チームのバイオリズム

2023試合結果


ヤクルト10-3ロッテ

ロッテは、先週金曜日のゲームが雨天中止となり、土曜から9連戦が組まれることとなっていた。そして前日の甲子園での阪神戦は5時間越えの激戦となったが、勝利は手に出来ず、引き分けを挟んで4連敗という状況で今日ZOZOマリンスタジアムでのゲームとなっていた。プロ野球選手たるものそんなことを言い訳することはないのだが、それでも多少なりともヤクルトに運もありそうな雰囲気は感じていた。ロッテは、交流戦前までは、パリーグ首位を走っており、阪神との3連戦でも勝てなかったものの強さを感じさせるゲームを展開していた。しかし現在のロッテで脅威となる種市、佐々木朗、小島というタイプの違う先発投手は今回のヤクルト戦では投げない巡りとなっている。またここ数試合リリーフ投手も投げる機会が多くなっており、投手のコンディションを重視する吉井監督のマネジメントを考えると、1試合単位もしくは1カード単位(3試合)であれば付け入る隙もあるのではないか?と見ていた。
今日のゲームは両チームにミスがあり、一旦はヤクルトが流れを失ってしまいそうになる場面もあったのだが、最終的にはチームのバイオリズムが上昇傾向にあるチームと下降傾向にあるチームとの差が結果に繋がったように感じる部分があった。

ヤクルトの先発は、中8日で小川がマウンドに上がった。週初めのカード頭に現在のエースである小川を先発起用出来ることは、チームにとって悪くないことだと考える。その中で小川の投球に期待したのだが、強風に雨も降り続けるという悪コンディションに苦戦している様子が見られた。足場が悪いこともあってか細かいコントロールが付かず、ストレートを引っかけたり、逆に抜けてしまったりする場面がたびたびあった。それでも3回までは無失点で凌ぎ、味方が2点を先制した後の4回にポランコに特大の一発を浴びてしまったのだが、5回1失点と粘りの投球は出来ていた。
しかし6回に思わぬ所に落とし穴があった。先頭の池田を打ち取ったかに見えたのだが、打球は風で大きく流され、ライトのサンタナが目測を誤り、捕球することが出来ず、スリーベースとしてしまい、一転0アウト3塁のピンチを招くと続く藤岡を四球で歩かせてしまった。この四球は小川にとってはミスと言われても仕方ないような無駄な四球となってしまった。サンタナのミスについては、小川の責任ではないのだが、1つのミスからミスの連鎖が起きてしまい、結局この回は、中村奨と安田に犠牲フライを許してしまい、スコアも2-3とひっくり返されてしまった。この回の2失点に関しては、完全に12連敗中を思い起こすような失点の仕方であり、特に2失点目に関しては、防げるものだったため、ヤクルトにとって痛いイニングになってしまったと感じた。
しかし冒頭にも書かせてもらったように、様々な事象が重なる中で、対戦相手のロッテもチームのバイオリズムが下降している印象があり、7回から試合が大きく動くこととなった。ロッテの先発美馬は、今シーズン結果を残せておらず、久々の1軍マウンドとなっていた。慣れ親しんだZOZOマリンの風を上手く使い、縦の変化球で空振りを奪うシーンも目立ったのだが、その反面、突如コントロールを乱す場面もあり、イニングごとに良いイニングと悪いイニングがはっきりしている印象だった。7回については、ロッテが逆転していようとしていなかろうと吉井監督をはじめとするロッテの首脳陣は、美馬を続投させる予定でいたと思うのだが、美馬相手にヤクルト打線は、1アウトから中村が四球を選ぶとオスナも2ベースヒットで続き、1アウト、2,3塁と一打逆転のチャンスを作ることに成功する。ここで今日8番センターでスタメン出場となっていた内山に打席が回ることとなる。内山はこの試合美馬のボールをしっかり捉えることが出来ており、ロッテベンチも悩むところだったと思うのだが、ここでも美馬は続投となり、内山との勝負を選んだ。内山は簡単に追い込まれてしまったのだが、3球目の外角高めのストレートをパンチショットのようなスイングで捉えると打球は風にも乗ってライトフェンス直撃となる、2点タイムリーヒットとなり、逆転に成功してみせた。三振は許されない場面で簡単に追い込まれてしまったことにより、内山の中で何とかバットで当てなければ…という気持ちがあったと思うのだが、コンパクトなスイングで上手く捉えてみせた。高津監督の起用に応える見事なバッティングだった。そしてこの場面で忘れてはならないのが、2塁走者だったオスナの走塁である。内山の打球は打った瞬間はライトフライかな?という打球であり、タッチアップと迷う部分もあるはずなのだが、おそらくオスナは打球の勢いと風を考えて、スタートを切っていたのだと思う。私は、テレビで観ていて、内山の打球がフェンスに当たった瞬間、同点となり、尚も1アウト1,3塁で打者長岡というシチュエーションになると思っていたため、オスナがホームに生還したことに驚いた。あの打球に関しては、オスナ自身が見て判断する必要があったと思うのだが、非常に良い判断をしてくれた。足が速くなくても走塁で貢献できることを示す場面となった。
7回表の逆転劇で試合の流れは再びヤクルトに傾き、8回はサンタナの2ランホームランで追加点を奪うと、9回は山田の犠牲フライ、川端のタイムリー、並木の2点タイムリーで4点を追加し、試合を決めてみせた。
はっきりとした根拠がある訳ではないのだが、やはりチームの流れというものはあるのではないだろうか?今日のゲームが交流戦の開幕カードだったとしたら、何となくではあるのだが、6回裏にロッテが逆転した時点で、勝っていたのはロッテだったのではないか?と感じてしまう。今日のゲームは、両チームともにミスやもったいないと感じるプレーがあり、それが直接得点、失点に繋がる場面があった。チーム状態が良くないと、こういったプレーが重くのしかかってくる。ロッテはまだ貯金もあり、そこまで焦らなくて良いと思うのだが、吉井監督も高津監督同様、目の前の1試合のことを考えつつ、選手(特に投手)のコンディションも気にするタイプの監督であるため、選手に無理をさせない部分がある。このマネジメントは、ある程度勝てていれば、スムーズに回るのだが、一旦歯車が崩れると勝てるゲームを勝ち切れなくなり、途端にチームの流れが悪くなることがある。そのことは先日までの12連敗で痛い程味わった。ロッテのバイオリズムに狂いが生じている中で、明日以降のゲームも一気に畳み掛けたいところである。

