村上不在。いつもと違った景色。

ヤクルト１０－２中日

試合前に村上が体調不良による特例抹消になったとのニュースが飛び込んで来た。村上の調子が上がってきていることは、昨日のブログ記事でも触れていたのだが、その村上が不在という緊急事態に陥ってしまった。今のヤクルトは、村上が中心のチームになっている。21年のリーグ優勝、日本一も22年のリーグ優勝も村上の存在なくしてはあり得なかったと思っている。やむを得ないことではあるのだが、どうしても村上に依存するチームになっていることは否定できない。その村上が離脱ということで、今日は打順もポジションも入れ替えがなされた。慣れ親しんだホーム神宮球場のゲームではあったのだが、選手も首脳陣もいつもと違った景色を感じながらのゲームになったのではないだろうか？

ヤクルト先発のピーターズは、今日も完璧な立ち上がりを見せてくれた。初回からしっかり自分の投球が出来ることは、先発投手にとって非常に大切なスキルとなってくる。しかしこれ程までにコンスタントに安定した立ち上がりを見せる投手は早々いないものである。立ち上がりは、自分自身の状態を確認しなければならないし、相手打線も基本的には良い打者が揃っている。だからこそ立ち上がりは難しいし、失点の確率も高くなるのだが、その立ち上がりに崩れないピーターズの試合に入るまでの準備は見事なものがある。今日も岡林、龍空、細川をわずか10球で片付けてみせた。2回以降は、2つの死球を与える場面もあり、毎回のようにランナーを許す投球となってしまったのだが、ランナーを出した後も、大崩れせず、自分の投球に終始出来るだけの力を持っているため、そこまでハラハラせずに見ていることが出来る投手である。3回に細川にタイムリーを浴びた以外は、ランナーを背負っても、得点は許さず、打たせて取る投球で中日打線を抑え込んでみせた。結局今日は、6回で105球を投げ、被安打5、与四死球2の1失点でまとめ、6勝目を手にしてみせた。これまで球数が80球を超え始めた辺りが鬼門になっていたのだが、今日は、6回は三者凡退で抑え、試合の流れを手放さなかった。ストレート、変化球ともにキレがあり、コントロールも良いため、コンスタントに結果を残すことが出来ている。
今日はある程度点差がある中で、7回から木澤ー清水ー大西と繋いでみせた。こういった展開に持ち込むことが出来れば、リリーフ陣の心理的負担は多少は軽減できるのではないだろうか（そう簡単には行きませんが…）？

打線は、村上が不在という中で、1番サード武岡、2番ショート長岡、3番セカンド山田、4番ライトサンタナ、5番ファーストオスナ、6番レフト澤井、7番キャッチャー中村、8番センター丸山和、9番ピッチャーピーターズというオーダーになった。
武岡、長岡の1，2番だったり、レフトにルーキーの澤井が起用されたりということもあり、打順もポジションもいつもとは違った景色となった。おそらく選手自身も新鮮さや多少の違和感、普段とは違った緊張感もあったと思うのだが、今日に限っては、景色が変わったことがプラスに働いた。
2回は先頭打者の澤井が放ったライトフライを、中日のライト川越が見失い、ラッキーな形でプロ初安打となる3ベースヒットが飛び出すと、続く中村のセカンドゴロの間に先制点を奪ってみせた。同点に追い付かれた後の4回には、中日先発の仲地がコントロールに苦しみ、2つの四球でチャンスを作ると、武岡がライトフェンス直撃のタイムリー2ベース、長岡がライトポール際に飛び込む3ランホームランを放ち、一挙4点を奪い、勝ち越しに成功してみせた。仲地は制球に苦しんでおり、ストレートに的を絞りやすいシチュエーションではあったのだが、武岡も長岡も力のあるストレートに全く力負けせずに強い打球を放ってみせた。こういった強いスイングでストレートを弾き返せるということは、まだまだ2人とも打撃面での伸びしろを感じさせてくれる。
その後7回にはオスナの2ランホームランなどで3点を追加し、8回には三ツ俣、宮本のタイムリーヒットで2点を追加してみせた。中盤以降優位に試合を進められたこともあり、各選手が新たな景色でも戸惑うことなくプレーすることが出来たのではないだろうか？中心選手が離脱してしまった場合、長いこと今日のようなゲームを継続できることはまずあり得ない。それでも村上が戻ってくるまでは、新たな景色に新鮮さを感じながらプレーを続けてもらいたい。