今日は最近気になっていることを書いて見たいと思う。過去にはこんな記事も書いているので興味のある方は読んで見て下さい。→「現代野球における7,8,9回の重要性」
私がヤクルトファンになってから約30年野球を見ているのだが、捕手に関しては、古田直撃世代であり、当時野村克也監督がよく言っていた「優勝チームに好捕手あり。」という言葉を信じ続けてきたタイプの人間である。
古田に関しては、本当に特別な存在である。30年間プロ野球を見てきているのだが、古田のような何拍子も揃った捕手は見た事がない。打てる捕手とか守れる捕手とかいうレベルではなく、圧倒的な存在感でゲームを支配するような捕手だった。古田のような選手のことを「数十年に1人の逸材」と言うのだろう。
ヤクルト黄金時代を築いたのは野村監督の存在が大きかったことは間違いないのだが、古田の存在も同じくらい大きかった事に異論を唱えるヤクルトファンは少ないだろう。こういった環境でヤクルトを応援して来た事も「好捕手がいるチームはチーム力が高まる。」という考え方に落ち着いてしまった1つの理由だろう。
しかし他球団にも強いチームを築く時には絶対的な好捕手がいた印象も残っている。80年代後半~常勝西武の扇の要だった伊東勤、長年に渡ってレギュラーとしてプレーし続け、横浜、中日で日本一に輝いた谷繁元信、強打の捕手として一時代を築き、メジャーでもレギュラーポジションを獲得した城島健司、同じく強打の捕手として原巨人の主軸を担った阿部慎之助、阪神を強いチームに変えた矢野耀大などやはり強いチームには存在感のある捕手が存在したものである。
しかしここ数年チーム内で圧倒的な存在感を放つ捕手が中々現われない印象がある。捕手複数体制を敷くチームも以前に比べて増えてきていると感じる。この要因は何なのだろうか?たまたま今が捕手の過渡期であるのだろうか?それとも10年程前に比べて捕手の仕事量が増えており、捕手1人でレギュラーシーズンを戦う事自体難しくなっているのだろうか?それとともに「打てる捕手」も激減してきている印象がある。
スポーツ界にもビッグデータやAIの活用がなされ始めている昨今ではあるのだが、データ量が増えてきている中でそのデータを実際にどのように活用していくか?という部分において野球というスポーツの性質上どうしても捕手が担わなければならない部分は増えているのかもしれない。打つ、守る、走るという野球の基本的な部分以外で求められるものが多くなるとともに他のポジションの選手に比べてバッティングという部分で差が付き易くなっている部分もあるのだろうか?
最近の打てる捕手の代表格としては、日本ハムの近藤や西武の森の名前が上がって来ると思うのだが、どちらの選手もすでに捕手としての出場機会はほとんどなくなっており、そのバッティングを活かす方向で他のポジションにコンバートし、チームに貢献するプレーヤーとなっている。と言う事は捕手をしながら今のバッティングの状態を維持すると言う事はやはり難しいことなのだろうか?
そんなことを考えていると今の捕手と一昔前の捕手(5~10年前)を比べる事自体難しくなっているのかもしれない。私は一応野球経験者ではあるのだが、捕手については素人であり、どういった捕手が玄人の方から評価されているのか分からない部分があるのだが、一般の野球ファンからするとやはり打撃で数字を残すという事が1つの評価指標になることは間違いないと思う。古田に関しても盗塁阻止、フレーミング、キャッチング、リード、状況判断などが高く評価されていたのだが、やはりバッティングであれだけの数字を残さなければここまでの名声を手に入れることは出来なかったと思う。シーズン通して1人の捕手で戦い抜くためには、やはり「打てる捕手である。」という条件は欠かせないのではないだろうか?逆に言うと打撃に関して決め手に欠ける捕手しかいない場合には、捕手複数体制を敷いて、負担を分散させるという考え方も「あり」なのかもしれない。
ヤクルトに関しては、古田引退以降中々捕手を育てる事が出来ず、2010年代前半は横浜からFAで移籍して来た相川が長らく正捕手の座を担っていた。そこに待ったを掛けたのが中村であり、その中村は2015年シーズンのリーグ優勝に大きく貢献して見せた。中村は強肩という武器があるのだが、高卒1年目から2軍である程度の打撃成績を残すなど、決して強肩だけで語られるタイプの捕手ではないと思ってきた。総合力で勝負できるタイプの捕手に成長していくものだと感じていた。しかし打撃で伸び悩むとともにチームも不振に陥ってしまい、ここ2年で捕手としての評価も落としてしまった印象がある。これだけ評価を落としてしまったのもやはり打撃で結果を残せていないという部分が大きいように思う。打撃でもう少し結果を残せていれば、ここまで酷評される事もなかったのではないだろうか?私の中ではヤクルトの捕手陣の中ではまだ中村の力が他の捕手を上回っていると感じている。しかしこれだけ打撃で結果を残せないと捕手複数体制で戦う事も考えなければならないのかもしれない。投手によって、または相手チームによって捕手を変える事で、よりデータを実戦で精度高く使いこなしていけるのであれば、そういった捕手の起用方も今後ノーマルになっていくかもしれない。
個人的には中村がバッティングで復調し、基本的には正捕手としてチームを引っ張ってほしい気持ちが強いのだが、ヤクルトは他のポジションに比べて捕手の選手層はそれなりに厚いと感じさせる部分もあるため、複数体制で戦っていく事も考えてみて良いのかもしれない。
実績、経験値で他の捕手を上回る中村を軸に、現在怪我で離脱しているが「打てる捕手」候補の西田、強肩を武器にルーキーイヤーから先発マスクを被った松本、高卒2年目ながら原とのバッテリーで小気味良いリードを見せる古賀、汚れ役含めてチームを支えるベテランの井野、育成ドラフトから這い上がった巧打者タイプの大村、伸び悩んでいるが総合力で勝負したい山川とある程度の捕手が揃っている。チームのストロングポイントとまでは言えないが、捕手全体の平均的なレベルは12球団の中でも平均以上なのではないだろうか?
捕手の評価は素人には難しいのだが、ヤクルトの正捕手争い、もしくは起用法については今後も注視していきたいと思う。また昨シーズンはシーズン中にDeNAの黒羽根と日本ハムのエスコバーがトレードされることがあったのだが、もしかするとヤクルトも捕手絡みで投手とのトレードを実行するような事もあり得るかもしれない…あり得ないかもしれない(笑)
最後に中村悠平について書いた過去記事を添付しておきたい。→「中村悠平」
何だかんだ言って私は中村悠平に期待している。
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コメント
古田は何もかもよかったですよね。(入団当初は別として)華のある選手だったし、捕手であれだけ目立てる選手はそうそういません。
打撃でいえば巨人阿部の方が評価されるでしょうけど、クリーンナップを担った期間は古田の方が長いし、打線の柱としての貢献としては古田の方が上だと感じてます(ファン贔屓ですが笑
しかし今はホントに打てる捕手どころか絶対的正捕手というのが少なくなってしまいましたね
巨人の小林が調子いいくらいですかね?西武は捕手も打ててるけど毎日マスク違うみたいだし
正捕手が減ったのは体力的なものもあるとは感じます。昔より試合数増えてますしCSや国際試合もある。捕手は頭脳労働の前に肉体労働がほかのポジションより多いですよね。150球くらい受けて、内野ゴロの度にファーストカバーへ走るわけで。ヤクルト中村にしてもすべての項目においてまだ彼が一番だと思いますけど、疲労からか精彩を欠くことがありますから複数捕手制は仕方ないですね
とはいえ松本も古賀も井野も打てるわけじゃないからなぁ。気づけば中村(小川も)27歳ですよ。捕手の寿命は長いとはいえ育てるのにも時間がかかるポジションですから次の世代を育てること考えないといけない時期です
私は、中村の良さはワンバウンドのキャッチの上手さだと思います。
ヤクルト投手陣は、お世辞にもコントロールが良いと言えないので、その点は安心して投げられるのではないでしょうか?
(昨日の嶺井のパスボールは酷かった)
しかし、リード面は少し気になります。
もちろんコントロールが悪く「中村の意図とは違う所に投げてしまう」という面も有りますが、無駄なボール球を要求しているように見えてしまいます。
私もキャッチャーは素人ですのであまり偉そうには言えないのですが、どうしてもその印象は拭えません。
ですので、投手との相性やコンディションによって複数体制に賛成です。
特に終盤の大事な場面では代打も活用して欲しいです。
でも中村は好きなキャッチャーの1人ですけどね(^^)
私は、中村の良さはワンバウンドのキャッチの上手さだと思います。
ヤクルト投手陣は、お世辞にもコントロールが良いと言えないので、その点は安心して投げられるのではないでしょうか?
