第92回箱根駅伝振り返り

明けましておめでとうございます。今年もまずは箱根駅伝の振り返り記事から書いていきたい。復路に関しては、全く観戦できなかったので分かる範囲で書きたいと思う。
区間エントリーの記事はこちらから→「2016年箱根駅伝区間エントリー
前回大会の記事はこちらから→「第91回箱根駅伝振り返り

今大会も前大会同様、青山学院大学の強さが際立つ大会となった。1区久保田の区間賞以降、他大学に影すら踏ませない圧勝劇となった。「強い」の一言である。それでは各大学ごとに振り返っていきたい。

優勝 青山学院大学
・往路から1度もトップを譲らない完勝だった。昨年は、5区神野の圧倒的な走りによって一気に流れを引き寄せたのだが、今大会は、神野が昨年ほどタイムを伸ばせなかった中でも他のランナーが満遍なく力を発揮し、総合力の高さを見せ付けてくれた。
1区久保田のロングスパートが見事に決まると、2区一色が、東洋大学服部勇の追撃を最低限にとどめ、3区秋山は服部弾を引き離す強い走りを見せてくれた。終わってみればこの秋山の快走が大きかったのではないだろうか?ここで服部弾に並ばれるようなことがあればまだまだ勝負は分からなかったはずである。
4区田村が2年連続区間賞で大差をつけて5区の神野に襷を渡すと神野は箱根山中での向かい風の影響もあって昨年より3分ほど遅いタイムとなってしまったが、リードをしっかりと保って往路優勝に導いて見せた。万全の調整が出来なくてもこれだけ走れるということはやはり「山適正」が高い選手なのだろう。
それでも往路終了地点ではまだ東洋大にもわずかにチャンスが残されてるように感じたのだが、6区1年生小野田の58分台の好走と7区小椋の区間賞で大勢を決めて見せた。
スカウティング、育成が噛み合い大学長距離界の新たな王者が誕生したように感じる。選手層がとても厚く、東洋大に分があるのでは?と感じた3区や6区でも秋山や小野田がしっかり結果を出して見せた。久保田、神野、小椋などの主力が抜けても穴埋めできるような選手が育ってくるのでは?と感じさせる今回の箱根駅伝だった。強い勝ち方だった。

2位 東洋大学
東洋大もどのランナーもほぼ想定内の走りを見せてくれたのではないだろうか?できれば3区終了地点で青山学院より少しでも前でレースを進めたかったと思うのだが、青山学院のほうが自力が上だったということだろうか?
そのなかでも2区服部勇の2年連続区間賞の走りは見事だった。1年次から大崩れしない安定感のあるランナーだとは感じていたが、上級生になってからは強さも兼ね備えたランナーに成長した印象である。マラソン挑戦が非常に楽しみである。
また5区五郎谷の粘りの走りも印象に残った。箱根山中で向かい風が吹く中での79分台は価値のある記録である。
青山学院の原監督同様、東洋大の若き指揮官酒井監督も中間層の底上げに定評のある監督である。毎年総合力の高いチームを作ってくる印象がある。6区口町、7区櫻岡の起用も青山学院を慌てさせるには至らなかったが、面白い区間配置に感じた。

3位 駒沢大学
今年のチームは例年に比べて小粒な印象だったのだが、それでもしっかり3位を確保する辺りが駒沢大の凄さである。1区其田がハイペースに付いていけずに大きく出遅れてしまったのだが、他のランナーがそこからよく巻き返したと思う。個人的に注目していた大塚は昨年の神野のような快走とはいかなかったが、それでもそれなりの走りでまとめて見せた。
やはり大八木監督の育成能力も相当のものである。簡単には崩れないのが駒澤大学の伝統になりつつある。

4位 早稲田大学
・やはり今年の早稲田は粒揃いだった。2区高田のブレーキ、6区三浦の出走回避がありながらも他のランナーが実力通りの走りを見せてしっかり4位を確保して見せた。数人のスター選手を活かして戦う早稲田の姿はもう過去のことである。玄人好みするような職人気質のランナーが多い今大会の早稲田大学だった。大砲を1人、2人育成できれば一気に3強の牙城を崩せる可能性もあると感じるのだが…どうなっていくだろうか?

5位 東海大学
・正直1区、2区で下位に沈んでいた時点ではシードも危ういのでは?と感じていたのだが、3区廣田、4区石橋、5区宮上と実力者が下位からしっかり順位を押し上げる走りを見せ、立て直して見せた。実力がある大学でも序盤の流れに乗れないと一気に崩れてしまうのが、箱根駅伝の難しさだと思うのだが、上級生がその悪い流れをしっかり止めて見せた。
復路でも8区林、9区高木、10区金子と上級生が粘りの走りを見せてくれた。来年は高校長距離界のスターがこぞって入学してくるだけに楽しみな大学となりそうである。

