黒田という名の登竜門

ヤクルト０－２広島

現在の若手中心のオーダーで広島のベテラン黒田に食い下がれるかどうか？がゲームの焦点だったのだが、軽く捻られてしまった。この黒田を打ち崩す若手野手が出てくれば、今後にも期待が出来ると思っていたのだが、初回の西浦、坂口の2本のヒット以降は1本のヒットを打つことも出来なかった。

広島の先発黒田は実績も十分な広島の精神的支柱となる投手なのだが、メジャーに渡る前のような本格派の投球スタイルではなく、ボールを動かしたり、打者と駆け引きをしながら抑え込んでいく投球スタイルにモデルチェンジしてきている。全盛期のようなボールの威力はないのだが、今でも立派な勝てる投手である。この黒田相手に結果を残せば、1軍でもそれなりにやっていける実力を持っているという判断が出来るのではないだろうか？と感じているため「黒田という名の登竜門」というタイトルを付けたのだが、その黒田を打ち崩す若手野手は表れなかった。
初回こそ先頭の西浦がヒットで出塁したのだが、直後に盗塁を失敗してしまい、黒田を揺さぶることは出来なかった。西浦の積極性は買いたいところなのだが、盗塁にしてもまだまだ失敗が多過ぎる。今日はサインミスなのか単独スチールなのか分からないのだが、完全にアウトのタイミングである。終わってみればこの試合唯一と言ってもよいくらいのチャンスだっただけにもったいないプレーとなってしまった（そして山田の盗塁スキルの高さ、走塁スキルの高さも改めて感じることが出来た。この黒田相手に走りまくれる能力は驚異的である。）。
そして黒田攻略の鍵を握っていた左打者もほぼ完璧に抑え込まれてしまった。坂口が初回にヒットを放った以外は、上田、今浪、奥村とノーヒットに抑え込まれてしまった。シュート系のボールを得意とする右投手はやはり左打者が中心となって打ち崩したいところなのだが、黒田の場合左バッターのインコースに食い込むスライダー、カットボールを駆使し、内から外、外から内と投げ分けてくるため左バッターも翻弄されてしまった。
右バッターに関しては、西浦が初回に一本ヒットを放ったのだが、それ以外は正直打てる気配さえなかった。特に鵜久森、西田辺りは黒田の凄みを十分に味わうことになったのではないだろうか？全く自分のバッティングをさせてもらえなかった。これで自分のバッティングを見失わなければ良いのだが…明日以降しっかり自分のスイングをしてもらいたい。
実績に乏しい選手が多い中で今日の黒田との勝負は少し荷が重かっただろうか？プロ入り初スタメンとなった奥村はやはりまだパワーが足りないだろうか？真中監督の評価は高そうだが、もう少し2軍のゲームで結果を残してもらいたい。打撃が順調に伸びてくれば1軍定着は意外と近いかもしれない。

ヤクルトの先発石川も黒田同様相手の若手野手からしたら登竜門のような投手である。実際石川を打ち崩していた鈴木は今シーズン一気に大ブレイクして見せた。そんな石川は今日は非常に粘り強い投球を披露してくれた。先に数字を並べると6回１／３を被安打１１与四死球１の1失点でまとめて見せた。まとめて見せたと言っても6回1／３で被安打１１は打たれ過ぎである。それでも４回の黒田のセーフティスクイズによる１点以外は得点を許さなかったところに石川のベテランらしい円熟味を感じる。状況判断がしっかり出来た中で投球していることが伺えた。それだけに今日こそ１５０勝を達成してもらいたかったのだが、今日は打線が石川を援護することが出来なかった。足踏み状態が続いている。

８月からほぼ正捕手として出場している西田にとっては攻守に苦しいゲームとなった。打撃では上記の通り黒田に翻弄され、守備ではワンバウンドの処理や盗塁阻止、状況判断などで課題を残した。この辺は実戦経験を積んでいってもらうしかないのだが、今日のゲームで最も疲労感を覚えているのはこの西田ではないだろうか？それでもレギュラーたるもの休む訳にはいかない。ここからがレギュラー奪取のための正念場となってくるはずである。明日も結果を残せないようならまた中村にもチャンスが与えられるかもしれない。明日の西田がどんな攻守に渡ってどんなプレーを見せるか注目である。

昨日、今日と今のヤクルトのチーム状況を考えるとほぼ理想的なゲーム展開には持ち込めているのだが、それでも勝てないところに広島との自力の差を感じる。


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