山野太一!プロ初勝利おめでとう!

2023試合結果


ヤクルト1-0巨人

山田、サンタナが1軍に復帰したゲームでヒーローになったのは、ピーターズのアクシデントによって登板機会が巡ってきた山野だった。高川学園高校時代は、質の良いストレートが印象的だったし、東北福祉大時代は、身体が大きくなり、ボールの質は保たれたままパワーアップした姿を見せてくれていたため、私の中では非常に評価の高い投手であり、プロ入り前から、このブログで何度か触れさせてもらっていた投手だった。大学4年次に「制球面に課題がある。」という評価をなされ始め、個人的には「どうしたのかな?」と思っていたのだが、プロではルーキーイヤーにプロ初登板初先発のマウンドを経験したものの、1回1/3を投げ、7失点という数字が残ってしまい、その後は上半身のコンディション不良のため、長期離脱となり、戦力外から育成契約となり、今シーズン新たな投球スタイルを身に付けて、ようやく支配下復帰を果たした経緯がある。
これまでのプロ通算防御率は、47.25という数字が残っていた。実践力の高さが売りだった山野がこの防御率のみを残してプロ野球界から身を引くことは、あまりにももったいないことだと感じていた。今日の登板に関しても巨人相手に通用するかどうか、個人的には不安視していた部分もあるのだが、結果的には、私の不安を吹き飛ばす見事な投球を見せてくれた。巨人打線を7回無失点で抑えきり、菅野に投げ勝ってのプロ初勝利は山野の実力の片鱗を感じさせるに十分の投球だった。
※山野関連の過去記事は以下の通り。
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山野太一が支配下復帰へ | ヤクルトファンの日記 (ysfan-nikki.com)

山野は、元々キレのいいストレートとスライダー、カーブ、チェンジアップで勝負出来る正統派サウスポーの印象があった。しかしおそらくは、大学4年次辺りから何らかの違和感を感じていたのではないだろうか?ストレートも変化球も制球を乱す場面が目立ち始め、2021年の横浜スタジアムでの初登板の際にもストレートを引っかけてしまう場面が目立ち、正直投球になっていなかったという印象が残っている。そこから山野は姿を消してしまうのだが、育成契約になった以降、2軍での投球動画を見ると、そこには、以前とは違った山野の姿があった。投球フォーム(特にテイクバック)がコンパクトになり、カットボールやツーシーム系の小さく動かすボールの投球頻度を増やしながら、打たせて取る投球に活路を見出しているように感じた。正直私が好きだった頃の山野の姿はそこにはなく、以前に比べて「見栄え」はしない投球スタイルになったと感じていた。しかしこのモデルチェンジにより、不安定だったコントロールが徐々に安定しだし、2軍では長いイニングを投げられるまでに復活してきていた。そしてついに7月に支配下復帰を勝ち取り、今日の先発マウンドに上がることとなった。
初回から想像以上にストレートの球速は出ており、そこに元々得意だったスライダー、チェンジアップ、カーブ、小さく動かすカットボール、ツーシーム(シュート?)にフォームも交えて、巨人打線から凡打の山を築いていった。どのボールもよく腕が振れており、初対決となった巨人の各打者が的を絞ることが出来ず、自分のスイングが出来ていない場面が数多くあった。思わずバットが出てしまったというような場面も多かったのではないだろうか?球数少なくイニングを重ねると、6回にはダブルプレーで一旦はピンチを凌いだ後に、連打を浴び、2アウト1,2塁で岡本和と対峙する山場が訪れた。ここもカウントを悪くしながらも、冷静な投球を見せ、最後は低めのカットボールでライトファールフライに打ち取ってみせた。直後の7回に味方打線が1点を先制したため、7回からは継投に入るものだと思ったのだが、高津監督は、7回の打席にそのまま山野を送り、山野を続投させた。2軍では、100球以上投げることもあったのだが、元々コンディション不良で離脱した経過があり、6回も菅野に四球を与えてからピンチを招いていたため、ここでの続投は個人的には意外だったのだが、この采配に山野自身が見事に応えてみせた。秋広、丸、大城という強力な左打者相手に自分のバッティングをさせず、あっさり三者凡退で7回を抑えきってみせた。この投球は圧巻だった。
結局山野は、7回で83球を投げ、被安打4、与四死球1の無失点という素晴らしい数字を残してみせた。NEW山野の投球スタイルを見せ付けてくれた。
8回、9回は、清水、田口のリレーとなったのだが、スコアは、1-0であり、非常に緊張感が高い場面での登板となったのだが、今日もこの2人が、見事な投球を見せてくれた。清水は、門脇、中田翔、吉川を三者凡退に抑え、田口は、坂本、梶谷、岡本和を三者凡退に抑え、8回、9回は2人でパーフェクトピッチングを見せてくれた。1-0というスコアで、上記の巨人打線を相手にすることは簡単なことではないのだが、ここできっちり仕事を果たした清水、田口はやはり一流のリリーバーである。山野にプロ初勝利をプレゼントしてみせた。
山野に関しては、今日の投球と2軍でのスタッツを見た限りでは、突如としてコントロールを乱す不安は今でも隣り合わせであることを感じた。今日のゲームでは全体的にはコントロールもまとまっており、安定感を感じさせてくれたのだが、6回に菅野に四球を与えてしまった以降の投球は、多少不安定さを感じた。おそらくここが山野の課題になると思われる。次の登板にも注目してみたい。
それにしてもよく、ここまで戻ってきてくれた。ナイスピッチングである。

