日本シリーズ第1戦
ヤクルト3ー4xオリックス(ヤクルト0勝1敗)
両チームともに流石リーグチャンピオンと思わせるゲームで日本シリーズの幕が切られた。ヤクルトにとっては残酷な結果となってしまい、オリックスにとってはCS最終戦からの勢いを明日以降にも繋げられそうな結果となった。短期決戦はシーズン以上に内容よりも結果が求められる。そう考えると今日の1敗は痛い敗戦であることは間違いない。しかしヤクルトの野球がしっかり通用することも確認できるゲームとなった。明日取り返すことが出来れば、まだまだ分からない。
打線に関しては、NPB№1投手山本に対して、非常に良いアプローチが出来ていた。今の山本を打ち崩せるチームは、おそらく日本にはないのだが、そんな山本相手に、各打者が簡単にはアウトにならず、山本は5回終了時点ですでに球数が95球に達していた。元々奪三振数が多い投手であるため、楽天田中や巨人菅野の全盛期と比べれば多少球数が多くなる印象はあるのだが、それでも簡単に球数を投げさせられる投手でないことも確かである。しかし今日のヤクルト打線はそんな山本にも粘り強く喰らい付き、常にプレッシャーを与え続けてみせた。そんなプレッシャーに山本がスタミナを削られた部分もあるのではないだろうか?6回に山田、サンタナの2つの四球でチャンスを作ると中村にタイムリーが飛び出し、先制点を奪うことに成功してみせた。「味方投手が踏ん張ることが出来れば。」という条件付きではあるのだが、今日のヤクルト打線の山本へのアプローチは、故野村克也氏が評価しそうなアプローチだった。
私はこのブログの中で2014年シーズンに野村監督の遺産は完全に無くなったというニュアンスのことを書いたと思うのだが、今シーズン不思議と勝利を重ねられたのは、もしかすると打線が「線」として機能し始めていたということがあったのかもしれない。「個」で勝負する打線で得点を重ねるイメージがここ数年のヤクルトには強かったのだが、今日の打線は間違いなく、チームとして山本対策に取り組んだ結果だと感じた。山本相手には、1点しか奪えなかったのだが、試合展開的にも1点以上に意味を持つ1点になったのではないだろうか?
8回には3番手ヒギンスから山田がヒットでチャンスメイクをすると村上が追い込まれながらもチェンジアップに崩されず、しっかりボールを捉えると打球はバックスクリーンに飛び込む勝ち越し2ランホームランとなった。外角の変化球にしっかり対応し、最後はリストを利かせて打球をセンター方向に飛ばすという技術とパワーが融合した見事なホームランだった。奥川がモヤに同点弾を浴びた直後の大事なイニングでの一発は頼りになる4番の姿そのものだった。
奥川はCSに続いて、日本シリーズでも第1戦の先発を任された。相手先発が山本ということで初回から先制点を奪われたくないというプレッシャーが常に付き纏っていたと思うのだが、ピンチでも自分のスタイルを崩さずにスコアボードに「0」を並べていった。初回から調子が良いとは感じなかったのだが、どの球種もカウント球にも決め球にも使えるという奥川の特徴は出ていたのではないだろうか?初回の吉田正のセカンドゴロ、杉本のセンターフライ、2回の若月のライトフライ、3回の吉田正のショートライナー、5回の吉田正のセンターフライは、いずれもピンチの場面であり、少しでも打球がズレていれば、失点してしまう場面ではあったのだが、打球はシフトにハマったり、守備陣の好守もあり、先制点を許さなかった。この結果を只のラッキーで済ませることは出来ないと思う。奥川がある程度どの球種もしっかりコントロールすることが出来るため、オリックスの各打者の打球傾向がデータ通りになりやすいという側面もあるのではないかと予想する。奥川は現代野球における理想的な先発投手なのだと思う。おそらく今後の先発投手の目指すべき姿の代表格になっていくのではないだろうか?
