巷では、今年の「新語・流行語大賞」の候補が発表されたようである。私は野球観戦を初めて、35年が経過し、野球界でも時代によって言葉が入れ替わってきていることを感じている。そこで今日は、昔はよく聞いたけど、最近は聞かなくなった言葉をいくつか取り上げてみたい。あくまでも私の記憶の中から引っ張り出した印象的な言葉に絞ってみたいと思う。
ヤクルトスワローズ関係の言葉
・のびのび野球
1987年~89年までヤクルトの指揮を執った関根潤三監督が広澤、池山ら若手を育成するために失敗にはある程度目を瞑って起用し続けたことなどから「のびのび野球」と呼ばれるようになった。一説には90年からヤクルトの指揮を執った野村克也監督がこれまでのヤクルトを揶揄する意味も込めて「のびのび野球」と称したとの話しもあるようである。私は幼かったため、はっきりとは覚えていないのだが、てっきり関根監督が指揮を執っている時から「のびのび野球」と呼ばれていたと思い込んでいた。実際にはどうだったのだろう?
広澤や池山や栗山や長嶋など魅力的な若手選手が目立った魅力的な時代だったことは間違いない。
・ID野球
野村克也監督がヤクルトの監督に就任した際に提唱されたものである。「インポータントデータ」の略語である(Wikipediaでは正確には「インポートデータ」となっていますね。)。野球というものを可視化する、数値化する、根拠を示す、言語化する、といったような部分に野村監督がこだわったからこその言葉だと思われる。日本野球界が進歩する一つのきっかけとなった言葉ではないだろうか?
・ドラ1四兄弟
06年ドラフト1位村中恭平、07年ドラフト1位増渕竜義、08年ドラフト1位由規(佐藤由規)、09年ドラフト1位赤川克紀というヤクルトの高卒ドラ1投手のことを「ドラ1四兄弟」と呼んだ。2011年シーズン辺りは、この4投手がヤクルトの未来を明るく照らす存在になることを疑わなかったのだが、4人が揃って結果を残すことはなかった。それでも魅力的な4投手だったからこそ期待を込めて「ドラ1四兄弟」と呼ばれたはずである。
球種関係の言葉
・小さいカーブ
私が野球を見始めた1988年~数年間は「小さいカーブ」という表現が使われていた。おそらくは縦のスライダーのような球種のことを言っていたと思うのだが、はっきりとは覚えていない。しかし高校野球中継の中でも「小さいカーブ」という表現はよく聞いた記憶が残っている。
※「この投手は、大きいカーブと小さいカーブの2種類を投げ分けていますね。」などと実況されていた。
・ドロップ
「小さいカーブ」の対義語となるだろうか?大きな縦のカーブのことを指している。おそらく私が野球を見始める前の方が使用頻度が高かった言葉ではないだろうか?80年代後半~90年代前半まではまだ中継の中で使われていた。しかしその後90年代後半から00年代前半は、「カーブ」自体を投げる投手が非常に少なくなったため、自然と消えていったように感じる。その後「カーブ」を投げる投手が増え始め、改めて「ドロップ」という言葉を聞く機会が少し増えたような気もする。
・スプリットフィンガード・ファストボール
浅い握りのフォークボールで、スピードがあって落差は小さめの球種のことである。SFFなどと表記されていた。今現在は、高速フォークが当たり前の時代に突入し、「スプリットフィンガード・ファストボール」という表現はあまりなされなくなっている。
・汚いストレート
80年代~90年代くらいまではムービング系のファストボールのことを「汚いストレート」と呼ぶことが多かった。対義語は「綺麗なストレート」というキレのある回転数の高いフォーシームのストレートのことを指した。この「汚いストレート」という表現も現在はほぼ使われなくなっている。
・真っスラ
イメージとしては、スライダーよりはスピードがあって、カットボールよりは曲がり幅が広いボールのことを「真っスラ」と呼んでいた印象である。代表的な使い手は斎藤雅樹や岩瀬仁紀になるだろうか?カットボールという呼び名が一般的になる前に「真っスラ」と呼ばれていた可能性もある。その辺りは私の記憶も曖昧である。
ドラフト関係の言葉
・逆指名
アマチュア選手側が、希望するプロ球団を逆に指名すること。私が野球を見始めた時には当たり前に使われていた言葉であり、その後実際に上位指名が有力視されるアマチュア選手がプロ球団を逆指名することが制度として認められる時代もあった。
・在京セ
私が野球を見始めた時のプロ野球界は巨人を中心に回っていた。セリーグとパリーグの人気格差もはっきりしており、上記のようにアマチュア選手が人気球団に入ることを公表することが当たり前のようにあった。その際によく使われた言葉が「在京セ」である。一応巨人、ヤクルト、大洋(現DeNA)を示しているのだが、実際には巨人入りを熱望した選手が多かったように記憶している。「在京セ、パリーグなら西武」という発言も多かったように記憶している。
・栄養費
球界再編に揺れた2004年にアマチュアの有力選手にプロ球団が「栄養費」という名目で、多額の現金を渡していたという事実が明るみに出た。これまでも「ドラフトの有力選手に裏金が渡っているのでは?」という噂はよく聞いたのだが、大々的に問題になったのは、2004年からである。「栄養費」という名目で何百万円もの現金の受け渡しがあったことに驚いたとともに、「やっぱりこういうことが行われていたのか。」と妙に納得してしまう気持ちもあった。また当該選手が、ここぞとばかりに悪者扱いされてしまったことに違和感も覚えた。
その他
・こけしバット
大洋(現DeNA)の山崎賢一が使っていたことを強烈に覚えている。グリップエンド部分が極端に太いバットは子どもながらにインパクトがあった。その後使う選手がいなくなってしまったのだが、最近はソフトバンクの周東が使うことがあるということなので、旧語・死語にはあたらないかもしれない。
・当て馬
まだ予告先発がなかった時代、スタメンに投手を入れ、相手先発投手によって、起用選手を代える戦術が当たり前のように使われていた。「当て馬」とか「偵察メンバー」と言った言葉が使われていた。予告先発が採用された後にこの戦術は完全に消えていった。
野球関係で使われなくなっていった言葉を自分の印象のみで挙げてみたのだが、「旧語・死語」としてもっと適切な野球用語は山程あると思われる。皆さんは、「昔はこんな言葉当たり前に使っていたのに今は使われなくなったな。」という言葉はありますか?「言葉が変われば野球も変わる。」面白いものですね。
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コメント
少し主旨と違うかもしれないですが、自分がリトルリーグの時に出塁してリードを取るときに「リーリーリーリー」って言っていたんですが、今の小学生も言っているのか気になりました(笑)
アームさんへ
私はコーチャーが「リードオッケー、リードオッケー」と言い、牽制が来ると「バック」、ホームへ投球すると「ゴー」と声掛けをしていましたね。ランナー自身が声を出すことはなかったですが、どうなんでしょうね?