ヤクルト8-5中日
前半は、ヤクルトにとっても中日にとっても大方想定内のゲームだったはずである。ヤクルトキラーとも言える中日先発の「若き怪腕」高橋宏、ヤクルトのエース小川による投げ合いで、先制点が大きな意味を持つ展開となった。5回にヤクルトが先制点を奪い、高橋宏をマウンドから下ろし、中日のリリーフ陣から得点を重ねるという理想的な展開に持ち込み、後は、どう試合をクローズするか?という雰囲気だったのだが、8回に小川が中日のルーキー村松に満塁弾を浴びるなど、バタついた展開となり、最終的には清水、田口の力を借りて、何とか逃げ切るという展開となった。前半と後半でここまで別の顔になるゲームもあまりないのではないだろうか?しかし野球というゲームは、やはり投手の力によって結果が変わってくる可能性が高いスポーツであるため、1人の投手に負担が偏らないような投手起用が求められる現代においては、増えているゲーム展開でもあるのかもしれない。現代野球における野球の面白さや怖さ、両チームのストロングポイントとウィークポイントの両面がはっきり分かるゲームとなった。
前半は、小川と高橋宏による投げ合いとなった。小川は初回上手く立ち上がったのだが、高橋宏の状態も良く、小川にとってはプレッシャーのかかるマウンドになったはずである。しかし、そんなプレッシャーをもろともせずに、自分の投球に終始出来るのが小川の強さである。言い方が悪くなってしまうかもしれないが、現状そこまで迫力を感じない中日打線を相手に、ストレート、変化球ともにコントロール良く投げ込み、小川の引き出しの多さを活かしながら、中日打線を危なげなく抑え込んでいった。相手が高橋宏であれ、対峙するのは中日打線であることを冷静に考えて投げることが出来ていたのではないだろうか?
中日先発高橋宏もいつも通り、キレのあるボールを投げ込んでおり、簡単には得点が奪えない雰囲気があったのだが、5回に内山、長岡の連打でチャンスを作ると、塩見の死球もあり、1アウト満塁とチャンスを広げる。ここで今日2番に入った濱田が、追い込まれながらも冷静にボールを見極め、最終的には押し出し四球を選び、これが貴重な先制点となった(この時点では…)。続く山田には犠牲フライが飛び出し、この回2点を奪い、結果的に高橋宏をこの回でマウンドから下ろすことに成功した。
6回に小川が内野ゴロの間に1点を失ってしまったのだが、その裏打線が代わった田嶋の不安定な投球を見逃さず、長岡の2点タイムリーと塩見のタイムリー2ベースで点差を4点に広げてみせた。
小川が7回も危なげなく無失点に抑え、この時点で試合の流れは完全にヤクルトに傾いた形となった。後は、小川が完投できるかどうか?という辺りに私の興味は切り替わっていた。
しかし試合はここから前半戦とは全く違った顔を見せることとなる。流れが変わるきっかけは、7回裏のヤクルトの攻撃にあっただろうか?中日の連続エラーで0アウト1,3塁というチャンスがあったのだが、並木のサードゴロで走塁ミスが起きてしまい、あっという間に2アウト1塁とシチュエーションが切り替わってしまう場面があった。その直後にオスナに2ランホームランが飛び出し、事なきを得たと思っていたのだが、ちょっとしたミスが試合の流れを変えてしまうという部分があったのかもしれない。
完投ペースで投げていた小川が、続く8回に連打と四球で0アウト満塁のピンチを招くと、ルーキー村松に初球のストレートを完璧に捉えられ、打球はライトスタンドに飛び込む満塁ホームランとなってしまった。7-1というスコアで、決して一発のある打者ではない村松が相手だったため、まずはストライクを取りに行くという選択は悪くはないのだが、村松はその配球を読み切っていた部分もあったのではないだろうか?結果としては、最悪の結果を招いてしまった。先日の巨人戦で小澤がカウント3-0からストライクを取りに行ったストレートを丸に捉えられてしまった場面があったのだが、今日の村松のホームランも、丸のホームランと同じ類のホームランになってしまったのではないだろうか?ここはバッテリー間で振り返らなければならない場面である。
この満塁ホームランで点差は2点に縮まってしまい、小川の完投どころか、2点差の8回、0アウトランナーなしから清水を投入するという、まさかの展開になってしまった。しかしこの流れの中で清水がしっかり中日に傾いた流れを止め、最後は田口が三者凡退で試合を締め括ったことで、意外と他球団は、「やっぱりヤクルトは不気味だな。」と感じさせることは出来たのかもしれない。
ヤクルトはヤクルトで雑な部分を修正していかなければならないのだが、21年、22年と連覇したことを活かしながら、ペナントレースを戦っていくことも必要なことだと感じる。ヤクルトファンの多くは、現在のヤクルトは調子が良くないと感じていると思うのだが、そんな中でもごまかしながら勝ちを拾うことが出来た1週間だった。阪神、DeNAは、目に見えて他球団よりも強さを感じるのだが、それでも粘っていけば、チャンスはあるはずである。
P.S 以前にも小川が突然崩れて、ヒヤッとしたゲームがあったため、下記に貼り付けておきたい。
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コメント
小川は点差で気が抜けたというより球威も制球も悪くなってスタミナが切れたようで、うーん。不思議なものですね。中村なら…と思う部分もありましたが前回の状態から修正して内山と二人でHQSというのは良くやったと言えるかな
打線は円陣を組んで全員で高橋のフォークを狙うという作戦が結果的に高橋のスタミナを奪ったのではないでしょうか。
細かいプレーでは良い所もあり悪い部分もありで反省したいところですが、5月は(今日はノーヒットでしたが)村上も好調、長岡も3割と当たってきたのでスワローズらしい打線が戻ってきました
saboさんへ
そうですね。小川は8回の乱調が目立ってしまいましたが、よく投げてくれたという評価も出来ますよね。
村上、長岡の状態が上がると自然と得点力も上がりますよね。
普段一発のない打者でもスタンドインしてしまう、今回のタイトルの表現をもじれば「これが神宮だ!」ということですね。この球場で完封したりましてノーノーしたりするのは凄いことですよ。
メンバーの欠けが出ている状況では、最下位の中日相手でも勝って当たり前とは言えないでしょうから、カード勝ち越しは上出来だと思っています。
超匿名さんへ
私も今回の中日戦は1勝でも「御の字」と考えていたため、勝ち越せてよかったと感じています。
昔から言われていますが、やはり神宮球場のゲームは中々試合が落ち着かないことが多いですよね。