2度の満塁を逸し、流れ掴めず。スアレスは5回に揺らぐ。

ヤクルト０－３広島

初回と6回2度に渡って森下相手に満塁のチャンスを作ったのだが、そこから得点につなげることが出来ず、最後まで試合の流れを掴むことが出来なかった。スアレスは悪くない投球を披露していたのだが、自らのバントがダブルプレーとなってしまった直後の投球は揺らぎが見られ、誰が相手でも淡々と投げるスアレスらしさが失われてしまった。

森下に関してはこれまでもこのブログで惚れ惚れするようなボールを投げていると書かせてもらってきたのだが、ボールの質、特にストレートの質は素晴らしい。初回、6回に満塁のチャンスを作ったようにまだ付け入る隙は見せてくれているのだが、最終的には力でねじ伏せられてしまった。今日に関してはカットボールの精度はイマイチだったと思うのだが、ギアチェンジした際のストレートに完全に力負けしてしまった。今シーズンのセリーグを代表する先発投手である菅野、大野雄、西、小川らはもちろん素晴らしいボールを持っているのだが、そこにコントロールや駆け引き、ランナーを出した後の投球などいくつもの武器を身に付けた中で相手打線を抑えて言っている印象である。森下に関しては、ボールそのものの力で相手打者を抑え込んでいっている印象である。若者らしい攻めの投球は広島ファンだけでなく野球ファンの心も掴むのではないだろうか？
初回に関しては、エスコバー、坂口の連打と山田哲四球で0アウト満塁のチャンスを作り、村上も森下のボールに必死に対応していたのだが、最後は内角高めのストレートにバットが空を切ってしまった。非常に見応えのある勝負だったし、最後の村上のスイングはコンパクトにバットを出しているように見えたのだが、結果を残すことが出来なかった。期待の青木もサードゴロに倒れ、最後は中山が森下の前に格の違いを見せ付けられてしまった。中山が三振を喫した時点でマツダスタジアムの空気が完全に広島の空気、森下の空気に変わっていた。それ程までに迫力を感じる満塁からの森下の投球内容だった。
6回にも山田哲のヒット、村上四球、青木死球で1アウト満塁のチャンスを作ったのだが、ここも代打宮本、続く西浦と連続三振に倒れ、森下を攻略することが出来なかった。宮本に対しても西浦に対してもほぼノーミスの投球をされてしまった印象である。
中々森下を崩すことが出来ない。特に初回に関しては、先日の大野雄相手に初回に作った1アウト満塁のチャンス以上に得点の期待値が高い場面を作っただけに村上、青木が力負けしての無得点という結果はダメージが大きかった。今日のゲームも結局は初回のチャンスを活かせなかったことが1番のポイントとなってしまうゲームだった。

ヤクルト先発のスアレスは、攻撃陣がチャンスを活かせなかった直後の1回裏に田中広に2ベースを浴び、2アウトから松山にタイムリーヒットを許し、先制点を奪われてしまった。前回も森下と投げ合い、先制点の重みは重々分かっていたと思うのだが、チャンスの後のピンチで粘ることが出来なかった。しかしその後はスアレスらしく、淡々とアウトを重ね、試合を落ち着かせてみせた。しかし5回に自らの送りバントがダブルプレーとなり、チャンスを逸すると、直後の5回裏に1アウトから堂林にヒットを許すと続く菊池涼にこの試合初めてとなる四球を与えてしまい、ピンチを広げてしまう。そして続く森下の送りバントを三塁で刺しに行ったのだが、これがフィルダースチョイスとなってしまい、満塁のピンチを招くとルーキー宇草に2点タイムリーヒットを浴びてしまい、結局5回3失点でマウンドを降りることとなってしまった。
スアレスはどんなシチュエーションでも淡々と投げ続ける職人的な雰囲気を持った助っ人外国人投手と言う印象があるのだが、この回に関しては、前の回の自身の送りバント失敗を多少引きずっているように感じた。特に森下のバント処理に関しては、無理せずに1つアウトカウントを増やし、2アウト2，3塁で宇草、田中広のどちらかで1アウトを奪うという判断で全く問題がなかった場面だと思うだけにもったいなかった。前の回に目の前で見せ付けられた森下のフィールディングが多少なりともスアレスの頭に残っていたのではないだろうか？スアレスが珍しく精神的に揺らいだように見える場面だった。

結果からすると完敗ではあるのだが、勝機のあったゲームだけにもったいないと感じる部分もある敗戦となってしまった。


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