明日のゲームが終われば交流戦に突入である。ヤクルトは現在最下位に沈んでしまっているのだが、今シーズンの序盤戦を語る上で欠かせないのが、元パ・リーガー達の奮闘ぶりである(ちなみにパ・リーガーという言葉はおそらく存在しない。以前「磁石」という漫才師がネタの中に「パ・リーガー」というワードを使っていた記憶があるのだが、私の中でしっくりきたので今日は使わせてもらうこととした。)。
交流戦が始まる前にヤクルトに在籍する元パ・リーガーについて触れていきたい。
投手
成瀬 義久 元ロッテ FAによりヤクルトに移籍
・過去記事→「成瀬もヤクルトへ!一応ロッテ用のプロテクト予想も…」
・言わずと知れた元ロッテの左のエース成瀬である。現在ヤクルトに在籍する元パ・リーガーの中でも実績では№1の選手である。FAで成瀬の獲得が決まった時には私は大いに喜んだ。この時すでに本来のストレートのキレは失われていたのだが、それでもまだ成瀬に慣れていないセリーグであれば、それなりの成績は残せるのではないか?と私は予想した。しかしヤクルトに移籍してからの2シーズンはいずれも3勝ということで期待に応えることが出来ていない。元々球速のあるタイプの投手ではないのだが、全盛期は本格派と呼んで良いような投球スタイルだった。しかし今の成瀬は当時と同じようなスタイルでは通用しなくなっている。
昨シーズンからは投球スタイルを変更しようと模索している姿も見えるのだが、結果に結びついていない。現在はリリーフ起用が続いているが、個人的にはやはり先発で期待したい。全盛期のような投球は難しくてもまだまだ老け込む歳ではない。もう一度輝きを取り戻して欲しい。
山中 浩史 元ソフトバンク トレードでヤクルトに移籍
・過去記事はこちらから→「ヤクルト川島、日高⇔ソフトバンク新垣、山中」
・山中に関しては、ホンダ熊本時代から注目されていたアンダーハンドの投手であり、私もドラフト時から気になっている投手だった。ソフトバンクでは選手層の厚さ跳ね返されてしまい、結果を残せていなかったのだが、ヤクルトで実力が開花した。15年シーズンは優勝に貢献する救世主的な働きを見せ、昨シーズン、今シーズンと勝ち運に恵まれていないものの安定した投球を披露してくれている。現在登録抹消中ではあるのだが、万全な状況で復帰してもらいたい。今や先発ローテーションに欠かせないサブマリンである。
近藤一樹 元近鉄、オリックス トレードでヤクルトに移籍
・過去記事はこちらから→「八木亮祐⇔近藤一樹のトレード」
・甲子園の優勝投手であり、数少なくなった近鉄戦士の生き残りである。右ひじの手術を重ねており、年齢的にも30代半ばに差し掛かると言うことで正直ヤクルトに移籍して来た時には投手としてのピークは過ぎていると感じていた。そのため個人的にはそれ程期待していなかったのだが、今シーズンはリリーフで結果を残し、徐々に自分のポジションを確立し、現在では非常に厳しい場面を任される貴重なリリーフ投手となった。プロの世界で酸いも甘いも経験し、選手として円熟味を帯びてきている。ストレートの威力が落ちなければ十分通用するのだが、右肘の状態と年齢的な部分は気になるところである。今シーズンはこのまま現在のポジションで投げ続ける事が出来るだろうか?
捕手
井野 卓 元楽天 巨人を自由契約となりヤクルトへ移籍
・過去記事はこちらから→「井野卓獲得へ」
・忘れがちではあるのだが、この井野も元パ・リーガーである。捕手という特殊なポジションという事もあり、中々出場機会には恵まれないが、それでもプロ生活を12年に渡って続けている。この辺りは井野の持っている人柄であったり、捕手としての力量が認められているという事ではないだろうか?私のような素人には分からないのだが、我々一般人の知らないところでチームを支えている、そんな存在なのではないだろうか?
