ヤクルト3-2巨人(延長10回)
今日の試合は、初回からテレビ観戦が出来たのだが、改めて野球というスポーツの面白さ、プロ野球選手の凄さ、両チームの駆け引きなど存分に楽しむことが出来た。1つの試合に3時間53分かかっていることに関しては、タイパが重視される時代においては敬遠されることもあるかもしれないが、野球好きにとってはたまらないゲームとなった。そして最後に伊藤のサヨナラタイムリーヒットが飛び出し、ヤクルトファンとしては最高のゲームとなった。
正直サヨナラ勝利に興奮しており、これまで5連敗していたことを忘れてしまいそうなのだが、冷静に振り返ると、やはり巨人との実力差は感じるゲームとなった。荘司を回跨ぎさせるなど、戦力的に厳しい中で、もし今日のゲームを落としていたらダメージは非常に大きかったと思われる。そんなゲームで強い巨人相手に粘ってサヨナラ勝利に結びつけたことは、来週以降に繋がるのではないだろうか?ファンとしてそう信じたい。
ヤクルト先発ランバートは、ボールにキレは感じさせてくれたし、ストレートの威力もあったと思う。しかしスライダー、ナックルカーブは思うようにコントロール出来ていないと感じる場面も目立ち、常にランナーを許す苦しい投球となってしまった。それでもランナーを出してからも、ボールの威力が落ちたり、コントロールを急に乱したりしない所に先発投手としての適性を感じさせてくれる。6回で被安打8(被本塁打1)という数字は、褒められた数字ではないかもしれないが、それ以上に奪三振8、与四球1という数字に着目してみたいと感じた。細かい制球力で勝負するタイプではないが、コントロールに苦しむタイプでもなく、あらゆる球種で空振りが奪えるという部分にランバートの良さを見出すことが出来る。気持ちの入った良い投球だったのではないだろうか?
7回、8回を任された荘司に関して、「ここまで凄い投手だったのか!?」という思いが強い。私自身は、昨年の野球太郎で存在を認識し、ドラフト前に左のリリーバーとしてピンポイントの指名があるかな?程度に感じていた投手である。個人的に行っているモックドラフトでは、広島の6位で指名をしていたのだが、正直下位で指名される可能性があるかな?くらいの認識だったし、動画を見ても制球力に課題がありそうで、即戦力タイプではないのかな?という思いも持っていた。しかし、プロ入り後の投球は圧倒的であり、開幕カードで一度対戦している巨人相手にも全く隙の無い投球を披露してくれた。ブレーキの利いたチェンジアップは「魔球」と呼びたくなるようなボールだし、カーブもカウント球として機能している。そしてそれらのブレーキ系のボールと同じようなフォームから繰り出されるストレートに打者はタイミングをズタズタに崩されていることが画面上からも伝わってくる。何かクセみたいなもの掴まれるまでは、打者が対応することは非常に難しいのではないだろうか?今日高津監督が回跨ぎをさせたことには驚いたのだが、それくらいチームが困窮している時にしっかり結果を出してくれたことが今日の勝利に繋がった。今日のゲームのヒーローの一人と言って間違いないだろう。
このブログを書き始めてから、ここまで衝撃を与えてくれたヤクルトのルーキー投手はほとんどいなかった。新人王を獲得した小川とシーズン終盤に初登板となった杉浦くらいだろうか?しかし、この二人に関しては、私のようなライトなドラフト好きでもしっかり認識しているような有名選手だった。その二人に比べると決して期待値の高くなかった荘司の投球には見惚れてしまう。もしこのまま快投を続けるようであれば、ルーキーイヤーの伊藤智仁辺りまで遡らなければ、比べる投手がいないということにもなり得るかもしれない。気が早いことは重々承知の上なのだが、それくらい説得力のある投球内容を見せてくれている。
そして9回を任された石山も巨人打線を三者凡退に抑え、きっちり役割を果たしてくれた。今シーズンは、今日も含めて8試合に登板しているが、まだ一人もランナーを許していないとのことである。そう考えると近年で最も良い投球を見せてくれているのかもしれない。実績は充分の投手ではあるのだが、ここまでの安定感は想定外だった。苦しいチーム事情の中でベテランが踏ん張ってくれている。
9回で試合を決められなかったことで、苦しくなった部分もあるのだが、他の選手のプレーに引っ張られるように田口、木澤もピンチを招きながらも気持ちを表に出した投球を披露してくれた。荘司、石山のような安定感はないが、今は代わりとなる投手もいないだけに、今日のように気持ちを全面に押し出して、思い切り腕を振ってもらいたい。打たれる時は打たれるのである。頭はクールに心はホットにマウンドに上がり続けてもらいたい。
打線は、初回に今日3番に入った茂木に移籍後初ホームランとなる先制2ランホームランが飛び出した。グリフィンのアクシデントによりブルペンデーとなった巨人の出鼻を挫く、ケラーからの見事なホームランだった。ケラーと言えば威力のあるストレートと縦のカーブのコンビネーションに定評があり、簡単に打ち崩せる投手ではないのだが、今日の茂木のホームランはインローのストレートに対してしっかり体重が乗った状態でボールを捉えた完璧なホームランとなった。ライナー性の打球がライトスタンドポール際の中段まで飛んでいったのには驚いた。プロの技術が詰まった一発になったのではないだろうか?
