第106回全国高校野球選手権大会で印象に残った選手

高校野球


春のセンバツからいわゆる低反発バットが導入され、高校野球にも変化が訪れた2024年ということが言えるのではないだろうか?センバツから夏にかけて、どのチームもだいぶ新基準のバットにアジャストして来ていると感じるが、やはり打球の飛距離は落ちているように感じる。そんな中で、コントロールの良い、良くまとまった投手がしっかり結果を出したり、細かい戦術を駆使したプレーが目立ったりする第106回の選手権大会になっているのではないだろうか?
今日は大会休養日であり、明日準々決勝が行われる予定となっているのだが、ブログ更新のタイミングがなくなってしまう可能性があるので、今日の時点で今大会の印象に残った選手を挙げておきたい。












投手

今朝丸 裕喜(報徳学園)
・1回戦で大社高校に敗れてしまったのだが、長身から投げ込まれるストレートと縦、横の変化球をしっかり操ることが出来ており、高卒プロということを考えた場合には、今大会で№1の投手だったのではないだろうか?右足一本で立った時のバランスが非常に良く、下半身もしっかり鍛えられていることが伝わってきた。今秋のドラフトで上位指名もあり得るのではないだろうか?将来NPBで活躍している姿が想像しやすいタイプの投手である。

藤田 琉生(東海大相模)
・198㎝のサウスポーと言うだけで大きな武器となる。大きな身体を持て余すことなく、使えており、投球フォームもコンパクトにまとまっている印象である。コンスタントの140キロを超えるストレートとナックルカーブのコンビネーションは充分実戦で使えるものだった。高低を上手く使えており、特にストレートもナックルカーブも低めに集めることが出来るのが、この投手の一番の武器ではないだろうか?
今朝丸同様、即プロがあり得る投手である。

高尾 響(広陵)
・このブログでも何度も取り上げている、言わずと知れた名門広陵のエースである。3年生になり、どこか投球が大人しくなってしまったかな?という印象もあるのだが、逆に言えば感情を上手く制御できるようになってきたとも言えるのではないだろうか?完璧主義者のような投球から、どこか割り切れる投手に変化したようにも感じた。コンスタントに試合を作れる投手像を目指す上では、この変化がプラスに働く可能性もあるのではないだろうか?
即プロとなると、昨年東恩納(沖縄尚学)が指名漏れしたため、微妙かもしれないが、上のカテゴリーでもすぐに実戦登板できるだけの完成度を感じる。

田崎 颯士(興南)
・ストレートとスライダーのキレで勝負出来るサウスポーは、大阪桐蔭相手でも怯まず自分の投球を貫いてみせた。現段階でボールのキレで勝負することが出来ているのだが、シュート系のボールやチェンジアップ系のボールを使えるようになり、身体が出来てくれば、面白い存在になるのではないだろうか?ボールのキレで勝負するサウスポーの活躍が目立った大会なのだが、そのタイプの投手の中では、私の中では、№1評価である。

千葉 雄斗(木更津総合)
・いかにも木更津総合のエースっぽい、右腕だった。投球フォームが安定しており、コントロールも抜群だった。おそらく進学ということになると思うのだが、今後の成長が楽しみである。4年後、ドラフト上位候補として名前が挙がってくるのではないだろうか?

個別で取り上げるのは絞りに絞って、この5名にしたい。その他では、左のキレで勝負するタイプの中崎(京都国際)、馬庭(大社)、櫻井(鶴岡東)、田近(智弁学園)、以前から評判だった小松(花巻東)、竹田海(北陸)、2年生の石垣(健大高崎)、森(大阪桐蔭)、中野(大阪桐蔭)、市村(霞ヶ浦)辺りが印象に残った。
特に2年生で名前を挙げた、石垣、森、中野辺りは、来年のドラフト目玉候補になる可能性がありそうである。

野手

石塚 裕惺(花咲徳栄)内野手
今大会№1野手は、この石塚になるのではないだろうか?初戦で敗れてしまったものの、走攻守ともに存在感を放ってみせた。坂本勇人になれる逸材だと感じる。NPBでのプレーということを考えた時に強いて言えば、遊撃手としての守備という部分が課題になる可能性はあるのだが、まだ高校3年生であることを考えれば伸びしろしか感じない。ドラフト1位重複もあり得る選手だと思う。ヤクルトのドラフトという視点で考えても獲得に向かう可能性があるのではないだろうか?

