ヤクルト2-0DeNA
聖光学院時代全国のその名を轟かせていた歳内の代名詞となるボールが「スプリット」だった。当時は丁度田中将大のスプリットが話題になっていた時期ではなかっただろうか?球種に関しては時代とともに呼び名が変化することがある。私世代であればフォークと表現してもらった方が理解できる。歳内のスプリットはSFF系のボールではなく、切れ味鋭いフォークの印象である。しかし「スプリット」という表現が歳内の存在をより引き立てていた気がする。今日のゲームではその「スプリット」をカウント球としても勝負球としても惜しげもなく使い、DeNA打線を抑え込んでいった。2015年9月29日以来の白星は、1829日ぶりとのことである。よくここまで這い上がってきたものである。
ヤクルトに入団後、ここまで2試合マウンドに上がっていたのだが、5回2失点、2回1/3を5失点で勝ち投手になることは出来ていなかった。2試合ともに各打者に捉えられており、独立リーグとNPBの実力差を肌で感じたはずである。特に前回の中日戦の投球内容が良くなかったため、今日のゲームは歳内にとっては、「背水の陣」と言っても過言ではない状況だった。そんな状況で歳内が頼ったのは「スプリット」だった。おそらくゲーム前から西田と投球プランを練っていたとは思うのだが、序盤からスプリットを多投し、DeNA打線を打ち取っていった。この日はとにかくスプリットを低めに集めようとする強い意識を感じた。そのスプリットを軸にしながらストレート、スライダー、カーブを効果的に使い、DeNA打線に的を絞らせなかった。歳内ー西田のバッテリーが良く考えて投球を組み立てている印象が残った。7回は2アウトから連打を浴び、2アウト1,2塁のピンチを招いたのだが、最後もスプリットの連投で山下をセカンドゴロに打ち取り、結局7回で83球を投げ、被安打5、与四死球2の無失点で勝ち投手となってみせた。味方打線の援護は2点のみというロースコアのゲームでこれだけの投球を披露してくれたことに価値がある。これからはこれまで以上に他球団に研究されると思うのだが、高校時代から「スプリット」の使い手として注目されてきた歳内がこの武器でどこまでNPBの各打者と対峙していくのか注目してみたい。
8回清水、9回石山の2人は、前日の石川、今日の歳内と普段以上に白星を消したくないゲームでプレッシャーが掛かる中よく踏ん張ってくれた。特に試合を締めくくる石山のプレッシャーは半端ないものがあると思うのだが、そのプレッシャーを石山らしいキレのあるボールで跳ね除けてみせた。本当にこの2人の存在は大きいものがある。石川も歳内もこの2人には感謝しているはずである。歳内とともに清水、石山にも大きな拍手を送りたい。
打線はDeNAのブルペンデーの前に苦しんだのだが、オープナーとしてマウンドに上がった武藤から西田のタイムリーと村上の内野ゴロの間に2点を奪えたことが終わってみれば大きかった。2回は坂口の盗塁に相手の悪送球も重なった中でチャンスを作り、そのチャンスで西田がきっちり仕事をしてみせた。3回は青木がエンドランを決めてチャンスを広げた中で泥臭く1点を追加してみせた。3回に関しては0アウト1,3塁でクリーンアップを迎えたため、一気に試合の流れを引き寄せたい場面ではあったのだが、山田哲は内野フライに倒れ、村上の内野ゴロによる追加点のみに終わってしまったのだが、機動力を活かして作ったチャンスでしっかり1点をもぎ取ったことが勝利につながった。今シーズンは盗塁、エンドランを仕掛ける場面が昨シーズンに比べて増えている印象があるのだが、失敗することも多く、正直機能していると言い難い。この日は積極的な仕掛けがチームの勝利に繋がったのだが、機動力の使い方というものも来シーズンに向けての課題となってきそうである。
石川の今シーズン初勝利、歳内の5年ぶりの勝利と先発投手2人に特別な白星が付いての連勝は気持ちがいいものである。清水、石山の仕事ぶりも評価したい連勝となった。
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コメント
強力打線と言える横浜相手の勝利ですので、歳内にとって自信を持てる勝ち星になったのではないでしょうか。
この勝利によって最下位から脱出しました。今年はドラフトがレギュラーシーズン終了前に行われ、その時の順位によってウェーバー順が決まるようなので、ドラフト当日を5位で迎え、最終順位は最下位というのが利点がない最も腹立たしいパターンなので、そうならないようにこの調子で頑張ってもらいたいですね。
超匿名さんへ
歳内はこれで来シーズンの契約はほぼ手中に収めましたかね?
ドラフトのウェーバー順のことなどは考えずにとにかく勝利を求めてもらいたいと思います。
歳内大金星!!
個人的にはカーブがストライクに決まったことがカウントを「儲けた」ことに繋がって球数節約できたと思いました
ふつうは投手はスタミナ切れしてくるとフォークが落ちなくなるのでこの日の歳内は最後までフォークが落ちてくれて良かった。根性あるピッチャーですね
saboさんへ
歳内は高校時代から同世代のトップランナーだっただけあってマウンドで堂々としていますよね。投手らしい投手と言う印象です。