打線は、山田、サンタナが復帰し、1番レフト並木、2番セカンド山田、3番センター塩見、4番サード村上、5番ライトサンタナ、6番キャッチャー内山、7番ファーストオスナ、8番ショート長岡、9番ピッチャー山野というスタメンになった。
塩見離脱時に結果を残した並木を1番で起用し続け、山田を2番、塩見を3番に配した新しい並びは魅力的に映った。今後このオーダーを軸にしながら戦うことが出来れば、非常に面白いとも感じたのだが、今日は前回対戦時に初回でKOした菅野の前に抑え込まれてしまった。6回、8回に先頭の並木がヒットで出塁するシチュエーションを作ったのだが、そこから並木を進塁させることさえできなかった。山田も塩見もケースバッティングに特徴のある選手ではないため、今後並木とどう連動させていくか?という部分を見守っていきたい。今シーズンは塁上で並木がプレッシャーを掛ける中で、山田がホームランを放ったシーンが2度ほどあったと思うのだが、今後も同じようなシーンを作り出すことが出来るだろうか?並木のスピードを活かすのは、盗塁だけではない。塁上でプレッシャーを掛けながら打者をアシストすることも、このオーダーであれば必要になってきそうである。
6回、8回は得点することが出来なかったのだが、7回はこの日復帰したサンタナが先頭打者として2ベースで出塁すると内山が送りバントを決め、オスナは歩かされ、1アウト1,3塁というチャンスで、長岡がセカンドゴロを放ち、その間に1点を先制することに成功した。決して綺麗な得点の取り方ではなかったが、長打が期待された選手がしっかり打ち、決めるべき送りバントを決め、投手の前を打つ8番打者がしっかり打点を上げるという、「線」として機能した中での先制点となった。1点勝負という状況で各打者が役割を果たして得点した1点は、価値のある1点となった。
巨人相手の東京ドームでのゲームというものは、どうしても悪い思い出が多く、今日も最後まで最悪の事態も想像しながら観戦していたのだが、だからこそ1-0というスコアでの勝利は痺れるものがある。本当に粘り強く戦ってくれた。

P.S 山野のヒーローインタビューにはグッと来てしまいました。山野はいつも明るい選手という印象だったのですが、ここ2年半苦しみ続けていたのでしょうね。本当によく戻ってきてくれました。個人的にも期待値の高かった選手だけに、今日の投球とヒーローインタビューともに感動しました。




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コメント

  1. アーム より:

    諦めず腐らず努力し続けて結果を出す

    これからも色んな試練があると思いますが山野投手には乗り越えてもらいたいですね!

    • fiys より:

      アームさんへ

      よくここまで戻ってきてくれましたよね。おそらく投球フォームを一から作り直すところから始めていると思われるので…。

  2. 超匿名 より:

     二軍で好成績を挙げての登板だったので、ある程度期待をしていましたが、想像以上の結果でした。全盛期を過ぎたと言っても、実績ではリーグナンバー1の菅野に投げ勝ったのを自信にして、次回登板に向かって欲しいですね。
     打線の方も出来が良さそうだった菅野から、不恰好な形であっても1点をもぎ取り、前回打ち込んだリベンジを許さず負けを付けた事も良かったと思います。このまま嫌なイメージを抱えてもらったまま次回以降も対戦したい。

    • fiys より:

      超匿名さんへ

      2軍の先発陣で最も数字を残していたのが山野でしたからね。菅野に投げ勝ったことは自信にしてもらいたいですよね。

      並木が菅野に多少なりとも嫌なイメージを与えられましたかね。

  3. sabo より:

    山野はほんと100点ですね
    怪我からのリハビリと新しいフォームを作り上げるのは相当な苦労だったと思います
    小野寺コーチや尾花投手チーフコーチを招いた成果もあったでしょうかね
    山野はまだまだ若いしこれがベストピッチではなく更に高みを目指してほしい
    単純に球速も伸ばせるだろうし剛柔併せ持った投手になってほしいです

    • fiys より:

      saboさんへ

      そうですね。リハビリと投球フォームの作り直しは相当な苦労だったかと思います。
      まだまだこれからも投球フォームを固めていく必要があるでしょうね。

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