境 亮陽(大阪桐蔭)外野手
・すでに大学進学を表明したようだが、私の中では、即プロも狙えると感じていたスピードスターである。先輩の藤原(ロッテ)と比べると打撃面、パワーという部分では劣るかもしれないが、走塁、守備に関しては、見劣りしなかったのではないだろうか?ただ速いだけではなく、野球というスポーツにしっかりアジャストしているのが、この選手の強みである。

正林 輝大(神村学園)外野手
・正林も甲子園でお馴染みの選手である。今大会は、ここまで結果を残せていないが、強く振れて、しっかりコンタクトできる打撃技術は、高校生ではトップクラスであろう。走守という部分で飛びぬけたものがないだけに、とにかく打撃技術を高めていってもらいたい選手である。右左の違いはあるが、濱田(ヤクルト)の明豊高校時代を思い出した。

箱山 遥人(健大高崎)捕手
・チームを引っ張る捕手として高い力量があることを感じさせてくれた。様々なタイプの投手をリードし、守備では強肩でチームを救い、打撃ではパンチ力のある所を見せてくれる。今年の高校生捕手の中では総合力№1候補の選手だろう。本人が希望するようであれば、高卒即プロ入りもあり得るのではないだろうか?

藤原 佑(大社)外野手
・スピード感溢れるプレーは、見ているものを惹き付ける。自分の長所を存分に活かしてプレーする姿には、惚れてしまう。迷いなく次の塁を狙う姿勢がこの選手の武器である。現時点でプロを狙えると言えるような選手ではないと思うのだが、この選手がいることで、大社は、攻撃のバリエーションが格段に増やせたという部分があるのではないだろうか?

藤江 龍之介(大社)内野手
ショートで見せるボディーワークがとにかく「カッコイイ」選手である。足運び、身体の使い方が、良い意味でモダンである。私のようなアラフォー世代がイメージする攻守のショートとは違った身体の使い方をするのだが、無理なく身体を動かしているように見え、おそらくは非常に合理的な動きをしているのだと感じさせてくれる。藤江の守備を見たいから大社の試合を見たいと感じるファンがいてもおかしくないのではないだろうか?

その他では、栄える遊撃手の中村(宮崎商)、宇野(早稲田実)、パワーヒッターの原田(青森山田)、花田(智弁和歌山)、田西(小松大谷)、古城(花巻東)辺りの将来が楽しみである。

今大会は、久々に郷土のチーム以外で試合を追いかけてみたいと感じるチームが出来た。それが大社高校だった。初戦の報徳学園戦の初回の攻撃を見て、一気に引き込まれてしまった。積極的な攻撃、バントを効果的に使った戦略、派手なプレーをしているように見えて、カバーリングなど地味な部分を徹底している守備、アルプスを一体になった迫力、様々なことを感じさせてくれた。馬庭ー石原のバッテリーとショート藤江、センター藤原というセンターラインは、印象に残った。

ヤクルトのドラフトと言う部分で考えると石塚は、1位入札候補の1人になりそうだし、今朝丸、藤田も候補として名前は上がってきそうである。私は、1位入札に関しては、宗山(明大)と石塚で迷っているのだが、実際にはどんな指名を展開するだろうか?

冒頭にも書いたのだが、今大会は、大社ー早実戦に象徴されるように、1つの進塁、1つのアウトを巡る攻防が非常に面白い。低反発バットが使用されるようになり、野球の細かいプレーに光が当たった大会になった。当然賛否はあると思うのだが、高校年代でこれだけ細かい野球を叩きこまれるのは日本の野球文化特有のものなのかもしれない。そういった戦略的なゲームを楽しめるのが高校野球の醍醐味の一つである。




高校野球マガジンvol.24 2024甲子園展望号 2024年9月号 【週刊ベースボール増刊】【雑誌】【3000円以上送料無料】

価格:850円
(2024/8/18 11:30時点)
感想(0件)




にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました