長岡秀樹はスーパースターになり得るか？

山田や村上、古くは岩村、池山など、ヤクルトの高卒組スーパースターは、若くしてとんでもない数字を叩き出し、一気にスーパースターへと駆け上がっていった印象がある。そんなメンバーと比べてしまうと長岡の数字はどうしても霞んで見えてしまうのだが、私は、ここから長岡がヤクルトを代表するスーパースターに成長する可能性もあると見ている。2022年シーズンから3年連続でショートのレギュラーとして毎試合のように出場し続けた時点ですでに立派なのだが、私が考える「スーパースター」というのは、もっとハードルが高いものである。いわゆる将来ヤクルトの背番号1を背負える選手という意味合いである。

長岡は、高卒3年目のシーズンとなる2022年の開幕前に結果を残し、開幕戦でスタメンショートに抜擢されると、その試合で4安打を放ち、チームの勝利に貢献し、ここからレギュラー不在の期間が長かったヤクルトのショートというポジションにカチッとハマってみせた。打撃でも守備でも身体の動きが非常にシンプルであり、無駄を省いた動きが出来る選手という印象を抱いている。打撃面では、強く振れることが武器の一つである。ルーキーイヤーの最終盤戦から1軍での出場機会を得ることが出来ていたのだが、当時の長岡は、「良い形を持っているな。」という印象は残っているのだが、まだまだ線が細く非力だった。それが高卒3年目になると徐々に身体が出来上がってきており、何より打席でバットを強く振れるようになっていた。まだまだ「我武者羅にバットを振っているだけ。」というレベルだったかもしれないが、それでも1軍クラスの投手にある程度は対応出来るようになっていった。そしてこのシーズン、長岡は遊撃手のレギュラーとして試合に出場し続け、チームのリーグ優勝、日本一に大いに貢献してみせた。守備面では、派手さはないが、肩の強さと正確な送球を武器に落ち着き、安定感というものを感じさせてくれた。ヤクルトのショートと言えば、華やかなでダイナミックな守備で観客を魅了した池山、正確な捕球、送球、守備位置でプロの評価が高かった宮本の2人の印象が強いのだが、長岡は、宮本タイプの安定感のある遊撃手だと私は評価している。宮本に関しては、日本代表でキャプテンを務めるなど、チーム全体をまとめるという意味でも重宝された有形無形両面で評価された名選手なのだが、私は、長岡には宮本を超えるような選手になってもらいたいと思っている。2022年にはゴールデングラブ賞、2024年シーズンには最多安打のタイトルを獲得しており、すでに宮本の背中を追いかけられる状態にはなっていると思うのだが、打撃面で進化が見られれば、一気に宮本を追い越すような選手になる可能性もあるのではないだろうか？
ここで、1軍のレギュラーに定着してからの成績を見ていこうと思う。
・2022年シーズン（高卒3年目）
139試合　511打数123安打　9本塁打48打点2盗塁　打率.241　GG賞

・2023年シーズン（高卒4年目）
135試合　445打数101安打　3本塁打35打点4盗塁　打率.227

・2024年シーズン（高卒5年目）
143試合　566打数163安打　6本塁打58打点4盗塁　打率.288　最多安打、ベストナイン

2023年シーズンに打撃面で壁にぶち当たった様子はあったのだが、レギュラーを確保して以降、3シーズンに渡ってレギュラー遊撃手として試合に出場し続けていることがまず凄いことである。ショートというポジションは守備時の負担が非常に大きなポジションである。それだけに高卒でプロに入って、まだ日が浅い選手には、心身ともに大きなストレスがかかることが予想される。そんなポジションで高卒3年目のシーズンからレギュラーを張り続けているということは、心身ともにタフな選手であることを感じさせてくれる。昨シーズンオフは、フェニックスリーグで大怪我を負ってしまったのだが、それでも開幕には間に合わせて全試合出場してしまうのだから恐れ入ってしまう。怪我後のプレーという部分では、どうしても動きが鈍くなってしまう部分があると思うのだが、長岡は好守両面で、これまで同様、否それ以上のプレーで、チームを引っ張ってくれた。高卒5年目で、内野をまとめるような存在感を出せるようになってきている。
来シーズン以降、コンディション面での課題が出てくる可能性はあるものの、しっかりコンディションを整えて試合に出場できるのであれば、もう一段、二段、プレーヤーとしてレベルアップする可能性を秘めていると思う。深く守って、しっかりアウトを積み重ねることが出来る遊撃手としての守備は勿論のこと、打撃面でも3割、2桁ホームランが期待できる選手だと思っている。来シーズン以降もショートのレギュラーを確保し、打撃面でも大きく飛躍をすれば、スーパースターへの階段を上っていくシーズンになる可能性はある。数年後、本当にこの長岡が背番号1を背負うような選手になる可能性はあると思っている。まずは怪我をせず、身体のキレを失わないということが大切になりそうである。

過去記事→「高卒ルーキーの二遊間 | ヤクルトファンの日記」、「長岡のゴールデングラブ賞受賞に思う | ヤクルトファンの日記」