フローレンス・ジョイナー

思い出ショートショート⑥

ソウルオリンピックでのカール・ルイス、ベンジョンソンに触れたので、女子のフローレンス・ジョイナーについても触れておきたい。ジョイナーもソウルオリンピックで大きな話題となった女性スプリンターである。１００ｍ、２００ｍ、４×１００ｍリレーで3冠を達成している。とにかく圧倒的に速かった。私は、当時のテレビ報道を見ていて、ベン・ジョンソン＝「悪人」、カール・ルイス、フローレンス・ジョイナー＝「スーパースター」という捉えをしていたのだが、自分が大人になるにつれ、またスポーツ観戦が趣味で様々なスポーツの場面を見るにつれ、ジョイナーの残した世界記録（１００ｍ・10秒49、２００ｍ・21秒34）などは限りなく黒に近い世界記録であることを理解し始めた。私がリアルタイムでジョイナーの走りを見たのは、おそらくソウルオリンピックの時のみであり、ソウルオリンピック前のジョイナーは全く知らないのだが、それまでの経緯や身体つきの変化、記録の向上などを見ていくと、やはりドーピング疑惑というものが取りだたされてしまう。早逝してしまったことも薬物との関係があったのではないか？と言われている。ジョイナーが亡くなって以降、ジョイナーについて触れることはタブー視されている部分もあるだろうか？もう没後20年以上が経過し、世界記録を出してからは30年以上経過している。数年前にはドーピングが疑われていた時代の世界記録を取り消す方向になるのでは？という報道もあったが、この辺りはとても難しい問題だと思う。何と言っても当時はドーピング違反とならなかったのだから、線引きが難しい。私自身は、ドーピング違反が証明されない限りは、記録は残すべきだと思っている。こういった疑惑の記録は陸上界の黒歴史になってしまうかもしれないのだが、そのことを反省し、よりクリーンな陸上界を目指していってもらいたい。技術の進歩、用具の進歩、環境の変化などによっていつかジョイナーの記録も破られる日が来るのではないだろうか？
アンタッチャブルレコードと呼ばれる記録を持っているのは、ジョイナーだけではないのだが、いつか「ついにこの記録も破られたか…」と呼ばれる日が来てもらいたいものである。
私は未だに女性スプリンターでジョイナー以上のインパクトを与えるランナーに出会えていない。


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