内野手
大引 啓次 元オリックス、日本ハム FAでヤクルトへ移籍
・過去記事はこちらから→「大引ヤクルト入り決定。そしてプロテクト28名はどうなる?」
・FAで獲得した当時には後ろ向きな記事も書いたのだが、その守備の安定感はヤクルトで「どんぐりの背比べ」をしていた遊撃手の選手達とは段違いの実力だった。年齢的な事もありコンディショニングの部分で難しくなっている部分はあるし、以前は武器の1つだった盗塁が減っている部分はあるのだが、それでも西浦や谷内との実力差はまだあるように感じる。ヤクルトに来て、試合での大引をしっかり見る事によって改めて良さに気付く事が出来た。数字以上にチームに貢献できるリーダーシップにも優れた好選手である。
今浪 隆博 元日本ハム トレードでヤクルトへ移籍
・過去記事はこちらから→「ヤクルト増渕⇔日本ハム今浪」
・今浪に関しては、ここまでのユーティリティプレーヤーになるとは思ってもいなかった。内野であればどのポジションもそつなくこなし、スタメンでも代打でも代走でも守備固めでも、どんな役割でもしっかり準備した中でこなしてくれる。チームに欠かせない名脇役である。バッティングに関しては間違いなく日本ハム時代よりも成長しているのではないだろうか?代打での出場でも試合の状況を把握した中で打席に入っている事が伝わってくる。難しい役割でも汚れ役でも率先して取り組めるプレーヤーだと感じる。体調面の不安もあるのだが、ようやく1軍に上がってきた。昨シーズンの前半戦で見せてくれた印象に残る一打やプレーを再び見せてもらいたい。
大松 尚逸 元ロッテ ロッテを自由契約となりヤクルトへ移籍
・過去記事はこちらから→「大松尚逸入団へ」
・ここ数年怪我に苦しみ続けた男は入団テストを経てヤクルトに移籍し、少ないチャンスをものにする中で開幕から1軍に帯同している。貴重な左の長距離砲として代打の切り札的存在としてすでにヤクルトに欠かせない存在になってきている。特に5月9日の広島戦でのサヨナラホームランは忘れられない名場面である。チームにとっても大松本人にとっても大きなホームランとなった。今日のゲームでは6番ファーストで起用されるなど出場機会も増えてきている。古傷の状態は気になるが、ケアをしっかりして、フィジカルの状況も上げて行ってもらいたい。相手に威圧感を与える事が出来る選手がベンチにいることは心強い。
外野手
坂口 智隆 元近鉄、オリックス オリックスを自由契約となりヤクルトへ移籍
・過去記事はこちらから→「坂口智隆と鵜久森淳志を獲得」
・昨シーズンヤクルトに移籍し、1年目から不死鳥のごとく蘇って見せた。ヤクルトにはスピードのある上田と比屋根というセンターのレギュラー候補がいたのだが、バッティングという部分で坂口はこの2人を大きく上回って見せた。あっさりレギュラーを獲得すると規定打席に到達し、3割近い打率を残して見せた。「肩力」という部分では衰えは否めない部分はあるのだが、守備範囲は狭くないし、肩の弱さも捕ってからの早さで補っている印象である。他球団を自由契約になった選手がこんなに働いてくれると思っていなかったため驚いたのだが、今シーズンはもう一段上の活躍が期待される立場の選手になっている。打率、出塁率をもう少し上げられるように取り組んでもらいたい。レギュラーとして高い基準を求めたくなる選手である。
鵜久森 淳志 元日本ハム 日本ハムを自由契約となりヤクルトへ移籍
・過去記事は上記より。
・済美高校時代は世代を代表するスラッガーとして活躍したのだが、日本ハム入団後は1軍で結果を残すことが出来なかった。それでも長打力を持った右の大砲というだけでも希少価値が高く、ヤクルトの足りないピースを埋めるという意味では非常に良い補強だったと感じる。昨シーズンプロ入り最多タイの4本のホームランを放つと今シーズンは開幕シリーズで代打満塁サヨナラホームランというド派手な活躍を見せるとその後もサヨナラヒットを放つなど印象に残る一打を放ってくれている。畠山、グリーンを欠く中でスタメンとしての出場機会も得ているのだが、スタメンとして安定した成績を残すまでには至っていない。しかし鵜久森はそれでも良いと思う。印象に残る場面で仕事をする「代打職人」のような選手として生き残ってもらいたいと思う。
