ヤクルト5xー3中日(延長11回)
8回に代打で登場し、そのままセンターの守備に入っていた塩見が、延長11回に回ってきた第2打席で、センターバックスクリーンに飛び込むサヨナラ2ランホームランを放ってみせた。4月27日の阪神戦で先頭打者ホームランを放ちながら、腰の違和感で直後の守備から交代し、その後はスタメンから外れていた。代打での出場のみとなっていたのだが、今日は、9回表からセンターの守備位置に就いていた。守備に就けたということは状態は徐々に上向いているということなのだと思う。そんな塩見の第2打席は、11回裏0アウトランナー1塁の場面で巡ってきた。送りバントの可能性も0ではない場面だったのだが、ベンチは塩見の打撃に掛け、塩見も自分が決めるという強い意思を持って打席に立てていたようである。この回からマウンドに上がっていた勝野の初球のストレートを捉えると打球はそのままバックスクリーンに飛び込んだ。サヨナラホームランの興奮と共に、「ホームインするときに気を付けてほしい。」と感じたヤクルトファンは、私だけではないはずである。ここで興奮して喜び過ぎて怪我を悪化させることだけはないようにしてほしいと…。プロ入りしてからの塩見のことを思うと、そういった冗談のような話が、現実に起こってしまうことがあるのである。ここで怪我を悪化させてしまっては「塩見らしい。」と笑って話せる余裕は、私にはない。
そんな心配をよそに、塩見自身は、ホームインする前に、しっかりコンディション不良があることをチームメイトにジェスチャーで伝え、ゆっくりホームベースを踏んでみせた。
「こんな場面でいちいち心配させないでくれよ。」という感じなのだが、塩見であれば心配しなければならない。そんな愛すべきキャラクターである塩見のことが私は大好きである。
先発の小川は、初回の先頭打者大島にいきなりピッチャー返しを喰らってしまい、治療してから再度マウンドに上がることとなった。コンディション不良で出遅れ、ようやく先週の阪神戦から1軍に戻ってきたばかりだったため、心配したのだが、その後も粘り強い投球を披露してくれた。3,4,5回は、いずれの回も先頭打者にヒットを許してしまうなど、ピンチの連続となったのだが、ランナーを出した後も粘れるのが、小川の長所の一つである。4回、5回はいずれもダブルプレーでピンチを脱するなど、3点のリードを上手く使って投げることが出来ていた。
7回は、先頭から3連打を浴び、ここで降板となってしまったのだが、今日の小川も前回同様、長年先発ローテを守ってきただけのことはあると感じる投球を披露してくれた。ストレートの球速は出ていないのだが、前回の阪神戦も今日の中日戦も相手打者は、このストレートに対応出来ていないと感じる場面があり、球速表示以上に打者には速く感じているのかな?という印象が残った。7回は1アウトも取ることが出来なかったのだが、それでも6回まで少ない球数で中日打線を0点に抑えたのは、見事だった。良い意味で「ベテランらしさ。」が出てきたのではないだろうか?
リリーフ陣は、7回の0アウト満塁という厳しい場面から登板したエスパーダが村松にタイムリーを許し、続く木下のダブルプレーの間に1点を追加されてしまったのだが、何とかここで踏ん張ってみせた。8回に登板した木澤は、中田にソロホームランを浴びてしまい、同点に追い付かれ、正直嫌なムードになったのだが、9回は石山が満塁のピンチを招きながらも粘り切り、10回、11回は大西がこちらもピンチを招きながらも無失点で抑えきり、リリーフとしての役割を果たしてみせた。
9回、11回は、いずれの回も、今日5打数5安打と大当たりだった村松が1アウトからヒットで出て、続く木下が送りバントを決めるという展開になったのだが、ヤクルト側は、ここで1点を与えなかった。これは、好みの問題になってしまうのかもしれないが、私自身は、木下に強攻策で来られた方が嫌だった。確かに2アウト2塁で外野が前進守備を敷かざるを得ない状態でヒット打ちの名人大島に打席が回るのは嫌ではあるのだが、一塁が空いているため無理に勝負する必要はないし、大島でアウトを取れなくても田中、カリステのどちらかから1つアウトを取れば良いというシチュエーションになるため、ヤクルトバッテリーは多少なりとも余裕は持っていたのではないだろうか?外野の前進守備によって、頭を越されるリスクはあるのだが、逆に言えば、単打一本では得点を奪える可能性は低くなる。単打であれば2本のヒットが必要なシチュエーションだったため、石山も大西も思い切って行けたという部分もあるのではないだろうか?
打線は、初回からコントロールが定まらない中日先発のメヒアを攻め、サンタナのタイムリー2ベースで先制すると、2回には西川が犠牲フライ、3回には村上がレフトスタンドへ飛び込むソロホームランを放って、小刻みに3点を奪ってみせた。サンタナのタイムリー、村上のホームランは、それぞれ「らしさ」を感じる一打だったし、西川の犠牲フライについては、三塁ランナーの長岡が積極的にホームを狙った走塁が印象に残った。
メヒアが降板した5回以降は、中日リリーフ陣の前に、ノーヒットで抑え込まれてしまったのだが、延長11回に中村が勝野相手にヒットを放つと、続く塩見が初球のストレートをしっかり捉えてみせた。
中日に粘られる中で、いつの間にか中日ペースの試合に巻き込まれてしまったのだが、最後の最後にそのペースを崩したのは、塩見の一発だった。「ここまで来たら引き分けでも御の字かな。」などという思いもあった中でのサヨナラ勝ちは、いつものサヨナラゲーム以上に興奮するものとなった。
P.S 今日は途中からラジオで中継を聴いていたのですが、解説の宮本慎也氏が、外野手の前進守備について打者目線で解説してくれる場面がありました。宮本氏は、自分が現役だった頃を振り返りながら、長打の少ない打者は、外野手に前進守備を敷かれると、「ヒットを打っても2塁ランナーは返ってこれないな。」と感じていたと話していました。外野手の前進守備は、頭を越されるとだいぶ印象は、悪くなってしまうのですが、実際には利点もある策であることを改めて感じることが出来ました。
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コメント
万全の状態でないのにホームランを打ててしまうとは、塩見はどうなっているのでしょう。「塩見め。やはり野球センス抜群だな」と某漫画をいじったセリフが頭に浮かびました。丸山が売り出し中ですが、塩見には一発の魅力がありますからね。
超匿名さんへ
とにかく「塩見らしい」と感じるサヨナラホームランでしたね!