夢だったり、現実だったり、常識だったり、非常識だったり。

2023試合結果


ヤクルト2-3DeNA

2020年に一旦は大手自動車メーカーへの内定が決まっていた丸山翔と同じく2020年にMLBでサイ・ヤング賞を獲得したバウアーが先発で投げ合うということでそれだけでも丸山翔にとっては夢のような瞬間だったのではないだろうか?しかしこれは現実である。その現実の中で必死のプレーを見せてくれた。丸山翔はあくまでもオープナーとしての先発ということで後を継いだ石川も夢の200勝に向けて好投してくれたのだが、野手陣が守備でミスを連発してしまい、現実に引き戻されてしまった。
今日のゲームではその他にも中4日で登板したバウアーの完投劇や上記の通り石川を2番手として5イニングを任せたりと野球界の常識や非常識というものも改めて考えることが出来る興味深い1戦となった。


①バウアーの登板
・DeNAがバウアーの獲得を発表した時に次のような記事を書かせてもらった。→DeNAがトレバー・バウアーを獲得 | ヤクルトファンの日記 (ysfan-nikki.com)
その後ヤクルト戦での登板はなかったのだが、今日ついにヤクルト戦で登板することとなった。このバウアー、やはり野球及びピッチングへの探求心が凄まじい印象である。先日の中日戦で感情を爆発させたように勝負に対する思いの強さも人一倍である。そんな姿はプラスにもマイナスにも働く可能性があるのだが、自分の身体の使い方や身体の理解というものは他の投手の追随を許さないものがある。今日も序盤からストライク先行の投球で、球数少なくアウトを重ね、後半はストレートの割合も増やしながら、序盤とはまた違った配球で打者を抑えにかかっている印象が残った。この投手がバリバリの現役としてNPBでプレーしていることはやはり夢のような出来事である。

②丸山翔VSバウアー
・そのバウアーと先発として投げ合ったのは、今シーズン初めて支配下登録を勝ち取った丸山翔だった。冒頭に書いた通り、バウアーがサイ・ヤング賞を獲得した年に一旦は大手自動車メーカーに内定していたという変わり種の選手である。その丸山翔が約3年後にNPBでバウアーと投げ合うのだから夢がある。このマッチアップは背景の違いも含め楽しむことが出来た。
その丸山翔は、初回からピンチを招き、自らのフィールディングでのプレーで判断ミスも犯してしまうのだが、オスナの好判断もあり、初回を何とか無失点で切り抜けると2回はDeNA打線を三者凡退に抑え、オープナーとしての役割を果たすと、3回の打席にはそのまま入り、バウアー相手に見事な送りバントを決めてみせた。プロ初打席での送りバントは簡単ではないのだが、きっちり決めてみせた。このプレーにも拍手を送りたい。そして次打者並木がセンター前にタイムリーヒットを放ち、先制点を奪うことに成功してみせた。

③石川の200勝
・今日は石川がブルペン待機となると聞いて、違和感を感じていたのだが、ブルペンデーの1人としての登板ではなく、あくまでも丸山翔がオープナーとして登板し、その後石川が長いイニングを投げるという戦略だったようである。それであれば多少納得することが出来た。石川にとっては滅多になかったリリーフ登板ということもあってか投げ始めは、多少ボールが散らばっていたのだが、その後しっかり修正してみせた。結局はサンタナ、武岡の落球が重なる不運もあり、負け投手になってしまったのだが、今後も今日のような起用法があるのだろうか?石川の勝ち星を増やすためにこのようなことをするのであれば、私は反対の立場を取ろうと思っていたのだが、あくまでもチームの勝利の近道として今日のような起用をするということであれば、少し様子を見てみたいと感じた(でもどこかに石川に勝ち星を付けやすくしたいという思いも見え隠れしてしまいますが…)。

現実
①サンタナ、武岡の落球で3失点、石川が負け投手となり、チームの連勝が4でストップ

ヤクルトファンが現実に引き戻されたのは、5回裏のことだった。石川が1アウトを取り、続く楠本もライトフライに打ち取ったのだが、サンタナが落球してしまい、思わぬ形で1アウト3塁というピンチを迎えてしまった。続く桑原にはレフトフェンス直撃のタイムリーを浴びてしまい、同点に追い付かれると、2アウト後、今度は牧のセカンドフライを武岡が落球してしまい、3アウトチェンジの所が、2アウト2,3塁という大ピンチになってしまい、ここで石川がソトに2点タイムリーを浴びてしまった。この回については、石川がしっかり捉えられたヒットは桑原のタイムリーだけと言っても過言ではなく、自責点も0なのだが、実際には、3点を失ってしまい、負け投手となってしまった。
サンタナの守備に関しては、メジャー時代から不安視されており、日本でも打球判断と球際という部分で常に不安が付き纏っている。シーズン前にメガネの着用を試すなどしているため、視力という部分にも問題があるのかもしれないが、どうしてもライトはヤクルトの弱点の1つになってしまっている。今シーズンは塩見や山田の離脱もある中で、フライ時の連携という部分でも課題が出ることが多く、今日の武岡の落球に関してもおそらくは、サンタナとの連携という部分に不安を感じながら打球を処理したために起こったミスのように感じた。このミスが敗戦に直結し、チームの連勝も止める形になってしまった。これが今のヤクルトの「現実」である。