ケラーは打順の巡りもあり、1回で降板することとなり、巨人の2回以降の継投を難しくすることに成功したのだが、ここから打線は、巨人守備陣の好守もあり、追加点を奪うことが出来なかった。この辺りに今の巨人の強さを感じた。
また野手陣では、山田が6回裏に代走を出され、長岡が9回の守備からベンチに退くこととなってしまった。山田に関しては、慢性的にコンディション不良があり、6回裏の走塁の場面に関しては、2アウト1塁という場面で中村悠がバットの先で拾うようにレフト前にヒットを放つのだが、3塁を狙うそぶりも見せることが出来ない走塁だったため、ベンチは代走を送る他なかったのだと思う。この場面、2アウトであり、巨人の外野はかなり深めに守っていたため、ある程度スピードのある選手であれば、三塁を陥れることが出来たはずである。そう考えると、このまま2塁ランナーとして山田を残すことは出来なかったのだと思う。本来であれば代えたくなかったと思うのだが、この状態では難しいと判断したのだろう。そして8回の守備では、長岡が岡本和のハーフライナーをジャンピングキャッチしてみせたのだが、その後、右ひざを抑えて中々立ち上がることが出来なかった。長岡は、2023年のシーズンオフのフェニックスリーグで右ひざを負傷しているため、かなりひやりとしたのだが、その後8回裏の打席まではプレーすることが出来ていたため、軽傷であることを願いたい。
そんなゲームで大仕事をしてヒーローになったのは、その山田に代わって代走で起用され、セカンドを守り、その後長岡に代わってショートを守った伊藤だった。8回には、中川からプロ初ヒットを放ち、10回の守備では泉口のセンターに抜けようかという打球をダイビングキャッチすると正確な送球でアウトにしてみせた。この2つのプレーだけでも首脳陣にアピールすることが出来ていたのだが、10回裏2アウト2,3塁というサヨナラのチャンスで回ってきた打席で戸田のスライダーを捉えると打球はレフトフェンスを直撃するサヨナラタイムリーヒットとなった。良い角度で上がった打球ではあったが、その分追い付かれてしまうかな?という打球ではあったのだが、思った以上に打球は伸び、フェンスを直撃するサヨナラ打となった。
両チームが好守を連発する締まった好ゲームではあったのだが、現在5連敗中であり、巨人相手にも5連敗中だったヤクルト側からすると、荘司に2イニングを任せ、山田、長岡が途中交代した中で延長戦を落とすことがあれば、間違いなくダメージは大きかった。そんなゲームを劇的な形で勝利出来たことは大きい出来事になったのではないだろうか?
それでも戦力的には厳しい毎日が続いていくことが予想される。それであれば、ランバートや増田、田口や木澤にように気持ちを表に出して戦う選手の存在は必要になってくるかもしれない。私も一ヤクルトファンとして時には気持ちを出して応援し続けたいと思っている。
P.S それにしても今日のゲームは素晴らしいプレーが多かったですね。茂木の特大ホームラン、岩田の好返球、吉川の度重なる好守、甲斐の肩、泉口のキャッチング、ヤクルト増田のジャンピングキャッチ、長岡のジャンピングキャッチ、伊藤のダイビングキャッチ、巨人増田大のダイビングキャッチと唸らせられるプレーの連発でした。
最後の伊藤の飛球に対してフェンス際まで追いかけあと僅かの所でキャッチできなかった若林のプレーにも凄みを感じました。おそらく若林は、捕球できたと思っているのではないでしょうか?本当に面白いゲームでした。
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コメント
勝ったからかもしれません。
勝ったから言えるのかもしれませんが、今日もしスワローズが引き分け、あるいは負けていたとしても、「今日は本当に良いものを観た」という思いで、球場を後にしていた気がします。
もちろんご指摘の通り、この試合を落とした時のダメージははかりしれないということを分かった上で、ですが。敵味方関係なく、もしかしたら今まで観たどの試合よりも、ファインプレーが多かったかも。
そして、あと1イニングを三者凡退に抑えると、9試合またぎの完全試合となる石山の安定感。守備に戻る長岡への両軍ファンからの拍手。
いろんな思いが交錯しつつも、最後は「勝って良かった」につきます。