ヤクルト11×ー10巨人(延長10回)
ヤクルトの先発が市川、巨人の先発が菅野ということで、このマッチアップは正直非常に厳しいかな?と戦前には感じていた。しかし初回にヤクルト打線が菅野に襲い掛かり、あっという間に6点を奪い、菅野をマウンドから引きずり下ろしてみせた。こうなると、何とか市川にアウトを重ねていってもらいたいと願うのがファンなのだが、この大量援護があっても市川は結果を残すことは出来なかった。結局巨人打線を抑えきれず、代わった尾仲、今野も巨人打線を止めきれず、6点のリードをひっくり返されてしまった。
それでも内山に逆転満塁ホームランが飛び出し、もう一度ヤクルト側に流れが傾いたのだが、ここでも大西、木澤というリリーフ陣が失点してしまい、3点のリードを吐き出してしまった。試合は全く落ち着く気配を見せず、流れ的には7回に追い付かれたこと、その裏のチャンスを逃してしまったことにより、巨人ペースになりつつあるかな?と感じていたのだが、そんな流れを断ち切ったのは、ヤクルトが誇る「8回の男」清水だった。今日は、前半戦最後のゲームであり、試合展開も試合展開だったため、8回、9回の2イニングを任されたのだが、その2イニングをパーフェクトに抑え、巨人に傾きかけた流れを完璧に止めてみせた。今日の仕事の仕事ぶりは特質すべき仕事ぶりとなった。
ちなみに昨年も巨人との大乱戦で清水を評価した試合があった。→「夏の神宮劇場」開演 | ヤクルトファンの日記 (ysfan-nikki.com)
10回は田口が三者凡退で巨人打線を抑えると、その裏最後に決めたのは、今日6番セカンドでスタメン出場していた武岡だった。2アウト1,3塁の場面で中川のシュートをレフト前に運んでみせた。「やるしかない。」場面で最高の結果を出してくれた。
いかにも「真夏の神宮劇場」という大乱戦となったのだが、どんな形であれ、勝利を手に出来たことは、オールスター明けに繋がるはずである。最後の最後まで諦めずに戦い続けてもらいたい。
ヤクルト先発の市川に関しては、今シーズン3度目の先発起用だったのだが、これまでの2回の先発時以上に、今日のゲームに先発起用したことが予想外だった。すでにこのブログでも何度も触れているのだが、市川は明徳義塾高校時代のようなパワー型サイドスローの投手としての成長曲線からは外れており、技巧派に転身中なのかもしれないが、ストレート、変化球ともにキレを感じず、そのため1つのアウトを取ることに苦労してしまい、厳しいコースを突こうとすると見極められて四球を与えてしまい、甘く入ると打ち込まれてしまうゲームが続いている。2軍でも明確な結果を出せている訳ではなく、オールスター前最後のゲームとなる今日の巨人戦で市川を起用した意図が分かりづらかった。
それでも初回を無失点で立ち上がると、打線が巨人先発菅野を打ち込み、6点という大きな援護点をプレゼントしてくれた。こうなると市川の初勝利も期待したのだが、2回以降の投球は、これまで通りの市川の姿だった。2回は四球からピンチを招くと、門脇に2点タイムリーを許してしまう。3回も四球でランナーを許すと秋広にインハイのストレートを豪快にライトスタンドに運ばれてしまい、2点を失うと、続く岡本和を歩かせたところで降板となってしまった。代わった尾仲も失点してしまったため、市川は、結局2回1/3を被安打3(被本塁打1)、与四死球3の5失点という数字が残ってしまった。
市川に関しては、高津監督がどういう意図で今日の先発マウンドに上げたのか分からないのだが、今の投球内容を見る限りでは、「期待値が高いから」という理由があるとは思えない。元々は高津監督と同じサイドスローの投手ということもあり、育てていきたい投手の1人であったとは思うのだが、今日の投球で、今後1軍で投げる機会がすぐに巡ってくることはあり得ないように感じた。高津監督もどちらかというと「今日結果を出せなければ、今のままでは通用しないということだよ。」ということを市川に伝えるために登板させたのではないか?と勘繰ってしまう(実際にはもう少し違う理由があると思うのだが…)。個人的には、明徳義塾高校時代から好きだった投手だけに、何とか結果を残してもらいたいのだが、やはり今のままでは苦し過ぎる。
