2022 THE頂上決戦!

日本シリーズ第2戦
ヤクルト3-3オリックス(延長12回)(ヤクルト1勝1分け)

昨年のシリーズに引き続き、リーグチャンピオンチーム同士の素晴らしいゲームが続いている。今日のゲームに関しては、昨年のシリーズから数えて8試合目で初めて完全にオリックスに主導権を握られながら進行したゲームとなった(昨年の第5戦目に少しだけオリックスに主導権を握られた場面はありましたが…)。しかし0-3とリードされて迎えた9回に代打内山壮に同点3ランホームランが飛び出し、試合を振り出しに戻してみせた。
普段引き分けのゲームがあると「勝ちに等しい引き分け」とか「負けに等しい引き分け」という言葉を使うのだが、日本シリーズでの頂上決戦では、そんな言葉も陳腐な言葉に感じてしまう。主導権を握り、細かい投手継投で試合を優位に運んだオリックス、劣勢ながらプレッシャーは掛け続け、9回に若手のホープ内山壮の3ランホームランで追い付いたヤクルト、追い付かれた後に1点を与えなかったオリックス、10回以降ピンチの連続ではあったが、粘り切ったヤクルト、というように両チームの良さが出た中での引き分けは、NPBの頂上決戦に相応しいゲームとなったし、野球の面白さを堪能できる至高のゲームとなった。昨年は両チームとも最下位からリーグ優勝を果たして日本シリーズに駒を進めていたのだが、今シーズンはリーグ2連覇を果たしたもの同士の頂上決戦ということで、おそらく両チームのファン以外のプロ野球ファンの方々もヤクルトとオリックスの力を認めてくれているのではないだろうか?

このブログはヤクルトを応援するブログであるため、まずは9回裏の攻撃を振り返ってみたいと思う。打線は、今日も塩見、オスナが奮起したのだが、山田、村上含め、他の打者に中々当たりが出ず、山崎福ー山崎颯ー宇田川ーワゲスパックという継投の前に得点を奪うことが出来なかった。先発の山崎福が降板した4回までに1点も奪うことが出来なかったことが大きく圧し掛かるゲームになってしまったと感じたし、昨日に続いてオリックスリリーフ陣の質、量ともに昨年とは比べ物にならない程パワーアップしていることを感じさせられるゲームとなっていた。昨日村上がホームランを放った平野がベンチ外だったのだが、それも現在のオリックスリリーフ陣が充実しているからこそ出来る采配のように感じていた。9回はリーグ優勝を決めたゲームでもクローザーを任されていた阿部がマウンドに上がった。正直3点という点差はあまりにも大きな点差だと感じていたのだが、この回先頭の宮本が阿部の決め球フォークをきっちり見極める中で粘り、9球目を右中間に運ぶ2ベースヒットで出塁したことによって、ヤクルト側に勢いを付けてみせた。塩見も四球を選んで、0アウト1,2塁とチャンスを作ると、今野の所でヤクルトベンチは内山壮を代打で起用してきた。今日は3回からビハインドの展開となってしまい、早い段階で川端、宮本、青木と代打で起用してしまっていたため、正直この場面では、内山壮のバットに期待するしかないシチュエーションになっていたとは感じていたのだが、結果までは感じ取ることは出来ていなかった。点差が3点あるため、打って繋ぐ他ない場面だったのだが、2球で簡単に追い込まれてしまい、タイミングも合っていないように感じたため、初見で好調阿部のボールを捉えるのは難しいと感じたのだが、その後宮本同様、いいコースのフォークをしっかり見極め、カウントを2-2まで持っていくと6球目のストレートに鋭く反応し、打球はレフトスタンドに飛び込む、同点3ランホームランとなった。低めのフォークを見極めた後で高めのストレートは手を出しやすいコースだったのかもしれないが、それにしてもこの場面で代打で登場し、簡単に追い込まれた後にホームランを放ってしまうとは…頂上決戦に彩りを加えたのは、高卒2年目の天才内山壮だった。星稜高校時代から「天才」と形容されることがあった選手なのだが、今日の一発はまさに「天才」にしか出来ないような所業だった。不振の山田がおいしいところで貴重な一打を放ったり、三冠王村上がヒーローになる展開を頭の片隅に入れていたのだが、その前に衝撃的な出来事を目の当たりにしてしまい、私は声を失ってしまった。
その後阿部が山田、村上、オスナをしっかり抑え込んだことを思うと、やはり内山壮の一発は非常に価値の高い一発となった。全国のプロ野球ファンに内山壮の存在を知らしめる一発となった。