常識と非常識
①バウアーの完投

・中4日でマウンドに上がったバウアーは、128球を投げ、完投してみせた。元々先発投手の球数制限という部分ではメジャーが先行的に導入し、その後でNPBが続いたと思うのだが、今日のバウアーの中4日での完投劇は、また新たな野球観をバウアーがNPBへ持ち込んでくれたように感じた。次の登板がどうなるのか?シーズン通してコンスタントに結果を残せるのか?という部分は、注視していかなければならないのだが、自分の身体の状況を把握することと、メカニック的なものを突き詰めていけば、今の常識とはまた違った起用法が可能になるかもしれない。
・一方でバウアーの存在は、DeNAにとっては「諸刃の剣」となる可能性もあると感じた。おそらく今日のゲームでの中4日での登板、完投はいずれもバウアー主導でことが進められたと考えられる。勝ったから良かったものの、もし8回、9回にバウアーが勝ちを消すようなことがあれば、「バウアーのスタンドプレー」、「三浦監督はバウアーを御し切れていない。」などといった声も上がったはずである。もちろんチーム内の雰囲気が崩れていなければ全く問題ないのだが、実際にはどうなのだろうか?

②オープナー戦術と石川の起用法
・高津監督はこれまでも何度かオープナー戦術は使っているはずである。まだ一本立ちする前の高橋が登板する時に何度か行っているのではないだろうか?しかし石川登板時にオープナーを採用したのは初めてのはずである。私は試合前の報道から、石川をブルペンデーの中の一員として投げさせるのかな?と思っていたため、違和感を感じていたのだが、今日のような起用であれば、今後も考えても良いのかもしれない。もちろん石川が中10日でも良いので、しっかり先発として5イニング以上投げ切ってくれることが最も良いことだと思うのだが、こういった戦術の方がチームの勝利に近付くということであれば、検討する余地はあるだろう。

今日のゲームは色んなことを考えさせられるゲームとなった。特にバウアーの存在は、もしかすると日本の野球界に変革を起こさせる可能性があると感じた。

P.S 今日のゲームでは4回裏1アウト1,2塁の場面で珍しいプレーが起こった。石川が大和に対して投げた変化球がワンバウンドし、ボールを止めようとした捕手内山のプロテクターにボールが挟まると、市川球審が走者を1つずつ進塁させた。私は市川球審が走者に進塁を指示したのを見て、石川にボークがあったものだと勘違いしたのだが、実際にはボールが捕手や審判の防具に挟まるなどした場合には走者は1つずつ進塁できるとのルールを適用したとのことだった。これまでにもあったプレーだったようだが、私は全く知らなかった。こういう時に当たり前にルールを適用できる審判の姿に凄さと格好良さを感じた。おそらくは審判であれば常識的なルールなのだと思うのだが、プレーが流れていく中で即座に判断してルールを適用できるというのは凄いことである。




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コメント

  1. sabo より:

    石川を第二先発に入れるのは勝ち星をつけてあげたいという思いがあるように見えますよね
    ただオープナーが2イニング投げ切れると信頼するなら作戦として素直に悪くないと思いました
    というのも先攻で今日のように相手投手が好投手の場合は3回表に9番が回ってくる可能性が高いわけでチャンスや先頭打者で回ってきたなら代打を送るのもアリでしょう
    結果的には丸山をそのまま送り犠牲バントを成功させてくれましたが、序盤から駆け引きが生まれるのが面白い
    オープナーは日ハムがよくやっていましたが、DHの無いセリーグでこそオープナーの面白さが産まれるのではないでしょうか
    石川自身バント上手いので代打石川でバントさせるなんてのも面白かったかもしれませんね。普通は流石に投球準備を優先させるでしょうが、大谷のWBC二刀流を見ると常識では図れない気がします

    • fiys より:

      saboさんへ

      なるほど。確かに昨日に関しては、代打石川で送りバントという作戦もなくはないですよね。私はDHがないセリーグではオープナーは使い辛いと思っていますが、考えようによっては面白いですよね。

  2. 超匿名 より:

     落合監督時代の中日で日本シリーズで大記録より勝利を優先して議論が起こったことがありました。石川の話もペナントレースなので優勝を目指して戦うのが前提ではありますが、私は本筋から外れたレア度という視点でも物事を見てしまいます。ヤクルトとして少なくない回数の優勝をしていますが、先発二百勝は国鉄時代の金田氏だけでヤクルト球団史上達成者がまだ
    いません。去年の様な優勝争い真っ只中でアシストみたいな事をして欲しくはありませんし、まだ180勝台でやる事でもないと思いますが、ペナントから見放されたシーズン終盤に、あと数勝位の段階なら達成への配慮があっても許容範囲かなと。
     

    • fiys より:

      超匿名さんへ

      私は、チームより石川が優先になってしまった場合には否定的な意見を述べる可能性があります。今回は、継投が上手くハマった部分もあるのでもう少し様子を見てみたいと思います。もちろん石川の200勝は見たいですが…

  3. アーム より:

    自分もあのルールは全く知らなかったです!
    石川にとっては『不運』の連続な登板でしたね。
    自分的には石川には先発で200勝を達成してほしいですが、首脳陣は厳しいと判断して今回の方法を試したんでしょうね。

    • fiys より:

      アームさんへ

      おそらく今の石川の力では先発よりもオープナーを使った方が「勝ち」に近付けるという部分はあったのでしょうね。

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