石川に勝ちは付かず、チームに負けが付く。

ヤクルト１－２×DeNA（延長10回）

ヤクルトは現在チームとしての目標を見出しづらくなっている。しかし石川の登板日は別である。石川の勝利のために戦うことが出来るはずである。普段よりは、チームがまとまりやすいゲームになるはずである。そんなゲームで石川は、6回1失点と先発投手としての役割は果たしたのだが、打線は石川に援護点をプレゼントすることは出来ず、石川の186勝目は、今日もおあずけとなってしまった。
ゲーム自体も、8回に宮本の犠牲フライで一旦は同点に追い付いたのだが、延長10回に古巣相手に恩返しをしたかった阪口が大和にサヨナラタイムリーを打たれ、結果的には石川に勝ちが付かず、チームには負けが付いてしまった。チーム一丸で戦うことが難しくなっている中でシーズン終了まで苦しい日々が続きそうである。

先発の石川は、初回に伏兵知野に先制ソロホームランを浴びてしまったのだが、その後は、取れるアウトを確実に取るベテランらしい投球でDeNA打線を抑え込んでみせた。正直知野へのホームランに関しては、四球を嫌がった中で思った以上に甘いコースにカットボールが入ってしまった失投だったと思うのだが、その後は、今自分が出来る投球を徹底してくれた。佐野に3安打を打たれるなど、個の勝負という意味では、苦しく感じる場面もあったのだが、全体のピッチングマネジメントという意味では流石の投球内容だったのではないだろうか？
今日は、コントロールが良く、各打者の内角をしっかり攻めることが出来ていた。石川はスピードはないのだが、このコントロールがあるからこそ長きに渡ってNPBで活躍し続けることが出来ている。素人目に見るとスピードのない投手がインコースを突くことは勇気がいるのではないか？と感じるし、テレビで見ていても、「ここでインコースを突くのは怖いなあ。」と思いながら見ていることもあるのだが、石川は当然のように長距離砲に対してもインコースを突くことが出来ている。おそらく石川にインコースを投げることへの怖さやためらいはないのだと思う。プロで生き残るために、当たり前のようにインコースを使うことが出来ている。少しでもコースが甘くなれば、打者にとって捉えやすいボールになってしまうのだが、その投げミスがないようにコースに投げ分けられるのが石川の武器である。今日は、6回で105球を投げ、被安打6（被本塁打1）、与四死球1の1失点という数字が残った。球数が多くなってしまうのは、今の石川の実力でアウトを重ねるのに球数を要す必要が出てきていることを示していると思うのだが、それでも試合を作れる石川はやはり特別な投手だと思う。勝ち星には恵まれていないのだが、他の先発投手のお手本になる投球を見せてくれている。
7回からは、木澤、清水、石山とDeNA打線を抑え、1－1というスコアで延長戦に突入したのだが、10回にマウンドに上がった阪口が、1アウトから佐野に四球、牧に2ベース、ソトを申告敬遠で歩かせ、1アウト満塁のピンチを招くと、ここで大和にライト前へサヨナラタイムリーを浴びてしまった。
阪口に関しては、ヤクルトへ移籍後、今日のような緊迫した場面でのリリーフも経験し始めているのだが、まだまだ経験不足である。しかし今日のような苦い経験をする中で成長する部分もあるはずである。投げているボール自体は魅力的である。今後のプロ野球人生の糧にしてもらいたい。

打線は、DeNA先発平良の前に抑え込まれてしまい、石川を援護することが出来なかった。7回は、先頭のオスナが2ベースヒットで出塁し、長岡送りバントの後、代打川端、代打山田で勝負を掛けたのだが、川端はファーストゴロ、山田は三振に倒れ、1点が遠いゲームとなってしまった。ようやく同点に追い付いたのは、すでに石川が降板した後の8回だった。先頭の内山がライト蛯名の転倒もあり、スリーベースで出塁すると1アウト後、宮本が犠牲フライを放ち、同点に追い付いてみせた。相手のミスも重なった中ではあるのだが、宮本はしっかり仕事をしてみせた。山田の代わりになることは出来なくても、宮本らしく仕事をこなしてくれている。今日もチームが苦しむ中で、良い仕事をしてくれた。同点に追い付いた勢いで、そのまま勝ち越したかったのだが、ここで勝ち越し点を奪えないのが、今年のヤクルトである。
9回は、DeNAの森原が中村への頭部死球で危険球退場となるなど、1アウト1，2塁というチャンスを作ったのだが、代打濱田が代わった伊勢の前にセカンドゴロダブルプレーに倒れてしまい、チャンスを逸してしまった。伊勢も難しいシチュエーションでの登板であり、ヤクルト側からするとこのアクシデントに付け込まなくてはならなかったのだが、逆に伊勢を助ける形になってしまった。

苦しい日々が続くのが、1試合1試合丁寧に戦ってもらいたい。