(昨日の嶺井のパスボールは酷かった)
しかし、リード面は少し気になります。
もちろんコントロールが悪く「中村の意図とは違う所に投げてしまう」という面も有りますが、無駄なボール球を要求しているように見えてしまいます。
私もキャッチャーは素人ですのであまり偉そうには言えないのですが、どうしてもその印象は拭えません。
ですので、投手との相性やコンディションによって複数体制に賛成です。
特に終盤の大事な場面では代打も活用して欲しいです。
でも中村は好きなキャッチャーの1人ですけどね(^^)
この人がいなければスワローズは無くなっていたかもしれないとまで言える3人
金田正一、古田敦也、岡田正泰
監督じゃ無くてもいいから古田さんに指導者として入ってもらえればいいんですけどね。まだ経営者層はストライキを根に持ってるんでしょうか。
捕手の併用は味方投手との相性や相手への傾向などを錯乱したり対戦データなど増えてますし、またケガや疲労度を考慮したら一人捕手では負担が大きすぎるのが背景にあるのかなと(昔は投手が先発完投が当たり前が分業制になったように成績が良ければ捕手もターンオーバー制の方が主要になるかもしれませんね)
あと打てる捕手というのは重要ですね、特にセ・リーグはDHないので打てないと8番9番が自動アウトになってしまいますからね(今だと広島の会沢くらいですかね、パ・リーグでは年齢的にも西武の森が経験積めば球界No.1捕手に近いですね)
それとドラフトで捕手を取るときは守備力重視ですよね、際どいコースの時に審判にキャッチングでストライクコールしてもらう技術や盗塁阻止率が高い事とスローイングの正確性(肩の強さ)、あと膨大な対戦データを覚えられるだけの頭脳というか頭のよさは必須かなと思いますね(打撃は配球を読んで経験を積んで打てるようになればですかね、古田も元々は打撃は期待されてませんでしたからね)
最後にヤクルト中村ですが現在のヤクルト捕手陣の中では1番でしょう(優勝してるので経験値が違うので)ただ他のセ・リーグ捕手と比べてこれだと言うストロングボイントがないんですよね、肩なら小林ですし、ボールを止めることなら梅野がいいですし、打撃なら会沢ですからね。リードに関しても悪くはないですが構えたところに投げてるのに打たれるケースも目立つので平均的な捕手かなと評価してしまいますね。現状は打撃が2割前後ではレギュラー捕手としては厳しいかなと、松本が守備面でも劣らないので彼に経験積ませた方が面白いかなと感じてますね(本音はオフに西武の炭谷が契約切れると思うので良い条件だして取りに行って欲しいのが希望ですね、森との併用はモッタナイですしね)
私は野球経験はありませんが、同じく古田ど真ん中世代で、野球における捕手の影響力の大きさを主にテレビを通して感じてきました。(野村-古田時代って、古田が怪我するか否かで優勝か否か決まってましたよね。)
完全な素人ですが、野球というスポーツは他のスポーツ(私がやっていたバスケなど)と比べると、役割が細分化(専門特化?!)されている印象がありますが、捕手だけはその中で非常に幅広い役割を担っていると思ってます。
そして時代の流れで情報量が増し、益々捕手の仕事は増えてしまったのでは無いでしょうか。
中村は2015年はリードが冴え渡り、優勝の立役者だったと思いますが、2016年は研究されてしまったのかなという印象があり、昨年くらいからはナーバスになってしまっているのか、投手にとって難しい要求が多い印象があります。(プロのコメントやコラム、ミットの位置見てのイメージですが。)
個人的には仕事量や試合間隔、そして副産物的に育成面を鑑みた際に、中村や井野が先発3投手と石山、そして他の若い捕手が其々先発1投手×3つの組合せで廻すのは、捕手の重要な仕事である「考える時間の確保」の観点でも“今は”良いのではと思ってます。
※ NBAなんかも連戦が続きますが、プレーオフまでは結構ターンオーバー制を引くので、私的にはそんな価値観があります。少々特異な見方かもしれないですが。
ですが、無論“絶対的な正捕手”の誕生と、“ヤクルト黄金時代再び!”が一番の想いであります。
>saboさんへ
私が見てきた中では№1捕手はやはり古田ですね。解説者に解説を許さないような存在感がありましたからね。
中村が軸だとは思うのですが、首脳陣がどういった起用をしていくか注視していきたいです。
> トムモリーさんへ
私も中村のワンバウンドの処理は上手いと思っています。しかし打撃で結果を残す事が出来ていないので、それが出来なければ捕手複数体制もやむなしと言うところでしょうかね?
> まるふくさんへ
3人の人選がまるふくさんらしいですよね。
私も古田には是非もう一度監督をしてもらいたいと感じています。しかしこればっかりはタイミングなどもあるので簡単には行かないでしょうね。
> kさんへ
古田のように守備を買われてプロに入って、打撃も伸びるタイプの選手も時々いますもんね。捕手複数体制が当たり前になる時代も訪れますかね?
>JEF九郎さんへ
ターンオーバー制という考え方は野球界でも「あり」なのではないでしょうか?
中村、井野に+3捕手となると枠的に少し厳しいですかね?