8回裏と9回表はレアケース

2024試合結果


ヤクルト6-5阪神

ちょっとにわかには、信じられない逆転勝ちである。35年以上ヤクルトファンを続けている中で、派手な逆転勝ちというものは何度か目にしてきているのだが、勝ち筋が全くないような展開での大逆転勝利というものは、それ程見られるものではない。印象に残る逆転勝ちと言えばどうしてもサヨナラゲームの方が強く残るのだが、今日のゲームについては、リアルタイムで見たファンの方々に語り継いでいってもらいたいと感じる逆転勝利である。

今日のゲームは、先発のサイスニードが4回に大山に先制のソロホームランを浴び、その後梅野にもタイムリー2ベースを打たれてしまうと、6回にも梅野にタイムリーヒットを許してしまった。リリーフ陣も7回は山本、8回は木澤が失点してしまい、じりじりとリードを広げられてしまった。失点の仕方も四球やミスが絡んだり、2アウトランナーなしから失点したりと嫌な形での失点が目立った。完全に阪神ペースで試合が進んでいた。

しかし8回裏に突如として試合の流れが変わることとなる。この回が始まる時点で、スコアは1-5となっており、4点のビハインドを追いかける展開となっていた。阪神の投手陣の強力さを考えると、ここからひっくり返す展開を思い浮かべることは出来なかった。この回、阪神は桐敷をマウンドに上げてきた。チャンスを作るも2アウトとなっており、厳しい状況にあったのだが、村上のタイムリーで1点を返すと、尚も2アウト満塁のチャンスで長岡が走者一掃となるセンターオーバーの同点2ベースを放ってみせた。長岡のセンターオーバーの打球については、少し驚いた。長岡は元々パンチ力のある打者ではあるのだが、ホームランなどの長打はライトへの引っ張りが主だったように思う。今日のようにセンターの頭を超す打球は珍しいのではないだろうか?大事な場面で大仕事をやってのけてみせた。続く松本直もヒットで繋ぐと、ここでベンチは、今日のとっておきの代打、山田のカードを切ってきた。その山田は、代わった岩崎からレフトへの勝ち越しタイムリーヒットを放ってみせた。チャンスは作ったものの2アウトを取られてしまっていたため、かなり厳しい状況にあったことは間違いないのだが、そこから信じられないくらいに打線が繋がった。長岡の成長と山田の気持ちを感じるイニングとなった。

ヤクルトとしては、8回にひっくり返した勢いで、そのまま9回表の阪神の攻撃をきっちり抑え込んで勝利を手にしたかった。しかし、そう上手くはいかないのが、野球であり、スポーツである。この回のマウンドに上がった大西は、先頭の森下にヒットを打たれるものの、続く大山をダブルプレーに抑え、2アウトランナーなしとする。ここで高津監督をはじめとする首脳陣は、投手を大西から田口へスイッチする。石橋を叩くようなリレーだったのだが、今日は田口の状態があまり良くなかった。前川を四球で歩かせてしまうと、続く佐藤輝には、レフトオーバーの2ベースヒットを許してしまう。2アウトからのヒットであり、代走で出場していた1塁ランナーの植田がそのままホームへ突入したのだが、ここは、ヤクルトが並木ー長岡ー松本直の連係プレーでホーム生還を阻止し、その瞬間今日のゲームの勝利が決まった。正直並木の打球判断については、微妙なものも感じたのだが、クッションボールの処理と長岡への返球は非常にスムーズだった。冷静なプレーが出来たのではないだろうか?2アウトだったこと、1塁ランナーがスピードのある植田だったことを考えると、阪神が植田をホームへ突入させたことは、当たり前の判断だと感じる。おそらく並木も長岡も松本直も植田がホームを狙ってくることは頭に入っていたはずである。だからこそ普段以上にプレッシャーが掛かるプレーだったと思うのだが、その中でしっかり連携した中で植田の生還を阻止した場面は、見事だった。

今日のゲームの8回裏、9回表の攻防は、エンターテイメント性に優れたイニングとなった。それにしても阪神相手にこういった展開で逆転勝利を収めるとは思ってもみなかった。それを実際にやり遂げてしまうのだから素晴らしい。野球というスポーツは相手があって初めて成立するゲームである。どちらも全力で戦うからこそ、信じられないような逆転勝ちや逆転負けが起こるのだと思う。今日のゲームもそういったゲームとなった。

P.S 今日のゲームは、ヤクルトというよりは、阪神にとって大きな意味を持つゲームになったかもしれませんね。投手陣の層の厚い阪神にとって、4点差を1イニングでひっくり返されてしまったダメージはあるのではないだろうか?試合後の岡田監督のコメントを聞いていても、上手くいかない焦りのようなものが伝わってきた。ゲームセットの場面のことにも言及しており、藤本三塁コーチの判断ミスというような発言もあったようである。私だったら当たり前のようにホームへ突入させたと思う。あの場面で三塁でストップをかけることが出来るコーチャーは、確かに凄いコーチャーだとは思う。首位を独走していれば、そういった冷静な判断も出来るのかもしれないが、現状では、判断を下すのは難しいと思う。
阪神の綻びが徐々に大きくなってきているような気がする。




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コメント

  1. アーム より:

    並木は深追いして取りに行ってたらクッションボールが上手く処理できずに一塁ランナーの生還を許していたと思うとナイス判断でした。
    取りにいって直接キャッチできればなお良かったですが(笑)

    ヤクルトスワローズは本当に不思議な試合をするチームですね。

    だからこそヤクルトファンはやめられない

    • fiys より:

      アームさんへ

      運もあったとは思いますが、並木は冷静に処理してくれましたよね。

      ヤクルトファンはやめられないですよね!

  2. sabo より:

    あそこで止められる三塁コーチャーがどれだけ存在するか。同点ならまだしも1点差ビハインドですから普通は回しますよね。

    山田の調子も上向いてきましたかね。長岡の走者一掃と合わせて神がかってましたね!

    あと松本直の打撃がこれだけ良い調子をキープしているのは大きい。
    中村マスクのときは松本直を代打で出しても良いのではないでしょうか?


    あとで記事にされるかもしれませんが畠山コーチの退団は驚きと悲しみで言葉も出ません。二軍で畠山コーチの指導で成長したというエピソード(山崎、丸山和でしょうか)も多々あっただけにチームとして損失も感じます。

    • fiys より:

      saboさんへ

      三塁コーチャー経験者に、話を聞いてみたくなるような場面でしたよね。中々ストップはかけづらいのではないでしょうか?

      今の所畠山元コーチの記事を書くつもりはありません。

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