく本人の中では『狙っていたボールが来た!』と思ってスイングを掛けたと思うのだが、完全に振り遅れて力負けしてしまった。これでは首脳陣も起用しづらいと感じます。」
天才性と脆さの両面がはっきり分かる記事になっているかと思います。
それでも私は川端慎吾が大好きだ。
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コメント
ハムの近藤の対比したくて、
何年か前にシーズン当初から4割打っていて、故障し手術し、今の選球眼の鬼でサムライジャパン不動のメンバーに。
その頃、同じように川端も故障し、手術回避し、結局はなかなか良くならず、このタイミングで手術と。
ここは良いポジティブに考えて、
手術し完治することで、夏、オールスターくらいに復帰できて、
今後、哲人のいなくなる可能性高い来年以降、まだ老けこむ年齢ではないし、1塁か3塁でほぼフル稼働で天才的な打撃を見せてくれるのかな?と期待したいね。
今後の川端、坂口の動向も考えて、
村上の3塁再挑戦。わからないが廣岡の外野挑戦?で塩見とセンター争い?
理想は、将来的として、
1塁川端または外国人、3塁村上、レフト青木、センター塩見か廣岡、ライト坂口か雄平、理想は中山みたいな感じの青写真あるのかな?
これまでの歴代の選手の中で、個人的には最も好きな選手です。やっぱり高校生の頃から知ってると思い入れありますよね。
だから昨年のバットに当てても前に飛ばない姿は、観てて非常に心苦しく思ってました。
万全とは言わないまでも、手術を通して一日何振りかは満足いくスイングが出来るまでは回復し、一軍のグランドに戻ってくる日を願ってます。
いや、今年は神宮より戸田を優先して参戦しようかな。
> タラちゃんさんへ
手術のタイミングは非常に難しいのでしょうね。1回目の手術も今回の手術もはたから見ていると「なぜこのタイミングで?」と思ってしまうのですが、それ程までに追い込まれているということなのでしょうね。
一塁川端の青写真。さすがにまだ描けていないでしょうね。
> JEF九郎さんへ
そうでしたか。歴代で最も好きな選手なのですね。この状況は辛いですね。いつか戻ってきてくれることを願いましょう。