ヤクルト5-3西武
最近のNPBの傾向からすると高津ヤクルトの強さと言うものは説明し辛いものがある。「守り勝つ野球」、「打ち勝つ野球」などと言う単純な言葉では括れない勝負強さを感じさせてくれる。多くの選手の本来の力を引き出すためのマネジメント、「チームの勝利」という最大の目的を選手に落とし込むマネジメントは見事なものがある。投手陣も野手陣もいつの間にか少しずつ層が厚くなってきている印象である。私が思っている以上に今のヤクルトは「強いチーム」なのかもしれない。
先発の高梨は、2度のリードを守り切れず、決して良い内容の投球ではないように感じた。外崎のホームランも山川のホームランもストレートと変化球を完璧に捉えらてしまっており、ボールの威力を感じることが出来なかった。それでも勝ち越し点を与えずに6回3失点で粘り切ってくれたことは大きかった。初回以降は与四球がなかったことも大きかったのではないだろうか?ボールが走らず、コントロールも定まらなくなってしまうとピッチングにならなくなってしまうのだが、今日の高梨はよく我慢したと思う。
リリーフ陣は、2点リードの7回から清水ー田口ーマクガフと繋いで、勝利を手に入れてみせた。前日のブログで今野ー清水ーマクガフという継投が1つの型になるのでは?と書いたのだが、今日は7回に清水、8回に田口を持ってきた。この辺りの投手運用の上手さが非常に目立っている。リリーフ投手の起用法については過去にこんな記事を書いている。→「現代野球における7,8,9回の重要性」
この記事を書いたのは2013年のことなのだが、その後もリリーフ投手の酷使という部分は、どの球団でも課題になり続けてきた。特定の投手の負担が大きくなってしまう状況が続いていた。3連投や4連投を意識的に避けたり、勝ちパターンのリリーフ投手とそれ以外のリリーフ投手をきっちり分けて対応したりして、少しでも負担を軽減しようとする姿はどのチームでも見られたのだが、リリーフ投手の酷使という意味では根本的な解決に繋がってこなかった印象がある。
高津監督は、就任初年度から選手を非常に大切にする監督という印象がある。コンディショニングというものを重要視し、決して無理をさせないようにマネジメントを行っている印象がある。その中で投手運用についても各投手の球数、登板間隔などをこまめにチェックしながら選手を起用している姿が見られる。クローザーのマクガフ以外は、役割を完全に固定することなく、様々な場面で臨機応変に起用されているように感じる。この起用法は、リリーフ投手にとって準備が難しくなるというデメリットがあるはずなのだが、今の所そのデメリットを感じさせない投球を見せてくれている。おそらく、その場その場の感性で選手を起用しているのではなく、選手と首脳陣との間でしっかりコミュニケーションを取った中で選手を起用しているものと思われる。そこで信頼関係が築かれているからこその投手運用なのではないだろうか?2軍ではコンディション不良で登録抹消されていた梅野も登板することが出来ている。選手を大切に扱うことで多くの投手が経験を積むというメリットも見え始めてきた。今後リリーフ投手の起用法というものを考えるときに高津ヤクルトのマネジメントというものが1つのものさしになる可能性はあるのではないだろうか?
打線は打線で今日は、下位打線が頑張った。2回には6番オスナ、7番内山壮の連打でチャンスを作ると8番長岡が犠牲フライ、9番高梨がタイムリーを放ち、2点を先制してみせた。追い付かれた後の3回にはこの試合5番に入った濱田がしっかり送りバントを決め、1アウト2,3塁のチャンスを作るとオスナの内野ゴロの間に勝ち越し点を奪ってみせた。
再度追い付かれた後の6回にはオスナのヒットと内山壮の送りバントで作ったチャンスで長岡がしぶとくタイムリーを放つと、塩見にもタイムリー2ベースが飛び出し、この回2点を勝ち越すことに成功した。
今のヤクルト打線で最も怖い打者は間違いなく村上である。その村上が勝負を避けられることにより、得点力が低下してしまう部分はあると思うのだが、今日のように5番打者でも送りバントを決めるなどしてチャンスを作ることが出来れば、1点でも得点するチャンスを広げることが出来る。長岡の犠牲フライやオスナの内野ゴロの間の1点などは非常に地味な得点ではあるのだが、投手陣が安定している中では地味でも大きな意味のある1点になっている。
首脳陣と選手の信頼関係、投手陣と野手陣との信頼関係が上手く築けているように感じる。「不思議と強い。」という言葉を使ってしまう場面もあるのだが、いつの間にか「不思議」という言葉がなくなり「強い。」と表現される可能性もあるのかもしれない。「高津ヤクルト」がNPBの歴史に残るチームになる可能性もあるのかもしれない。
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コメント
昨日の高梨は味方が得点した後すぐに失点というパターンで、勝ち投手になりにくい内容なのに、終わってみたら自身のバースデーを勝利投手で飾り、チームは交流戦初の同一カード三連勝に導きましたからね。持ってますね。
西武ファンじゃないですが、勝敗に影響しない形での山川の豪快すぎる一発も見れて、いい結果の試合だったと思います。彼に神宮球場は狭すぎますね。
高津マネジメントは先発投手を中六日以上で回したりと新しいですね。選手が揃っていないと出来ない手法ですね。ここら辺は現役時代の故障者が多かった野村野球の負の面が頭にありますかね。
この日はバントで進めて犠飛や内野ゴロで1点という巧い野球が出来ましたね
特に長岡の交流戦での得点圏打率.429は神がかってる
オスナも交流戦打率.333だし
中村内山もいて下位打線が交流戦は良いんですよね
守ってはリリーフ陣が凄過ぎる&先発は渋い安定感ですね
2015年に高津監督が投手コーチになったときにも回跨ぎより連投の方が負担が大きいという考えから6.7回を任せるリリーフは当番制にしようとしたり、先発を中7日で回すゆとりローテなんかがありましたが、苦肉の策という面もあった2015と違い今年は理想的に実現できている気がします
リリーフは木澤と大西がちゃんと2イニング抑えるし、先発は既に7枚用意できていて奥川と金久保を待てる余裕がありますからね
超匿名さんへ
高津監督は選手が揃っていなかった2020年シーズンも選手に無理はさせなかったですよね。そういった起用法がいつの間にか選手層を厚くしていましたよね。
saboさんへ
投手運用に関しては、明らかに他球団とは違っていますよね。よくこれだけの投手が戦力になったと驚いています。