なるほど。これが山野を起用し続けた理由か。

ヤクルト７－２巨人

首位巨人とのゲーム。先発は山野ー山崎伊。戦前の予想では、厳しいゲームになるかな？と感じていたのだが、初回から打線が山崎伊を打ち崩し、山野は、快投を見せ、まさかの快勝となった。試合前に青木の引退会見があり、普段以上に気持ちの入りやすいゲームになったという部分は多少なりともあるかもしれないが、適地マツダスタジアムで広島相手に3連勝を飾った首位巨人相手にこの勝ち方は驚きである。

山野は、前回の巨人戦で久々に良い投球を披露してくれたのだが、結果を残せなくても高津監督をはじめとする首脳陣が1軍で起用し続けた理由が分かるような、山野の投球内容となった。今の山野の投球は、昨シーズンの技巧的な投球とは違い、高校時代や大学時代を思い起こさせてくれるようなオーソドックスなフォームから威力のあるストレートを投げ込んでおり、多彩な変化球も効果的に使えるようになっている。首脳陣は、山野のこの姿が本来の姿であることを信じていたのだろう。だからこそ結果が出なくても起用法を変えながら実力を発揮する時を待ち続けたのではないだろうか？私は、アマチュア時代の山野の投球スタイルが好きだったのだが、今の山野の姿は、その頃を思い起こさせてくれる部分もあるし、変化球の種類と精度という部分では、成長した姿を見せてくれている。
このブログで何度も書いているのだが、山野は元々コントロールも良い投手だと思っている。しかしちょっとした故障や違和感から微妙にフォームに狂いが生じ、大学4年次辺りから、本来の投球が見られなくなっていった。プロ入り後も故障やフォーム作りに苦しみ、昨シーズンは投球フォームも投球スタイルも大きくいじった中で、1軍の舞台に戻り、プロ初勝利を手にしてみせた。
私の中では、そんな山野の姿が強く印象に残り、今シーズンの投球内容も昨シーズンとそれほど変わっていないと思い込んでしまっていたのだが、実際の所は、以前の「本格技巧派」と呼びたくなるようなスタイルに変化してきていた。しかし、その投球が中々結果に結びつかず、結果に繋がらない毎日が続いた。
このままズルズル行ってしまう可能性もあったと思うのだが、首脳陣は、山野の実力を信じていたのだろう。前回登板から先発に戻し、今日の巨人戦もそのまま先発のマウンドに上げる選択をした。そんな期待に応えるように山野は、変幻自在の投球で4回まで巨人打線をパーフェクトに抑え込んでみせた。5回に岡本和に四球を与え、パーフェクトはストップし、6回には岸田に初ヒットを許し、その後丸に2ランホームランを浴びてしまったのだが、そこからズルズルと崩れずに、8回まで投げ切った所に山野の本来の実力を感じることが出来た。ストレートと似た球速帯のワンシームがあり、元々武器としているスライダーに緩急を付けられるカーブ、チェンジアップも起用に投げ分け、巨人打線をしっかり抑え込んでみせた。私は、山野の投球にこれまで何度か「過去イチ」の投球だったのでは？という主旨の文言を使ってきたのだが、今日の投球に関しても私の中では「過去イチ」の出来だったと感じるピッチングだった。コンディションが整い、フォームが固まるのであれば、来シーズンの山野にはこれまで以上に注目してみたいと感じさせてくれた。

打線は、ここの所調子が落ち気味の山崎伊に対して、初回から信じられないくらいに繋がった。初回は長岡ヒット、並木送りバント、サンタナ死球で1アウト1，2塁のチャンスを作ると、ここで村上がセンターバックスクリーンに運ぶ特大の先制3ランホームランを放ってみせた。滞空時間が長く、飛距離も抜群の村上らしい完璧なホームランとなった。これで勢いづいた打線は、3回には山田のタイムリー、5回には岩田のタイムリー、6回にも岩田のタイムリー、7回には、サンタナのタイムリー2ベースと着々と追加点を奪い、試合の主導権を握り続けた。5回に岩田にタイムリーが飛び出した後の0アウト満塁のチャンスを逃し、続く6回に丸に2ランホームランを浴びた時には、試合の流れが変わってしまうのでは？という怖さも感じたのだが、その後も流れを渡さなかった。
青木の引退が発表された日に、これだけ打線が繋がったことで、青木も少しだけ安心してくれたのではないだろうか？この勢いを明日以降にもつなげたい。首位巨人に勝利することで、セリーグをまだまだ盛り上げなければならない。

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