陸上 東京五輪代表選考会兼日本選手権長距離種目(2020年12月4日 大阪市・ヤンマースタジアム長居)
女子1万メートルに出場した新谷仁美(32=積水化学)が、日本記録を28秒45も更新する超人的な走りで7年ぶり2度目の優勝。2大会ぶり2度目の五輪代表を決めた。30分20秒44は、12年ロンドン五輪では金メダルに相当する超絶記録となった。
(スポニチアネックス引用)
新谷仁美が昨日の日本選手権10000mで見事な走りを見せてくれた。日本選手権という日本一を競う舞台で2位の一山以外を周回遅れにしての日本新記録という桁違いの走りで優勝してみせた。2014年に突然引退し、表舞台から姿を消したのだが、2018年に復帰して以降の走りは、これまで以上の強さを感じさせてくれる。若い頃から世界を意識していたランナーの潜在能力が32歳にして開花した印象である。現段階で東京オリンピックが開催されるかどうかは不透明な状況なのだが、オリンピックが開催されてもされなくても、今回の新谷の快走には大きな意味があると感じる。
日本では秋から冬のシーズンになると学生から社会人まで多くの駅伝大会が開催され、テレビ中継もされるなど注目度の高い競技となっている。全国高校駅伝も毎年NHKで中継されており、毎年のように将来を嘱望されたランナーが現れるのだが、ほとんどのランナーは世界に羽ばたくことなく、その競技人生を終えるのが当たり前になっていた。新谷自身も全国高校駅伝のエース区間1区で3年連続区間賞を獲得し、超高校級ランナーと呼ばれていた。新谷に関しては、その後もトラックで結果を残し、ロンドンオリンピックにも出場していたのだが、世界との差は決して小さいものではなかった。そんな新谷が一旦引退してから復帰し、32歳という年齢になってから驚異的な記録で日本記録を更新してみせた。この走りは新谷自身だけでなく、日本の女子長距離界において大きな意味を持つことになりそうである。
新谷は元々その歯に衣着せぬ発言にも注目が集まり「天才ランナー」というイメージもあるのだが、その実広い視野を持つクレバーなアスリートである。「モノ言うアスリート」として結果でも言葉でも若い選手を引っ張る存在となっている。記録を出して背中で引っ張るとともに言葉でも女性アスリートの環境改善などを訴えることが出来る稀有な存在である。一選手として今後どのような記録を残してくれるのか?という部分も楽しみだし、女性アスリートの地位向上という部分でも貴重な人材となりそうである。それにしても昨日の走りは見事だった。
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コメント
大人のランナー、という走りを見せてくれてますね。早くから活躍していましたから、早熟な選手という印象で、若い引退になったのかなと思いましたが、決して力を落としていたわけではなく、見事に再デビューで花開きましたね。高いポテンシャルに加え、思い切りが良く、勝負強い次元の違う走りは向かうところ敵なしに見えます。今後も女子陸上界をリードし、新たな地平を開く存在であって欲しいと思います。
パインさんへ
ちょっと次元が違いますよね。女子長距離ランナーの新たなモデルになってくれそうな選手ですよね。