榎本 葵 元楽天 楽天を自由契約となりヤクルトへ移籍・過去記事はこちらから→「榎本を獲得」
・榎本は何故楽天を戦力外となってしまったのか分からないのだが、とにかく高校時代からの目立っていたバッティングに活路を見出してもらいたい。ヤクルト移籍後チャンスも与えられ、ヤクルト移籍後の初ヒットも打っているのだが、やはり大松や鵜久森と比べるとパンチに欠ける印象がある。年齢的にはまだ24歳と若いため、焦らずにまずは2軍でしっかり結果を残してもらいたい。まだまだ鍛えがいのある選手だと感じる。まずはバッティングである。
これでヤクルトに在籍する元パ・リーガーの現役選手は全て拾ったと思うのだが、落としがあったら申し訳ない。過去記事を読んでもらえば分かるように移籍直後から期待していた選手はほとんどいない(成瀬くらいである)。
それでもどの選手もヤクルトでのチャンスに必死でしがみつき、泥臭くプレーをしてくれている。どの選手もすでにヤクルトの一員として溶け込んでいる印象である。交流戦では元々在籍していたチームとの対戦も控えている。是非過去に所属していたチームに恩返しをしてもらいたい。
今シーズンのヤクルトにおける元パ・リーガーの活躍ぶりは驚くべきものである。
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コメント
井野の話が書かれていて嬉しかったです。
まだ今期は一軍には上がってませんが、井野の一軍マスクを見たいです。
二軍では山川だけでなく、育成の大村も結果を出してるので、正直井野の今オフについて心配ではありますが、個人的には西田と星野、藤井あたりは内野手にコンバートしてもいいと思うので、井野は中村の控え捕手としてヤクルトにいてもらいたいです。
昨日の試合もクリーンアップとバッテリーを除くと元パ・リーグ戦士でしたね。私は戦力外・自由契約組に笑みがこぼれました、。坂口は即1番センター決定って感じでしたし、鵜久森も大松も神宮なら…と思いましたし、榎本は坂口の後釜としてレギュラー候補になってくれるとガッツポーズしたのを覚えています。
トレード組だと近藤ですかね。私は、大の日大三高ファンなので嬉しい限りです。山中は、意外な活躍でしたが注文を付けるなら「先制点を早く与えすぎ」ということだけですかね。
正直、FA組の2人には何の期待もしていませんでした。成瀬はパ・リーグで真っ直ぐが通用しなくなったことで、セ・リーグではスタイルを変えなきゃ難しいと思いましたし、かといってセ・リーグの方が変化球への対応が上手い選手が多いのでどっちみち苦しいだろうと感じていました。
大引に関しては、西浦・谷内の心に火をつけてくれたことぐらいですかね。まぁ、2人ともまだまだですが…。大引は腰痛持ちで、他にも故障がありましたね。私としては、FAで入ってきたくせにエラーが多すぎという印象です。
そもそも私は、FA補強反対派なのでそこらへんは甘くしないようにしてます。
> 井野ファンさんへ
井野は踏ん張り時でしょうね。
> iraca
iracaさんは、選手を見る目がありそうですね。ブログなどで記しておくと、後々振り返れるので面白いですよ。
あの時の日大三は強かったですよね。ちなみに私は、ヤクルトに入団した内田や横浜に入団した千葉の方が近藤より期待できるかな?と感じており、近藤は高校から即プロタイプではないと思っていたのですが、プロの世界で最も通用したのは近藤でしたね。今シーズンの投球は素晴らしいですよね。
多くの元パリーガーが期待以上の活躍してくれていますね!
個人的には坂口が事前情報以上に守れてて助かりました。実は去年今年と守備機会と刺殺数はセンターのトップクラスなんですね。去年は怪我で全力疾走出来ない中でもセンター守ってましたからかなりのもんです
さすが4年連続ゴールデングラブとっただけある
> saboさんへ
坂口は上田、比屋根との争いにも圧勝した印象ですよね。バットコントロールも良く、守備も思った以上に守備範囲が広いですよね。