大乱戦になったゲームは、市川以降に登板した尾仲、今野、大西、木澤もそれぞれ失点してしまい、嫌な雰囲気で8回表を迎えたのだが、ここから嫌な流れを止めてくれたのは、清水だった。8回はヤクルト戦に滅法強い大城をライトフライ、今日猛打賞の中島を三振、重信をセカンドゴロに打ち取り、13球で三者凡退で抑えると、9回も続投となり、これまた今日猛打賞の門脇をショートゴロ、梶谷を三振、吉川をセンターフライに打ち取り、2イニングをパーフェクトに抑えてみせた。個人的にはこの展開でもしっかり自分の役割を完璧にこなしてくれた清水を「MOM(マン・オブザ・マッチ)」に選出したいと思う。逆転満塁ホームラン含む2ホーマー6打点の内山、サヨナラヒットを放った武岡はもちろんヒーローなのだが、今日のゲームの勝利の立役者は清水で間違いないと思う。ナイスピッチングという言葉だけでは足りないくらいのナイスピッチングだった。
10回を任された田口もセンター山崎の好守もあり、巨人打線を三者凡退に抑え、その裏のサヨナラ勝利を呼び込んでみせた。前半戦苦しんだヤクルト投手陣の数少ないストロングポイントが8回清水、9回田口の存在である。
打線は、初回に菅野に襲い掛かった。菅野はコンディション不良もあり、全盛期の投球と比べれば、十分打ち崩すチャンスはあるのだが、それでも試合を作れてしまうのが菅野である。その菅野相手に積極的な打撃で、並木、山崎が連打でチャンスメイクするとサンタナのタイムリー2ベースでまずは1点、続く村上は菅野のフォークを左中間スタンドの中段まで運ぶ3ランホームランを放ってみせた。この4得点でも十分なくらいだったのだが、その後内山にも2ランホームランが飛び出した。菅野の外角のスライダーに対して、ポイントを前にして捉え、レフトスタンドへライナーで運ぶ見事なホームランとなった。
その内山は、巨人に逆転を許した後の4回に2アウト満塁で打席が回ると、代わったばかりの船迫のインハイのストレートを力負けすることなく打ち返すと打球は左中間スタンドに飛び込む逆転満塁ホームランとなった。船迫はサイドスローから150キロを超えるストレートを投げる投手であり、慣れるまでは対応が難しい投手だと思うのだが、最も力のあるインハイのストレートを完璧に捉える辺りが、内山の天才性を示している。こういう場面で最高の結果を残せる内山は、やはりスペシャルな選手である。
その後巨人に追い付かれてしまうのだが、上記の通り、清水、田口が試合を落ち着かせると、最後に決めたのは武岡だった。同期の長岡の背中を追う立場にはなっているのだが、徐々に出場機会を増やしている。今日はもしかするとこれまで結果を残している菅野が対戦相手だったからこその先発起用だった可能性があるのだが、最後の最後で大仕事をしてみせた。中川がインコースへシュートを投げようとしたものが外に行ってしまった失投だったのだが、その失投をしっかりレフト前に運んでみせた。こういった一打は、今後の成長に繋がるはずである。試合を決めた武岡にも大きな拍手を送りたい。
市川ー菅野のマッチアップと聞いて、「打ち勝てばいいじゃないか!」と考えた方もいると思うのだが、こういったマッチアップのゲームで本当に大乱戦になることはほとんどないことである。しかし今日は、そんなファンの妄想、希望を叶えるようなゲームとなった。強いチームの勝ち方ではないが、猛暑の日のゲームに相応しい熱いゲームとなった。
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コメント
序盤の大量点がありながら追い付かれるケースでは結果的に敗戦の場合が多いですが、よくサヨナラに持ち込んでくれましたよ。望み通りの巨人戦スイープとなり気分は上々です。
いい加減二軍で結果が出ていない市川起用については反対ですね。見ていて勝ち投手になるビジョンが全く見えてきません。それだけ投げる投手がいないという事なんでしょうか。食べても太れない体質が私と同じなので親近感を覚えますがそれはそれ、この投手より出番を貰えない高梨辺りは相当奮起しないといけないでしょうね。
超匿名さんへ
どんな形でも巨人戦の3タテは嬉しいですよね。
いくつか選択肢がある中で市川先発を選んだと思うのですが、私もかなり意外な判断だと感じました。市川自身は何かを変えなければならない時期に差し掛かっていますよね。