識者は今の山田哲人をどう見ているのだろうか?

ヤクルト4-2ソフトバンク

相手の先発のマルティネスの状態が良かっただけに、小川の失った2点が致命傷になってしまったかな?とも感じていたのだが、そんなゲームで爆発したのは山田だった。山田と言うとどうしても2015年シーズン、2016年シーズン前半の姿を追いかけてしまう自分がいるのだが、あの頃の姿を追いかけるのは止めなければならないと思ってはいる。2016年シーズン後半~2017年シーズンはインコース攻めにより状態を崩したのかな?という印象が強かったのだが、その後はコンディショニングの問題も重なったようで、山田自身にとって苦しいシーズンが続いている。今シーズンも昨シーズンに比べれば数字は残しているのだが、好不調の波が大きく、自分のスイングが出来ていないと感じる場面が目立つ。そんな中での4安打、2ホームラン、3打点の活躍である。識者は今の山田哲人の状態をどう見ているのだろうか?また打撃に関しては、2015年シーズン、2016年シーズンの前半のような姿を取り戻せると考えている識者はいるのだろうか?その辺りは気になっている。

2014年シーズン、2015年シーズン、2016年シーズン前半というのは山田がまだ20代前半の年齢のシーズンである。一旦不調に陥るとそのままスランプが長引くのではないか?と心配しながらも、すぐに復調し結果を出し続ける姿を見て、とんでもない選手が現れたものだと驚いたものである。このまま伸びて行ったらどんな選手になるのだろうか?というワクワク感が止まらなかった。しかし2016年シーズンの後半に避けられない死球を複数回もらうなかで状態を落としていくこととなる。信じられないくらい見事に捌いていたインコースのボールへの反応が鈍り、2017年シーズンに入っても打撃の状態は戻ってこなかった。2018年シーズンに3度目のトリプルスリーを達成し、2019年も30本塁打、30盗塁はクリアしたのだが、どこか物足りなさを感じていた。そんな矢先、2020年シーズンのコンディション不良での不調もあり、山田という選手の評価を改めて考え直さなければならない時期に差し掛かっていた。今シーズンも開幕前にコンディション不良で状態を崩すなど、万全とは思えない状況でシーズンに入ったのだが、ここまで打率.258、ホームラン16本、打点42、盗塁3という数字が残っている。
若い頃の身体のしなやかさ、筋肉のしなやかさというものは、年齢とともに徐々に失われてきていると感じるのだが、その分身体が大きくなり、以前に比べてパワーは付いてきたのかな?と感じることもある。しかし中途半端なスイングや完全に崩されたスイングが目立ち、結果を残してもどこか信用しきれない状態が続いていた。

前置きが非常に長くなってしまったのだが、そんな状態の山田が今日は好投手マルティネスから3安打、1ホームラン、坂東からもホームランを放ち、4打数4安打、2ホームランとバットでチームの勝利に貢献してみせた。1本目は0-2とリードされた6回表に飛び出したのだが、マルティネスのアウトコースのカットボールを強く叩くと打球はライトポールを直撃するホームランとなった。正直言って山田らしからぬ一発だと感じた。山田のホームランと言えばほとんどがセンターから左方向へのホームランであり、ライト方向へのホームランはホーム神宮で差し込まれながらもパワーで持っていたものなどの印象が強く、ビジター球場でのこういった一発はあまり記憶に残っていない。しかし今日の一発は決して打ち損じではなく、外のボールを逆らわずにしっかり捉えた結果のホームランであったため、新たに何かを掴んだ可能性もある一発なのかな?とも感じさせてくれた。
続く第4打席での坂東からのホームランは、坂東のインコースの厳しいコースへのツーシームに見事に反応し、弾丸ライナーでレフトスタンドへ叩き込む山田らしい一発となった。この時のインコースへの反応は素晴らしかった。厳しいインコースのボールにもこういった捌きが出来て、インコース狙いのボールが多少甘くなったボールを次々と捉えていった時の山田はスーパースターそのものだった。その頃の輝きは戻らないままなのだが、今日の2本のホームランは、チームを勝利に導くホームランということだけではなく、技術的にも何かを掴んだ可能性のある一発だと信じたい。山田のホームランと言えばレフトスタンドへ弾丸ライナーで運ぶ弾道のホームランのイメージもあるのだが、もう一つイメージにあるのはバットをボールの下側に入れ、強烈なスピンをかけて高々と打ち上げた打球がセンターバックスクリーンから左中間スタンド辺りに飛び込むホームランである。もし明日以降、こういった弾道のホームランが増え始めるのであれば、山田の状態が上向いてくる可能性もあるのかもしれない。試合後のヒーローインタビューで「試合ごとの波が大き過ぎる。」、「今日は何で打てたか分からない。」というようなコメントを残していたため、山田自身もまだまだ状態が上がってきているとの感触は持っていなようなのだが、それでも身体が上手く反応するような状態に戻せれば…という期待感は出始めている。最近は勝負を決める一打と言えば、山田よりも村上や青木のイメージが強いのだが、元々は山田も勝負強く技術が高く、メンタルも強い選手である。今日のように活躍できるゲームが少しずつ増えていくことを期待したいと思う。