6位 順天堂大学
・個人的にはシードは厳しいかな?と感じていただけにこの順位は驚きである。2区のルーキー塩尻の走りで勢いを与えることに成功しただろうか?今大会も欠場となってしまった花澤と塩尻が2枚看板となるようなら来年以降も楽しみである。強い順天堂大学が戻ってきそうな気配がある。

7位 日本体育大学
・順天堂大学の6位以上に日本体育大学の7位は驚きだった。正直6区秋山くらいしか期待できるランナーはいないかな?と感じていたし、主力の離脱もありチーム自体が上手く回っていないのでは?と勘ぐってしまっていたのだが、起用されたランナーがしっかり自分の実力を発揮したのではないだろうか?特に6区の秋山は下りのスペシャリストとして58分9秒という素晴らしいタイムで走りきって見せた。この走りでチームに勢いが付いたのは間違いないだろう。来年は57分台の期待が高まりそうである。

8位 山梨学院大学
・1区ハイペースの中で佐藤がよく喰らいつき、2区ニャイロの好走でほぼ想定どおりにレースを進めていたと思うのだが、復路6区、7区で崩れてしまった。5区の前田含めてもう少しタイムを縮めたかったところだろう。往路が上手く流れていただけに8位という順位は納得がいかないのではないだろうか?

9位 中央学院大学
・乱高下が激しい駅伝となったが、シードはしっかり確保して見せた。1区潰滝、3区塩谷が最低限の走りを見せると大森、海老澤兄弟も粘りの走りを見せてくれた。6区の1年生樋口は58分台で山を駆け下りると8区の細谷も区間3位という素晴らしい走りを見せてくれた。中央学院大学の川崎監督も高校時代実績の乏しい選手でも箱根で戦えるランナーに育て上げる名将である。今後優勝争いを演じるようなチームに成長する可能性もあるだろうか?潰滝、塩谷は卒業してしまうが、1年生樋口の今後には大いに注目してみたい。

10位 帝京大学
1区堤、2区高橋がしっかり仕事をし、シード権をグッと手繰り寄せたように感じたのだが、その後のランナーがいまいち伸び切らなかった印象である。それでも大ブレーキなくつなげた事がシード権獲得につながった。悪いなりにまとめる力が帝京大学の選手には備わっている印象である。

シードを逃してしまった大学の中ではやはり応援している中央大学の失速が残念だった。1区町澤は120点を付けてもいいような素晴らしい走りだったのだが、2区徳永、5区小谷、6区谷本といった稼がなければならないランナーが100点の走りからは程遠い出来となってしまった。これではシード権獲得は苦しい。来年は箱根の舞台に戻ってこれるのだろうか?厳しい状況に変わりはない。

その他では5区キトニーの区間賞の走りを活かせなかった日大、横手、木村の好走も3区と5区で大ブレーキとなってしまった明治大、1区金森の好走を活かせなかった拓殖大辺りは悔いの残るシード落ちとなってしまったのではないだろうか?
逆に初出場となった東京国際大学は、17位に沈んでしまったが見せ場は作って見せた。特に初出場校にとっては鬼門となる5区、6区で濱登、熊谷が好走したことが驚きだった。

今大会も非常に見ごたえのある大会となったのではないだろうか?私は復路が見れずに残念だったのだが、これからスポーツニュースなどでチェックできたらと思っている。来年は青山学院大学の3連覇もあり得るのだろうか?やはり箱根駅伝は魅力的な大会である。

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コメント

  1. まるふく より:

    大のヤクルトスワローズファンの神野大地さんが神宮球場で始球式をするという話がありますね。

    読売新聞社主催の大会で良く言ってくれたと思ってます。

  2. trefoglinefan より:

     私は順天堂大のファンです。解説の金哲彦氏が4年の時に、6分余りの差を往路で逆転しましたが、その時のことが忘れられません。この時の順大は圧勝した4連覇の3年目を除いて、全て終盤の逆転で優勝しました。駒沢と交互に優勝した時もそうでした。
     ここ数年は往路で決まってしまいますね。まるで復路はシード権を争うためかのようです。ただその理由を5区に求めるのは余りにも短絡的で、私はコース全体を根本的に見直して欲しいと思います。時代と共にどんなスポーツも進化していくのですから、伝統を守りつつも時代への対応を、しっかりやって欲しいと思います。
     因みに私は7区の距離をもっと長くすべきだと思っています。

    http://trefoglinefan.jugem.jp/?month=201501

  3. FIYS より:

    > まるふくさんへ

    そういえば神野はヤクルトファンということが昨年も少し報道されていましたね。

    箱根駅伝の記事にコメント頂きありがとうございます。

  4. FIYS より:

    > trefoglinefanさんへ

    箱根駅伝の記事にまでコメントいただきありがとうございます。

    「復路の順大」と呼ばれ始めた時期のことは私は知らないのですが、紫紺対決と言われた駒沢大学VS順天堂大学の時代はしっかり記憶しています。
    5区は次回から距離が短くなりますかね?7区の距離を伸ばすという考え方は面白そうですね。箱根駅伝をしっかり観戦するファンの方には喜ばれるかもしれませんね。

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