ヤクルト0-2広島
私は、このブログを2011年シーズン途中から書いているのだが、その間ヤクルトのエースと呼んで差し支えない投手と言えば、館山昌平、石川雅規、小川泰弘の3投手になるだろうか?私がヤクルトファンになった1988年まで遡れば、尾花高夫、石井一久も上げることが出来るだろうか?いずれの投手も単年ではなく、複数シーズンに渡ってエースとして結果を残した投手である。エースの定義は人それぞれであり、岡林や伊藤智といった怪我に泣いた投手や、沢村賞を獲得した川崎などをエースとして挙げるファンの方々もいるだろう。
それでもチームの「エース」として名前を挙げられる投手の数は限られてくる。村中、由規、現役の原、高橋、奥川辺りも「エース」という称号を与えるには物足りない。
ヒッターズパークである神宮球場をホームグラウンドとしていることもあり、簡単にエースが育たない環境にあるのかもしれないが、そろそろ小川の後を継げる投手が出てきてもらいたいものである。今現在その座に最も近付いているのは、今日の先発投手だった吉村だと思っている。
今日の吉村の投球は、「ナイスピッチング」と言って良い投球内容だったと思う。ローテを再編し、9連戦の頭に吉村を持ってきたということは、高津監督をはじめとする首脳陣が、それだけ吉村のことを信頼しているということなのだと思う。
結果から言うと0-0で迎えた7回2アウト1塁の場面で宇草に2ランホームランを浴びてしまい、結局この一発が決勝点となってしまった。7回で101球を投げ、被安打5(被本塁打1)、無四球の2失点という数字は、先発投手としての役割を十分に果たしてくれている。やはり「ナイスピッチング」であったことに変わりはないと思う。しかし昨シーズンからの吉村の投球を見ていると、私は、吉村に「エースとしての投球」を期待したいと思い始めている。特に今シーズンに関しては、オープン戦からヤクルト先発陣の中では、頭一つ抜けた投球の質の高さを見せ付けてくれている。まだ1シーズン先発ローテを守り切った経験がなく、1試合の中でのスタミナという部分でも課題はあるのだが、昨シーズン以上にコンスタントに力を出せる部分は、今後エースとして君臨する可能性がある投手だと感じさせてくれる。そうなると、今日7回に宇草に浴びた2ランホームランが非常にもったいなく見えてくる。
相手先発床田も好調であり、6回まで試合はテンポよく進んでいた。完全に1点勝負の展開となっており、両投手には大胆に攻めながらも繊細さが要求されるハイレベルな投げ合いとなっていた。それだけに宇草に打たれてしまったホームランが引っかかってきてしまう。カウント2-2から、おそらく外角を狙って投げたストレートが逆球となってしまい、そのボールを宇草に完璧に捉えられてしまった。キャッチャーの中村からすると、長打を防ぎたいという意図を感じる配球だったのだが、そのコースに吉村が投げ切ることが出来なかった。まだ序盤であればボールの威力で多少なりとも打者を押し込むことが出来たかもしれないが、球数が90球を超えていた中で、吉村の球威も多少落ちていたように感じる。そこを宇草に捉えられてしまった。この一球は、吉村にとって悔やんでも悔やみきれないような痛恨の一球になってしまった。
それでも私は、プロ入りしてからの吉村の投球にエースになり得る可能性を感じている。日大豊山高校時代の投球は見た記憶がないのだが、國學院大ー東芝ーヤクルトと年々投手としてスキルアップしてきており、ボールの質もコントロールも目に見えてレベルアップしてきている。状況に応じた投球も出来るし、ランナーを出した後の投球にも安定感を感じさせてくれる。個人的には、2021年シーズンの奥川のような投球内容を期待しても良いのではないか?と思っている。昨年はボールが走らない日には、滅多打ちにあってしまうことがあったのだが、今シーズンは、まだそういった場面に遭遇していない。球数が80球を超えた辺りから打者に対応されやすくなっている部分が一つの課題となっているが、この課題を乗り越えることが出来れば、ヤクルトの新エースになるかもしれない。今日の宇草への一球は失投であり、しっかり振り返りをしなければならないのだが、おそらくクレバーな吉村であれば、自分自身の課題はしっかり理解しているはずである。まだ伸びしろはあるはずである。「大器晩成」という言葉もある。これからの吉村に大いに期待したい。
打線は、広島先発床田の前に沈黙を続けてしまった。チャンスらしいチャンスも作らせてもらえなかったのだが、終わってみれば、初回の塩見のヒットを活かせなかったのが痛かった。立ち上がりというものはどんな投手でも不安なものであるという話をよく聞くが、そういう意味では、先頭の俊足塩見の出塁から床田を崩したかった。しかし、今日2番に抜擢された丸山和があっさり内野フライに倒れてしまうと、オスナ、村上は連続三振に倒れてしまった。ここまで少ない打数ながら結果を残していた丸山和をスタメン2番で起用してきたのだが、第1打席に関しては、経験不足を露呈する形になってしまった。丸山和は、きっちり1本ヒットを打っており、アピールは出来たと思うのだが、第1打席では、丸山和自身に期待されている打撃をすることが出来なかった。こういう場面で内容のある打席を増やしていってもらいたい。
今日に関しては、床田、栗林の出来が良かったため、勝つとしたら、1-0、2-1というようなスコアだったと思う。惜しいところまではいっていたのだが、終わってみれば完敗というようなゲームになってしまった。
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コメント
奥川の復帰時期が不透明、高橋は与四球の点で制球力にやや不安を感じるので、次期エースには吉村がなるかもしれませんね。来季の開幕投手を小川から奪うくらいの活躍を期待したい。
チームの広島戦初勝利も早めに達成してもらいたい。
超匿名さんへ
そうですね。来年の開幕投手を任されるような数字を残してくれるのが理想的ですよね。