ヤクルト5-4広島
現在5位に低迷するヤクルトなのだが、ファンの楽しみの一つが200勝を目指す石川の勝ち星である。今日のゲームでは、2回までに3点を失ってしまったのだが、その後粘りの投球を見せ、最終的には6回1アウトまで投げ、勝ち投手の権利を得たままマウンドを下りることとなった。結局勝ちは付かなかったのだが、マウンドでも打席でも「やれることをきっちりやる。」姿は、他の投手の見本になっているはずである。前回の登板時には足の違和感で降板となってしまったのだが、今日の登板までにきっちり準備をし、仕上げてきているところも見事である。勝ち星が付かなくとも、しっかりチームの勝利に貢献してみせた。
ここ10年で野球というスポーツのレベルは格段に上がった印象がある。これまで以上にデータ分析の精度が高くなるととともに、ネット社会の中で情報を得られるようになり、選手が自分のプレーを可視化できる時代となっている。投手の平均球速については、おそらくここ5年ほどで飛躍的に速くなってきているのではないだろうか?そんな時代に突入しても、プロ22年目を迎える43歳の石川がNPBの1軍で先発として結果を残し続けていることは、素晴らしいことである。
おそらく石川のストレートの平均球速は、130キロ程だと思われる。NPBの平均から行けば、10キロ以上遅い数値になるのではないだろうか?若い頃に比べれば石川自身の球速も徐々に遅くなってきているはずである。しかしそれでも抜群のコントロールと他球種とのコンビネーションで今現在も、先発としてしっかり試合を作ってくれる。中6日のローテをシーズン通して続けることは難しくなっているが、今でも十分「戦力」としてチームに貢献してくれている。
私は、今シーズン開幕直後に多少躓いてしまったこともあり、石川については、常に不安を感じながら、ピッチングを見守っている。今日も足の状態含めて不安要素が大きく、初回は秋山、西川にタイムリーを打たれ、2回は坂倉にソロホームランを浴びてしまったため、このまま5回持たずにマウンドを下りてしまう可能性が高いかな?などということも頭をよぎったのだが、その裏の打席でしっかり送りバントを決め、塩見の同点タイムリーを導き出すと、3回以降は、ストレート、変化球を内外角に散らすことで、広島打線を打ち取って行ってみせた。この辺りの投球術は見事であり、だからこそ高津監督も6回のマウンドへ上げ、先頭の西川を打ち取るまで続投させたのだと思う。年齢的にも全盛期のような投球が出来るか?と言われれば難しくなってきているし、立ち上がりの3失点を擁護するつもりもない(この投球をOKとしてしまえば、石川にも失礼に当たると思われる。)のだが、それでもテクニカルな投球で相手打線からアウトを重ねていく石川の投球は見ていて面白い。2023年現在のNPBで石川のような技巧派小型サウスポーが通用していること自体が興味深いことである。「200勝」という数字は、まだまだ遠い数字ではあるのだが、石川の気持ちが燃えたぎっている限りは、目指し続けてもらいたい。
石川降板後、6回は大西がきっちり抑えたのだが、7回は木澤が四球から1アウト2塁のピンチを作ってしまう。代わった山本がレフト内山のスーパープレーにも助けられ、何とか2アウトまでこぎつけたのだが、小園にタイムリー内野安打を許し、同点に追い付かれるとともに、石川の勝ち星も消えてしまった。それでも打線がその裏に勝ち越すと、8回清水、9回田口のリレーで最終的は、5-4というスコアで勝利することが出来た。もちろん、石川の勝ち投手の権利が残ったまま、清水ー田口というリレーに持ち込むのがベストではあったのだが、石川に勝ちが付かなかったとしても、清水、田口は良く投げてくれた。この2人の存在がなかったら、おそらくヤクルトは、壊滅的なシーズンを過ごしていた可能性がある。清水、田口の2人が担っている役割は非常に大きい。
打線は、序盤から3点を追うゲームとなってしまったのだが、今日は上手く繋がり、逆転に成功すると、追い付かれた後の7回にも山田に決勝タイムリーとなる勝ち越し2ベースが飛び出し、勝利を手にしてみせた。今シーズンは塩見、山田の離脱、村上の不振もあり、こういった逆転勝ちが極端に少ないシーズンとなっていたのだが、今日は、塩見、山田、村上がそれぞれ役割を果たした中での逆転勝ちとなった。この3人が揃って結果を残し、勝利を手にしたゲームは、いつ以来になるだろうか?やはり主軸が結果を残さなければ、長いシーズンを勝ち切ることは難しい。
3点を追う2回はサンタナの四球、内山の2ベースで0アウト2,3塁のチャンスを作ると長岡の犠牲フライでまずは、1点を返し、その後の1アウト、1,2塁の場面では石川がきっちりバントを決めると、続く塩見がレフト前へ2点タイムリーを放ち、同点に追い付いてみせた。各打者が役割を果たした中での、同点劇は見事なものであった。
3回には村上がライトスタンドに豪快に運ぶ、ソロホームランを放ち、勝ち越すとともに一旦は石川に勝ち投手の権利を与えてみせた。この一発が5年連続の20号ホームランとのことで、不振でもここまで数字を上げてくる辺りは流石である。
そして7回には山田が三塁線を破るタイムリー2ベースを放ってみせた。同点打が塩見、一旦は勝ち越しとなるホームランを村上、決勝タイムリーが山田ということで、ヤクルトにとっては理想的な得点シーンとなった。山田にしろ、塩見にしろまだまだコンディション面では不安を感じていると思うのだが、シーズン終了までに今日のようなゲームを1試合でも多く見せてもらいたい。
P.S 7回の内山のダイビングキャッチは痺れましたね。7月の広島戦でもレフトでビッグプレーを見せてくれたのですが、無鉄砲に「一か八か」のプレーを選択している印象はなく、意図を持って一つ一つのプレーを選択しているように感じます。きっちりアウトを取れたことも見事ですね。
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コメント
石川に勝ちが付かなかった点は残念だったものの、主役の活躍があり内山の超美技で改めてセンスを確認し、満塁で川端登場で盛り上がったりとファンの満足度は高い試合だったと思います。そしてマツダがおかしいだけで神宮なら広島と渡り合えますね。
石川自身がどういう思いなのかわかりませんが、ファン目線では勝ち投手になってもおかしくない投球が出来ていると思うので、来季も投げてもらいたい気持ちがあります。
超匿名さんへ
長いイニングを投げることは難しくなっており、どうしても勝ち星が遠くなってしまっていますよね。しかし今シーズンもある程度の投球は出来ているため、来シーズンも現役にしがみついてもらいたいですよね。