P.S 今日は高津監督の采配で2点気になる部分があった。
1つ目は、8番センターで内山を起用したことである。今日は強風が吹くことで知られるZOZOマリンでのゲームであり、普段守ったことのないポジションで起用するには勇気がいるゲームだったと思うのだが、その中でも内山をセンターで起用し、その内山は実際に決勝打となる逆転打を放ち、起用に応えてみせた。今日は実際風も強く、雨も降り続いていたため、守りを重視するのであれば、山崎をセンターに入れたり、サンタナをDHで起用するというマネジメントもあり得たと思うのだが、そんな中でのセンター内山、ライトサンタナ、DH川端という攻撃的な起用法には驚いた。
2つ目は、7回表に内山の2点タイムリーで逆転し、尚も1アウト1塁、投手坂本という場面で長岡に送りバントを命じた場面である。いくら次打者が山田とは言え、普通は強攻する場面である。長岡はここの所送りバントを失敗する場面が目立ち、投手は荒れ球が特徴のサウスポー坂本である。長岡はダブルプレーが多い打者ではないため、やはり普通に考えれば打たせてよい場面である。それでも長岡にバントをさせたということは、高津監督が長岡に「あなたは、こういう場面でしっかり送りバントを決める必要がある選手ですよ。」というメッセージを伝えているように感じた。今後の長いシーズンを見据えた中で送りバントを命じたのではないだろか?結果的に送りバントを決めることが出来なかった事を長岡は反省しなければならない。特に左でキレのあるストレートを持つ投手が出てきたときにしっかり送りバントが出来るようにならなければならない。長岡はまだ若く、課題もある選手なのだが、今特に取り組まなければならないのが、この送りバントではないだろうか?




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コメント

  1. sabo より:

    中継を観てないので内山のセンターがどんなものだったのか分かりませんが、高津監督は勝負に出ましたね
    小川に関してもハイライトしか見れてないのでなんとも言えないですが、ランナー警戒を怠るような前回よりもきちんと丁寧に投げれていたのではないでしょうか。制球に苦しんだようですが6回同点満塁ピンチで安田に対してはしっかり制球出来ていたように感じましたし逆転されましたが犠飛1点で終わらせたことが表の逆転に繋がりました。
    内山はほんとにここぞという場面で打てますね。終盤のダメ押しはヤクルトらしいですが去年のヤクルトならもっと早く美馬を下ろせたかな

    管理人さんがバイオリズムというようにこれまで不思議の負けが続いていたので揺り戻しが来てる気がしますね
    そういう意味では連敗中のロッテ3連戦は付け入る隙がある気はしますね
    良くも悪くもまとめる力のある小川に対して良くも悪くも一人相撲になりがちな高橋が復帰戦どんなピッチングをしてくれるか。そして内山はスタメンなのか?青木は対左の方が成績がずっと良いですよね

    • fiys より:

      saboさんへ

      内山は守備に関しては、フライの処理はなかったためどの程度守れるかは分かりませんでしたが、ZOZOマリンのゲームでいきなりセンターを任せられる辺りは、やはりは野球センスの高さを伺わせてくれました。
      今回のロッテとの3連戦は色々と巡りが良いので勝ち越してもらいたいのですが…どうなりますかね?

  2. trefoglinefan より:

    内山のセンターは、将来捕手をするうえでも、センター目線を磨いて欲しい、というのがあったのではないでしょうか。きっと役立つと思います。

    • fiys より:

      trefoglinefanさんへ

      お久しぶりです。コメントありがとうございます。

      そういったご意見はよく聞きますね。高津監督をはじめとする首脳陣はそこまで考えて起用している可能性もありますかね?

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