ヤフーレは本物か！？

ヤクルト１－２巨人

個人的には、嫌いな負け方ではなかった。前回の巨人戦で完封勝利を収めていたヤフーレが、今日の神宮での巨人戦ではどういったピッチングを見せるのか注目していたのだが、今日もヤフーレらしさをしっかり出したうえで、試合を作ってみせた。開幕前は、実力が見え辛い投手だと感じていたのだが、これだけきっちり試合を作れるゲームが多いということは、ヤフーレの実力は本物なのかもしれない。期待値を一段階上げても良いかな？という気持ちになっている。巨人戸郷の調子も良かった中で、競り合いに持ち込み、「あわや。」という場面も作ってみせた。明日以降に繋がる敗戦だと信じたい。

先発のヤフーレに対して、おそらく巨人打線は前回のようにならないように、研究と対策を施していたはずである。だからこそ、今日のヤフーレの投球は、今後を占うことになるのではないか？という気持ちを持っていた。そのヤフーレは、初回にいきなり吉川に先制点となるソロホームランを献上してしまったのだが、この一発については決して失投ではなく、吉川に上手く捌かれてしまった一打だったのではないだろうか？その後は、普段のヤフーレの投球スタイルそのままに、ファストボール系の球種をムーブさせ、チェンジアップやナックルカーブも上手く織り交ぜ、アウトを重ねていった。3回、5回は、ランナーを三塁まで進められてしまうピンチもあったのだが、ここでも自分の投球スタイルを貫き、踏ん張ってみせた。だからこそ、7回に小林に浴びてしまった一発は余計ではあったのだが、今日も巨人打線に思うようにバッティングをさせなかったのではないだろうか？7回1／3で91球を投げ、被安打7（被本塁打2）、与四死球2の2失点という数字は、先発投手として十分合格点を与えることが出来る。これだけヒットを打たれてもそれ程球数が多くならないのが、ヤフーレの長所である。雨のDeNA戦で大崩れをしてしまったことはあったのだが、それ以外のゲームでは、安定した投球を見せてくれている。正直これだけ長いイニングを投げてくれていることに驚いている。ヤフーレは「本物」の実力者かもしれない。
そのヤフーレが8回に1アウト満塁のピンチを背負ったところで、マウンドに上がったのは、丸山翔だった。様々な選択肢が残っている中で坂本相手に丸山翔をぶつけたのは、意外ではあったが、「高津監督らしいな。」とも感じた。甲子園での阪神戦でピンチの場面で長谷川を投入したことがあったが、リリーフ陣の状態が中々上がってこない中で敢えて厳しい場面を若手に任せるのは、高津監督流だと感じる。そしてこのピンチで丸山翔が坂本をショートゴロダブルプレーに打ち取り、ピンチを脱してみせた。打ち取ったボール自体は、失投のような高めに抜けたスライダーだったのだが、無失点に抑えた事実を自信に変えてもらいたい。9回は長谷川をマウンドに上げ、2アウト2塁という場面で大西のリリーフを仰ぐこととなったのだが、僅差の厳しい場面で敢えて若手をマウンド上げるのは、高津監督の真骨頂である。こういう起用法をしながらリリーフ投手を戦力に仕立てていく采配は見事である。

打線は、巨人先発戸郷の前に抑え込まれてしまった。先日中日の高橋宏に抑えられてしまったゲームと同様、実力のある投手に状態良く投げられてしまうと、打ち崩すことは非常に難しい。今日の戸郷は、ストレートに伸びを感じ、各打者が振り遅れる場面が目立っていた。こうなると常に戸郷のペースで試合が進むこととなる。結局戸郷に7回まで1安打に抑え込まれてしまい、反撃のきっかけさえ掴めなかった。それでもヤフーレをはじめとする投手陣が粘り強く投げてくれた中で、僅差のゲームに持ち込むことが出来、戸郷がマウンドを降りた後の8回に、この回からマウンドに上がった西舘を攻め込んでみせた。西川、塩見の連打、丸山和の送りバントで1アウト2，3塁と一打同点の場面を作り、オスナ、村上、サンタナのバットに期待する形となった。結局はバッテリーエラーによる1点のみで終わってしまったのだが、巨人に嫌な印象を植え付けることは出来たのではないだろうか？
相手先発投手の調子が良くても、今日のような僅差のロースコアのゲームに持ち込み、終盤のチャンスを活かし勝ちを拾うことで優勝に繋げたのが、21年シーズンであり、22年シーズンだった。今日はそういったゲームに持ち込むことが出来たのではないだろうか？収穫の多いゲームだったと思う。「勝てなかった。」という事実以外は…。