リナレス、ロマチェンコの前に散る

ボクシング

世界3階級制覇王者ホルヘ・リナレス(32)=帝拳=が、WBA世界ライト級王座の4度目の防衛に失敗した。五輪2連覇し、世界最速7戦目で2階級制覇した挑戦者ワシル・ロマチェンコ(30)=ウクライナ=に10回2分8秒TKO負けした。
(スポーツ報知引用)

ほとんど試合を見れていないためあまり記事にしたことはなかったのだが、私はホルへ・リナレスというボクサーが大好きである。ベネズエラのゴールデンボーイは17歳で来日してプロとしてのキャリアを積み重ねていった。そのスタイリッシュで芸術的なボクシングは衝撃的だった。若くしてこれだけの完成度を誇るボクサーが日本にいる事実がただただ嬉しかった事を覚えている。その端正なルックスもあいまって、世界的なスーパースターになるのでは?と当時は思っていた。21歳でWBCフェザー級チャンピオンとなり、その後スーパースターとしての道を歩むものだと思っていた。
しかし2階級制覇を果たした後、2度目の防衛線でサルガドに1RKO負けを喫してしまい、打たれ脆さを露呈すると、そこから長い期間苦しむ事となった。そのまま消えてしまうのかな?と感じさせる時期もあったのだが、2014年に3階級制覇を達成すると、その後は敵地での防衛含めて勝利を重ね、今日ついに最強の挑戦者ワシル・ロマチェンコとのビッグマッチにこぎつけて見せた。

ロマチェンコについては、「現代ボクシングの最高傑作」と謳われるパーフェクトボクサーである。私はWOWOWに加入しているわけでもなくしっかりと試合を見たことはなかったのだが、ネットなどで動画を見ると「現代ボクシングの最高傑作」、「ハイテク」などと呼ばれるに相応しいボクサーだと言うことは一目瞭然だった。足捌き、空間把握能力、ハンドスピード、パンチの種類、アングル、全てにおいて超ハイレベルのボクサーだった。世界戦であっても相手に何もさせないで勝利する事ができる世界的に見ても稀有なボクサーである。PFPでもゴロフキンかロマチェンコか?と比較されるほどである。

普通に考えたらリナレスであってもロマチェンコ攻略は難しいと考えられるのだが、それでもリナレスのプロでの経験値とライト級での戦いという部分で僅かではあるのだが勝機があるのではないか?という期待感もあった。しかしロマチェンコがまだまだ底を見せていない感じもあっただけに圧倒されてしまう不安も付き纏っていた。

結果は冒頭にも書いた通りロマチェンコの10回KO勝ちだったのだが、これまでのロマチェンコの相手のように圧倒されることはなく、リナレスも自分の距離を図りながら上手く戦っていた印象である。スピードではやはりロマチェンコが上回っていたかな?と感じたのだが、それでも6回には右ストレートをタイミング良く当て、ロマチェンコからダウンを奪って見せた。しかしロマチェンコのハイレベルなボクシングの前にリナレスがかなり疲弊していたことは間違いないだろう。10回には細かいパンチの連打から最後は左のボディブローで倒されてしまった。スローで見なければどのパンチで倒されたか分からないくらいの素早いパンチの連打だった。

リアルタイムで見る事が出来ず、ハイライト映像を見ただけなのだが、期待通りの好勝負だったのではないだろうか?もちろんリナレスに勝ってもらいたい気持ちもあったのだが、リナレスも「負けて尚強し」の印象を残す事には成功したのではないだろうか?

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