結局奥川は、ピンチを耐えに耐える中で山本よりも長い7イニングを投げ切ったのだが、その7回に代打モヤに同点弾を浴びてしまった。2球目のインコースの際どいボールがボール判定されてしまった直後の外角高めの変化球を捉えられてしまった。それでも7回1失点でオリックス打線を抑え込んだのだから十分合格点を与えられる内容である。シーズン、CS、シリーズと投手としての総合力の高さを見せ付けてくれた。素晴らしい投手である。
リリーフ陣は2点リードの状況で8回清水、9回マクガフという勝ちパターンを投入出来る展開に持ち込むことが出来た。後は、この2人に任せるだけというシチュエーションだったのだが、ここからオリックスが何故パリーグを制することが出来たのか?という部分を見せ付けられるような展開となってしまった。
8回から登板した清水が吉田正、杉本からしっかりアウトを取った地点で打順の巡り的にもかなり勝利が近付いてきたように感じたのだが、ここからもう1つのアウトがなかなか取れず、Tー岡田、安達に出塁を許すなど、嫌な場面を作ってしまった。それでもラベロを三振に斬って取り、事なきを得たのだが、この回だけで32球投げさせられ、オリックス打線が吉田正、杉本だけではないところを植え付けられるイニングとなった。この時点で、9回に吉田正まで打順が回るようだと嫌なだな…という予感がし始めていたのだが、その悪い予感は当たることとなってしまった。
9回にマウンドに上がったマクガフは、ストレートが走っているように感じたため、これなら大丈夫かな?という気持ちで見ていたのだが、紅林にヒットを打たれると、代打ジョーンズに四球を与えてしまい、球場の雰囲気が変わり始めると、その雰囲気に飲まれるように、続く福田の送りバントがフィルダースチョイスとなってしまい、0アウト満塁という絶体絶命のピンチを招いてしまった。何とか切り抜けたかったのだが、宗に同点タイムリーを浴びると吉田正には前進守備を敷いていたセンター塩見の頭上を越えるサヨナラタイムリー2ベースを浴びてしまい、1アウトも取れずに逆転サヨナラ負けを喫することとなってしまった。
オリックスの大エース山本相手にこれしかないという展開でゲームを進め、奥川の好投と村上のホームランもあり、リードを守るという勝っていれば、最高の滑り出しとなったであろうゲームでの逆転サヨナラ負けはダメージがないと言ったら嘘になってしまう。それでも今日のゲームは戦前から不利予想がされていたゲームだけに、切り替えて明日の試合に臨んでもらいたい。昨年、一昨年とセリーグのチャンピオンチームである巨人が1つも勝つことが出来なかった中で、この試合もセリーグチームが勝ち切れなかったということがクローズアップされそうだが、1つの勝ちが流れを変える可能性は十分にある。
明日のオリックスの先発は宮城とのことで前半戦のような投球をされてしまえば中々難しいのだが、後半戦の宮城であれば付け入る隙はあるはずである。今日のような流れのゲームに持ち込み、最後はしっかり勝利を掴んでもらいたい。
宮本、オスナの状態はどうでしょうね?試合に出られる状態であれば良いのですが…
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コメント
終盤の攻防の粘りに勝機があると思っていましたが、守りきれずにやられましたね。
振り返れば、序盤から山本との激しい攻防で実はヤクルトの方がスタミナ切れしたという印象です。一方、オリックスは山本の試合で劣勢のまま終わらないという粘りが凄かった。返り討ちならぬ返り打ちされました。それだけ山本への信頼が厚いのでしょう。山本という柱の大きさを改めて感じさせられました。2戦目以降は早めに先発投手を打ち崩し、ラフな展開に持ち込むことが出来ればと考えます。
攻撃力ならウチの方が上だと感じましたね
守りは福田宗をランナーにしすぎましたが、吉田杉本は狙いどおり作戦どおりに抑えた
10月無失点のマクガフがこの結果だったのは予定外ですが、
私としてはバントは一塁に投げて欲しかった
同点止まりならこちらの方がリリーフ使ってなかったし延長は有利だったかもしれない
意志疎通が大切ですね
宮本丈の状態が心配ですね
とにかく2戦目必勝の応援ですね
ビジターでイーブンなら御の字ですから
パインさんへ
山本という柱の大きさは感じましたよね。あと一歩という所まで追い詰めたんですけどね…惜しいゲームでした。
saboさんへ
マクガフが1アウトも取れずに逆転サヨナラ負けを喰らってしまったことのショックはありますよね。
宮本の状態は心配ですよね。2回の守備は守り慣れていないライトでの決死のジャンピングキャッチということでグッとくるものがありました。