村上頌樹がホンモノなら吉村貢司郎もホンモノだ!

2023試合結果


ヤクルト1-0阪神

「ベストゲーム」と考える試合は人それぞれ違ってくると思うのだが、私は、今日のような勝ちゲームは、今シーズンの「ベストゲーム」候補に入ってくる。試合前まで開幕から25イニング連続無失点という記録を継続していた阪神先発村上からそう多くの得点は期待できない中で、勝つためにはロースコアの展開に持ち込む必要があった。それどころか1点であったとしても先制点を奪われてしまうとかなり苦しいゲームになることが予想された、そんなゲームでルーキー吉村が初回から見事な投球を披露してくれた。吉村は、前回の神宮での阪神戦もチームが7連敗中、自身もプロ初白星が遠い中でメンタル的にもプレッシャーがかかるゲームだったのだが、しっかり連敗を止め、自身もプロ初白星を掴み取ってみせた。今日は今日で初回から飛ばした中で6回を無失点で抑え、結果として村上に投げ勝ってみせた。村上は村上で今日も素晴らしい投球を見せ、その実力が「ホンモノ」であることを示したのだが、吉村は吉村で実力が「ホンモノ」であることを示してくれた。やはり並のルーキーではない。

ヤクルト先発の吉村は、前回の登板時と同様、初回から飛ばしているように感じた。特にストレートにキレがあり、常に主導権を握った中で阪神打線と対峙することが出来ていた印象である。元々カウント球としても勝負球としても使える球種が豊富であり、投手としての引き出しの多さも武器としているタイプだけにボールが目に見えて走っている日は、NPBの打者でも簡単に捉えられないだけのスキルを持っている投手である。初回~3回までは阪神打線をノーヒットに抑え、4回は中野に初ヒットを打たれてしまうのだが、その後のクリーンアップノイジー、大山、佐藤輝をしっかり抑え込んでみせた。6回は2アウトから中野、ノイジー、大山に3連続四球を与え、ここで一本打たれてしまうと試合が決まってしまうというピンチを招いたのだが、佐藤輝をフォークで三振に斬って取り、6回を無失点で投げ終えてみせた。前回の登板時も3連続四球でピンチを招くことがあったのだが、コントロールが大きく乱れた印象はなく、シチュエーションを考えた中で細心の注意を払った中での四球という印象で決して悪い四球ではなかった(結果論と言えば結果論ではあるが…)。大山、佐藤輝との勝負では、球数はすでに80球を超えていたのだが、まだまだ150キロ越えのストレートを投げ込むなど、スタミナがあることも示してくれた。
その後サンタナに一発が飛び出し、2試合連続で勝ち投手になったのだが、どちらのゲームも決して簡単なシチュエーションのゲームではなかったため、そこでしっかり結果を出し、勝ち投手になったことで、吉村自身が自身の実力を各所に示してくれたように感じる。吉村は「ホンモノ」である。
リリーフ陣も前回の吉村の登板時と全く同じ継投で、1-0という最少得点差のゲームで仕事を果たしてみせた。7回石山、8回清水がランナーを出しながらも無失点で抑えると、クローザーの田口は1アウト3塁と一打同点のピンチを招いてしまったのだが、そこから渡邊諒、木浪を伝家の宝刀スライダーで連続三振に斬って取り、緊迫した場面を凌いでみせた。
甲子園の独特の雰囲気がある中でリリーフ陣も非常にプレッシャーが掛かったと思うのだが、実績のある3投手が結果を残してみせた。見事な投球だったと思う。


打線は、前回の対戦で8回を無失点に抑え込まれてしまった村上に今日も苦戦することとなった。今シーズンの村上は、今日の試合前までに25イニング連続無失点を継続しており、それどころか走者すらもほとんど許していないという驚異的な投球を披露していた。プロ野球ファンが「今最も見たい。」と感じる投手の一人である。その村上相手にチャンスを作ったのは、2回だった。先頭の村上がレフトへのポテンヒットで出塁すると続くサンタナもヒットで続き、0アウト1,2塁と前項のチャンスを迎える。しかしここからオスナが三振、長岡、古賀がキャッチャーへのファールフライに倒れ、何もさせてもらえなかった。伸びのある高めのストレートと同じフォームから繰り出されるフォークを軸に、カットボールやツーシームも使いながら内外角も広く使え、スローカーブで緩急も使える村上は、「THEピッチャー」と呼びたくなるような素晴らしい投手である。3回以降も四球やヒットでランナーが出る場面はあったのだが、正直得点の匂いはしてこなかった。今日の村上の出来も良かったように感じる。しかし吉村が無失点ピッチングを続ける中で、一振りで勝利を手繰り寄せたのは好調サンタナだった。7回先頭打者として打席に入ったサンタナは、カウント2-2からのストレートが真ん中に入ってきたところを見逃さず、強振すると打球は左中間スタンドに飛び込む先制ソロホームランとなった。おそらくは外角いっぱいに決めにいったストレートが中に入ったと思うのだが、このわずか1球の失投をしっかり捉えたことが素晴らしい。おそらくもう少し高めに投じられたのであれば、差し込まれてしまう可能性もあったと思うのだが、サンタナの腕が伸びるコースにボールが入ってきた印象である。試合展開を考えると非常に大きな一発となった。
結局は、村上相手に7回で1点しか奪えなかったのだが、連続無失点イニングを31回で止めたことに大きな意味があると思う。村上頌樹の凄さを改めて感じさせられるゲームを1-0というスコアで勝利したことを思うとやはり今シーズンの「ベストゲーム候補」の一つになるゲームだったと感じる。

P.S 9回裏からセカンドに武岡が入ったのですが、この展開で山田を下げて武岡を起用したということは、やはり山田のコンディションは良くないということでしょうね。本来であれば守備も山田の方が上ですからね。9回の打席ももしくは走塁時に怪我を悪化させていなければ良いのですが…ギリギリの状況でのプレーが続きそうですね。




東芝 ER-WS17-W

新品価格
¥18,100から
(2023/5/9 21:47時点)




にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村

コメント

  1. 超匿名 より:

     勝ったから良かったものの、村上恐るべしという印象を深めました。良い投手であると思ってはいましたが、百マイルの豪速球や大魔神佐々木のフォークや伊藤コーチの高速スライダーといった魔球がある訳ではないのに、ここまで抑え続けてきたことに驚いています。

    • fiys より:

      超匿名さんへ

      コースいっぱいに決めるストレートでの見逃しの三振もあれば、高めのボール球を振らせての三振、低めのフォークを振らせての三振もあるんですよね。ストライクに手を出させず、ボール球に手を出させるというピッチャーとしての理想形の投球を披露していますよね。

タイトルとURLをコピーしました