今日の田口を引き立て役にしてはならない

ヤクルト１－３阪神

個人的にはかなり悔しい敗戦である。前日の大勝を活かすためにもプロ初登板となった西純をしっかり叩いておきたかったのだが、初回の貰ったチャンスを活かすことが出来ず、結局5回をノーヒットに抑えられ、プロ初勝利まで献上してしまった。正直投球内容自体は、西純よりも田口の方が良かったと思う。その田口が引き立て役になってしまったことが残念でならない。田口は今日の敗戦で1勝3敗という数字になってしまったのだが、好投が中々白星に結びつかない。

阪神先発の西純は、高卒2年目でプロ初登板となった。創志学園時代は、甲子園での奪三振ショーで高校野球ファンを大いに沸かせた甲子園のスターが、プロとして甲子園のマウンドに戻ってきた。ストレート、変化球のキレ、マウンド度胸というものは高卒2年目としては十分のモノを持っていると感じさせてくれた。しかし初回にコントロールが定まらなかったように、プロの先発投手として見た場合には、安定した投球を披露するにはもう少し時間がかかるかな？と感じるような投球内容だったことも確かである。しかしそんな本調子ではない西純からヒット1本打つことが出来なかった事は痛かった。逆の視点で見れば、本調子でなくとも5回を無安打で抑えた西純のスキルの高さを褒めるべきなのかもしれないが、今日のゲームに限っては、各打者が西純のボールをしっかり見切っているようにも感じたため、何とか一本出してもらいたかったというのが本音である。
特に初回に関しては、ストライクを取ることに四苦八苦している状態であり、打者はストレート一本に的を絞ることが出来るような状況だった。山崎、中村が連続四球で歩き、続く山田もカウント３－１とバッティングカウントを作ったのだが、甘めのストレートを山田が打ち損じてしまった。西純らしく気持ちのこもったストレートを思い切って投げ込んだからこその結果だったのかもしれないが、山田ほどの実績がある打者であれば仕留めてもらいたかった場面だった。終わってみれば、この場面で山田がセカンドフライに打ち取られてしまったことが、今日のゲームの一番のポイントになってしまったかもしれない。昨日の勢いそのままに初回で試合の流れを掴んでしまいたかったのだが、ここで無得点に終わってしまったことがその後の展開に影響してしまった印象である。

西純の投球に注目が集まる中でのゲームだったのだが、田口も気持ちの入った素晴らしい投球を見せてくれた。ボールのキレ、コントロールともに合格点を与えられる投球内容であり、ランナーを出してからも落ち着いて阪神打線と対峙することが出来ていた。前回の田口登板日の記事にも書いたと思うのだが、ヤクルトに移籍してきてから投球内容をじっくりと見させてもらい、「こんなに良い投手だったんだ。」と言うことに気付かさせてもらえた。ここ10年くらい遡ってみても田口と比較できるヤクルトの投手は石川くらいしか見当たらないと感じる程、田口の投球の完成度は高いと感じる。内外角の出し入れ、ストレートと変化球の緩急を駆使して打者を打ち取っていく姿は、非常にテクニカルである。今日のボールのキレも良く、6回１／３で8つの三振も奪えていただけに勝ちを付けてあげたかった。近本のホームランがもったいなかったと言えばもったいなかったのだが、決して簡単なボールではなかったため巧く捌いた近本を褒めるべきホームランだったと思う。

今日のゲームは「勝てるゲームを落としてしまった。」という印象が強いゲームとなってしまった。流れをつかめれば勝つ可能性が大きかったゲームで、8回2アウトまで阪神投手陣の前にノーヒットで抑えられてしまい、あわや継投でのノーヒットノーラン達成か？という試合になってしまい、田口が引き立て役になってしまったことに悔しさを感じた。

阪神は首位を走っているだけあり、チームが上手く回っている印象である。こういったゲームで若手投手に勝ち星が転がり込む辺りに、チームとしての勢いを感じた。西純に関しては、1軍でやっていくにはもう少し時間がかかるかな？という印象なのだが、2番手の馬場は、近未来のクローザーに定着できるのでは？と感じさせるほど、腕がよく振れていた。ウイニングショットとなる縦の変化球も非常に良い落ち方をしており、ヤクルトの各打者が対応に苦慮していた。
阪神の勢いを止めることは容易ではなさそうである。


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