山田のことで多くのスペースを割いてしまったのだが、小川は一旦登録抹消され、調整をし直してから安定した投球を続けてくれている。今日も7回2失点という数字で試合を作り、勝利投手となってみせた。今のソフトバンク打線相手ならば小川であればこのくらいの数字を残して普通だと感じる。多くの離脱者がいることもあり、今の打線で怖いのは柳田だけと言っても過言ではないような状況である。一時の村上頼りとなっていたヤクルト打線に少し似た状況にあるとも感じる。そんなソフトバンク打線相手でも7回2失点であればもちろん合格点が与えられるのだが、昨日の石川柊太同様、今日のマルティネスも調子が良かったため、1点勝負を目論んだ中で、失点シーンについてはもう少し冷静に投げても良かったかな?という印象も残った。特に柳田のホームランについては、ボール自体はそこまで悪いボールではなかったと思うのだが、それでも四球で歩かせても良いくらいの割り切りがあっても良かったかな?という気がしないでもなかった。勝ったから良かったものの、負けていれば悔いが残る一球になっていたのではないだろうか?

山田が結果を残してのゲーム後半での逆転勝利ということで、結果として見事な勝ちゲームとなり、これで交流戦の5割以上が確定した。阪神も勝ち続けているためゲーム差は縮まらないのだが、何とか交流戦を5割以上で凌げたことは、今後に繋がってくるはずである。

P.S 今日は同点の7回、1アウト1塁という場面で元山に代わって代打川端を起用してきましたね。ここ3試合、ゲーム終盤のチャンスで元山に代わって川端を起用しても良いかな?という場面で全く起用されなかったため、違和感を感じていたのだが、今日の起用法は今日の起用法で「何故この場面で?」という疑問が残った。やはり川端もしくは西浦に何らかの軽いアクシデントが発生していたのですかね?

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コメント

  1. sabo より:

    山田って超天才型なんですよね
    今の時代前捌きで30本は珍しいし比較できる選手もいない
    そもそもトリプルスリー複数回達成自体が山田だけですからね

    私が見てもしなやかさは衰えているように見えます
    今はシフトの時代なのでそこまで気になりませんが守備は以前ならもっと軽快だった印象です
    打撃はスイングもですが選球眼が悪くなったように思えました
    こう言うと野球選手としてのプレイスタイルを変える時期なのかとも考えるのですが、単純に身体が痛いからかもしれないです。

    痛みが引いた後も無意識に力をセーブしてしまうということもあるだろうし、無意識のセーブから解放されたのが今なのかもしれないと。
    調子の波はもともとある選手でしたし、ここから2015年の山田が蘇る可能性もある……というのは高望みか……


    試合のヒーローは山田でしたが残りの1点サンタナ2ベース宮本犠打中村タイムリーの同点がデカかったですね
    私は同点策はどうかなと思いましたが結果的にここの得点が大きかった

    2試合連続で火消しを担当した梅野も素晴らしい成果を出してくれました
    本音はあまりイニング途中で変えるのはリスキーだと思っているのですがDH制もあり試合日程からもリリーフつぎ込む余裕がありましたね

  2. FIYS より:

    saboさんへ

    山田は身体の不調を言い訳にする選手ではないのですが、だからこそ不調の原因がはっきりせず、ファンは不安になることがあるんですよね。でもよく考えれば、弱音を吐かずに身体が悲鳴を上げるまで全力でプレーする姿は、山田という選手の凄さの1つなのかもしれませんね。

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