2023MGCも大満足の激闘

陸上競技


大雨の中で行われた今回のMGCも男女ともに素晴らしいレースとなった。五輪切符をかけたペースメーカーの付かない一発勝負は、マラソンの醍醐味が詰まっており、42.195キロという長丁場でも目が離せない展開が続いた。男子のレースを中心に見ていたため、男子のレースを中心に振り返ってみたい。
前回大会の記事はこちらから→MGCは期待通りの面白さだった! | ヤクルトファンの日記 (ysfan-nikki.com)
今大会の事前記事はこちらから→2023MGC展望 | ヤクルトファンの日記 (ysfan-nikki.com)

男子
・大雨が降りしきる中でのレースということで悪コンディションだったのだが、スタート直後から仕掛けたのはベテラン川内だった。雨の中でのレースと言えば、何と言ってもボストンマラソンでの優勝が印象的な川内なのだが、今日も「雨のレースは得意」と自身に暗示をかけているかの如く、ハイペースの展開を作り出した。前回大会の設楽以上のハイペースで突き進み、25キロ地点では、2位集団に40秒以上の差を付ける場面もあった。通算130回目のマラソンという革命家のベテランがレースを大いにかき回してみせた。2位集団に詰められても冷静に対処し、追い付かれた35キロ付近以降も先頭集団の中でレースを進めてみせた。
その川内の逃げに待ったをかけたのは、大迫だったのではないだろうか?30キロ付近で2位集団のペースを上げる役割を担い、川内に大逃げを許さなかった。自分ではペースを上げずに、2位争いに集中するという策もあり得たと思うのだが、大迫はあくまでも優勝を狙った走りを披露した。日本長距離界を引っ張ってきた第一人者らしいプライドを感じるレース運びだった。
35キロ付近からは、先頭集団7人(川内、大迫、小山直、赤崎、井上、堀尾、作田)でのサバイバルレースとなった。集団を引っ張った堀尾は状態が良さそうに見えたのだが、他のランナーに上手くペースメーカーとして使われてしまった部分もあっただろうか?そんな中で冷静に周りの様子を伺っていた小山直が39キロ付近でスパートすると、小山直に付いていけるランナーはいなかった。最後までスピードを落とさず、2時間8分57秒という雨の悪コンディションのレースとしては、速いタイムで優勝のゴールテープを切るとともにパリオリンピックの代表権を手に入れてみせた。ここの所駅伝でも強さを見せ、ゴールドコーストマラソンを好タイムで制していた実力は本物だった。大迫、赤崎といったスピードランナー、ベテラン川内、マラソン巧者井上らを相手に見事なレース運びを見せてくれた。
2位争いは、赤崎、大迫、川内に絞られたのだが、最後にスピードを発揮したのは、赤崎だった。トラックで好タイムを出し、スピードの絶対値という部分では、今大会のメンバーでも上位に来るランナーだったのだが、ペースメーカーのいない駆け引きが激しいマラソンでは、まだ経験不足な面もあるのかな?と個人的には感じていたのだが、ラスト勝負に持ち込むために脚をためるという、レースプランを最後までしっかり遂行してみせた。優勝には手が届かなかったが、自己最高記録に迫るタイムでの2位ということで、会心のレースだったのではないだろうか?
個人的には日本陸上界に一石を投じ続けた川内と大迫の2人がオリンピック代表権獲得を目指して、お互いに競り合った部分に心を揺さぶられた。2017年のブログ記事「大迫傑、衝撃の快走! | ヤクルトファンの日記 (ysfan-nikki.com)」で次のようなことをかかせてもらった。「雑草ランナーとも呼ばれる川内とエリートランナーと呼ばれる大迫は歩んできた道もランナーとしてのタイプも違うのだが、『世界で戦いたい』という強い意志と新しい事にも果敢に取り組むチャレンジ精神という部分では似通った面もあるのではないだろうか?この2人が結果を残した事で日本の長距離界の図式が変化し始めるかもしれない。」と。
そんな2人は、間違いなく日本の後輩ランナー達に新たな選択肢を作ってくれた。日本長距離史に名を残すランナーになるはずである。そんな革命家2人を抑えてパリオリンピックの代表権を獲得した小山直城と赤崎暁の今後にも大いに期待したい。

女子
・女子のレースについては、男子のレースが終わってから見始めたのだが、こちらも男子同様激しい代表争いが繰り広げられた。一旦は一山、細田が飛び出したのだが、3位集団が追いかけ、鈴木優、加世田が細田に追い付くと、ペースを上げた鈴木優が、38キロ過ぎに先頭の一山に追い付き、その後突き放してみせた。一旦は3位に落ちた細田がその後懸命に一山に追いすがったが、届かず、優勝は鈴木優、2位は一山となり、この2人がパリの出場権を獲得してみせた。悪コンディションのレースであり、転倒などのアクシデントもあったようだが、最後は鈴木優花が勢いのある走りでレースを制してみせた。実力者一山のレース運び、細田の粘りも印象的だった。

2019年に続いて今回のMGCも一ファンとして満足度の高いレースとなった。この4年間でも世界、日本の長距離界のタイムは伸びており、まだ伸び続けることが予想される。世界との距離自体はそこまで詰まっていないのかもしれないが、MGCというフォーマットは大切にしてもらいたいと感じる。
今回代表権を獲得できなかったランナーもMGCファイナルチャレンジのレースでもう一度チャレンジングな走りを見せてもらいたい(特に日本記録保持者の鈴木健吾には期待したい。)。




常識破りの川内優輝マラソンメソッド (SB新書)

新品価格
¥330から
(2023/10/15 11:32時点)




にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました