氷上の革命家!?芸術家!? フィリップ・キャンデロロ

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思い出ショートショート⑰
先日X(旧Twitter)で「フィリップ・キャンデロロ」について呟いたところ、珍しく複数のリプライを頂いた。改めて動画を見てみるとやはり魅力的なスケーターだと感じたため、簡単にブログ内でも触れておきたい。
私は、幼い頃からスポーツ観戦を趣味にしていたのだが、フィギュアスケートに関しては、今も昔もほとんど興味を持ったことがなく、スポーツニュースなどを見る中で有名な選手の名前は少し知っているくらいである。採点についてもよく分かっていないため、どういった演技が素晴らしいのか?という部分については、解説を聞かなければ全く分からない。
しかし私がまだ小学生の頃に出会ったフィギュアスケーターのフィリップ・キャンデロロについては、よく覚えている。当時日本では、女子フィギュアスケートの伊藤みどりが大人気となっており、アルベールオリンピックでも大いに報道されていた。そのため、NHK杯などを我が家でも母親が中心にテレビで見ていたことを覚えている。私自身は、興味がないため、多少退屈しながら見ていたのだが、そこに登場した1人のスケーターに目が留まった。若き日のキャンデロロである。独特な衣装や音楽に合わせた動き、屈伸を繰り返すような独特なステップ(ステップとは言わないのか?)、胡坐をかいたような状態でスピンをする、いわゆる「キャンデロロ・スピン」(採点対象にはならない)などそれまでフィギュアスケートの醍醐味だと思っていたジャンプ以外の部分で興味を惹かせる演技に引き込まれてしまった。そしてエキシビションでは、観客も巻き込んだプログラムで演技をしたり、バックフリップなどの大技を繰り出したりと、とにかくファンや観客を意識したスケートで楽しませてくれた。
正直衝撃的な出会いだった。フィギュアスケートに興味のない人間をここまで引き付けるスケーターがいるとは…。それから、私は、キャンデロロの演技が始まる時には親に呼んでもらい、キャンデロロの演技を見るようになった。リレハンメルオリンピックで銅メダルを獲得した「ゴッドファーザー」、長野オリンピックで銅メダルを獲得した「ダルタニヤン」などは、よく覚えている。長野オリンピックの際には、当時で言うとベテランと呼ばれるような年齢だったと思うのだが、会場全体の空気を変えてしまう演技は、円熟味を増していた。特にストレートラインステップをしながら、上半身は、フェンシングのようにサーベルを扱う動きを組み合わせる場面は、会場の視線を一身に集めていた。今改めて長野オリンピックのフリープログラムの演技を見ても「ゾクッと」来るし、鳥肌が立つ。約5分という短い時間の中でキャンデロロが描く物語の中に引き込まれてしまうのである。今見ても涙が出そうになるくらい感動してしまう。「動と静」、「緊張と緩和」、「笑いと涙」こういった感情を上手く表現する選手だったように感じる。
フィギュアスケートの選手というものは、アスリートであり、アーティストでもあると思うのだが、このキャンデロロに関しては、アーティストよりのアスリートだったのではないだろうか?採点方式が厳格化された現代の競技会では、こういった演技は評価できないのかもしれないが、当時を知らない若いフィギュアスケートファンにも是非見てもらいたいスケーターである。私は、キャンデロロが競技会から退くとともに、しっかりフィギュアスケートを見ることはなくなった。その後、日本にも男女で世界トップのスケーターが現れ、報道量は増えた印象があるのだが、キャンデロロのような空気を身に纏った選手は、その後登場したのだろうか?私はしっかり追っかけていないため分からないのだが、やはり「唯一無二」の存在であり続けているように感じる。

P.S キャンデロロと言えば、何と言ってもより自由度が増すエキシビションの演技が最も輝く場所だったように感じています。だからこそ何とかエキシビションに出場できるように4位までに入ってもらいたいと願っていました(今は分かりませんが当時は、4位以内に入ることが条件でしたよね?)。私自身は、「ヤクルトファンの日記」というブログを書いており、最も熱心に追いかけているのはヤクルトスワローズなのですが、出来るだけ中立な目線を持って応援したいと思っています。それは他の競技でも一緒なのですが、このフィリップ・キャンデロロについては、完全に贔屓目で見ていました。それくらい魅力的なスケーター、人物でした。




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コメント

  1. apo より:

    大好きなスケーターでした。芸術的なプログラムとスケールの大きな演技・・・。ああしたスケーターがいなくなり、私もフィギュアをあまり見なくなりました。

    • fiys より:

      apoさんへ

      アーティスト型のスケーターが生き残りづらい時代になっているのですかね?
      とにかくキャンデロロは、唯一無二の存在でしたよね。
      コメントありがとうございます。

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