こうなるとホーム神宮で戦っているヤクルトが優位になることが多いのだが、延長に入って以降も中々1点を奪うことが出来なかった。10回には2アウト1,3塁と一打サヨナラの場面を作ったのだが、塩見が凡退し、チャンスを逸してしまうと、このイニング以外は、オリックス打線のプレッシャーにさらされるイニングが続いてしまった。10回表はマクガフが小田、西野に連打を浴びピンチを招くとその後も2アウト1,3塁までチャンスを広げられてしまったのだが、最後は何とか伏見をショートゴロに打ち取るピンチを凌ぐと、11回の表は、昨日ゲームで失点している清水が先頭の福田に四球を与え、その後1アウト2塁のピンチを招くのだが、ここも後続を断ち、オリックスの勝ち越しを防いでみせた。12回は田口が吉田正、小田を抑えると、右バッターが続くところで木澤を起用するという大胆とも繊細とも捉えられるような継投策でオリックス打線を抑えにかかった。木澤のボールは昨日に続いて荒れており、1つのアウトを取るのに苦労したのだが、最後は伏見をインコースのシュートで打ち取り、今日のゲームの負けをなくしてみせた。オーソドックスに考えるのであれば、このイニングは田口に任せた方が無難だと感じるのだが、それでも木澤を投入する辺りに高津監督や首脳陣とリリーフ陣との信頼関係を見て取ることが出来た。

今日は、内山壮の3ランで試合を振り出しに戻すことが出来たのだが、オリックスに主導権を握られる展開になってしまうと非常に厳しい展開になることが理解できたゲームとなった。それだけに先制点の意味が大きなシリーズになりそうである。おそらく今日のヤクルト先発サイスニードの出来は、悪くなかったと思う。それでもちょっとした綻びから3回にピンチを招いて2点を失ってしまった。下位打線からピンチを招いてしまい、乗せてはいけない投手の山崎福に先制タイムリーを浴び、その後サンタナのミスも絡んだ中で1点を追加されてしまった。正直防がなければならない失点だったと思う。こういった失点が即敗戦に繋がる危険性があることを認識させられるゲームとなった。

私は事前記事のポイントの1つとして、神宮球場での初戦、2戦目で1つは勝利を手にすることの必要性を書かせてもらった。そのため1勝1分けという数字は、数字上ほぼ理想的な展開に持ち込めたと言いたくなるのだが、2試合を戦ってみての感想としては、「オリックスが昨年以上に手強いチームになっている。」というものである。今のオリックスから後3つ勝利を手にしなければならないという状況は決して簡単な状況ではないことは確かである。今日のような展開に持ち込まれてしまうと勝機は薄くなってしまう。それでも何とか3失点で粘ったからこそ、同点に追い付けたという部分もあるのだが…。やはり投手陣が与えて良い失点は、どんなに甘く見積もっても4点までである。それ以上の失点を打線が跳ね返すことは容易ではない。2試合終わった段階で1勝1分けでも全く楽観視できないシリーズとなっている。

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コメント

  1. アーム より:

    昨年に引き続き野球ファンを楽しませてくれる日本シリーズを魅せてくれて幸せです!
    次の三連戦は内山のスタメン起用があるのか、それとも終盤での切り札に取っておくのかも楽しみに月曜日を過ごします\(^o^)/

  2. 超匿名 より:

     オリックスのリリーフ陣は誰であってもクローザーを務められそうなメンバーの様に感じますが、それでも初戦の村上に続きこの試合も抑えと目される投手からの一発を放ったことで、初戦山本で落としたことと合わせて相手側の方が誤算具合が大きいのではと思います。ヤクルト側はサンタナの守備の拙さはある程度織り込み済みでしょうし、山田の不振も今シーズンの姿を考えればギリギリ想定の範囲内にあるのではないでしょうか。
     一勝一分けで悪くても神宮に戻ってくることが確定しました。京セラでも熱戦を期待したいですね。

  3. sabo より:

    内山壮は私には「主人公」というイメージがあります
    勝負強いというか数少ないチャンスや失投を逃しませんね

    勝てれば良かったが引き分け
    でもこれでいくつ負けても必ず神宮に帰ってこれますね
    もちろんヤクルトが京セラで胴上げなら最高ですが

  4. FIYS より:

    アームさんへ

    一ヤクルトファンとして、そしてプロ野球ファンとしてこのような激闘を見ることが出来ることは幸せですよね。

    石川登板日などはスタメンマスクの可能性もありますかね?

  5. FIYS より:

    超匿名さんへ

    リリーフ陣に関しては、この1年でオリックスがよくここまでメンバーを揃えてきたなという印象です。それでも負けなかったことを次戦以降に活かしたいですよね。

  6. FIYS より:

    saboさんへ

    日本シリーズの場合、引き分けは引き分けでどちらに優位に働くということでもないかなと思っていましたが、ヤクルトにとっては3連敗したとしても神宮に戻ってこれるというプラス要素はありますよね。

  7. JEF九郎 より:

    まーーーさかの一発に家で思わず声が出ました。
    長岡といい内山といい、なかなかに未来は(も?!)明るいですね。

    また、オールドファンとしてはややも寂しくありますが、代打のカードの切り方も流石だと思いました。内山は勿論ですが、先頭の宮本の働きは忘れてはいけないと思います。


    さて、残り5戦ですが、個人的には山田を激しく応燕します。今まさに絶不調でキャリアの過渡期に差し掛かっていますが、恐らく高津さんは、今回に関しては彼の皓交代はおろか、打順も変えないでしょう。
    身体が中々ついてこなくもどかしいプレーが続いているでしょうが、1本で良いので、維持の一撃を期待したいと思います。

  8. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    山田は絶不調というよりは、現状で必死にもがいているという状態に思えます。

    高津監督は動いてきましたね。1番での起用に応えた山田も見事でした。

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