2024ヤクルトドラフト指名選手

ドラフト


1位入札で駆け引きの末、中村優斗(愛工大)を一本釣りしたのは、戦略として見事だった。相手の裏をかいてここまできれいに1位指名を一本釣りで獲得したのは、2016年の寺島成輝(履正社)以来となるだろうか?今年の即戦力候補の投手の中では金丸(関西大)と並んで双璧とされる中村優を獲得できたことは、チームにとって非常に大きな出来事になるのではないだろうか?
2位以下では、スケール感のある高校生野手モイセエフ(豊川高)、田中(健大高崎)、サウスポーリリーバーとしてピンポイントの補強を図った荘司(セガサミー)、総合力で勝負したい独立リーガーの捕手矢野(愛媛MP)と補強ポイントを満遍なく指名してみせた。個人的には、過去記事で今年のヤクルトのドラフトのポイントとして「高校生投手の複数指名」という項目を挙げていたため、高校生投手の指名が全くなかったことが少し引っ掛かるのだが、その部分を除けば、育成ドラフトの指名人数、人選含めて大満足のドラフトとなった。

今年のドラフト関連のブログ記事
2024ヤクルトのドラフト(1) | ヤクルトファンの日記
2024ヤクルトのドラフト(2) | ヤクルトファンの日記
2024年FIYS的1人モックドラフト | ヤクルトファンの日記
2024ヤクルトドラフト予想遊び | ヤクルトファンの日記

昨年の指名についての記事
2023ヤクルトドラフト指名選手 | ヤクルトファンの日記

今年の指名選手
1位 中村優斗(愛知工業大) 右左 投手
2位 モイセエフ・ニキータ(豊川高)左左 外野手
3位 荘司宏太(セガサミー)左左 投手
4位 田中陽翔(健大高崎)右左 内野手
5位 矢野泰二郎(愛媛MP)右右 捕手


育成ドラフト
1位 根岸辰昇(ノースカロライナA&T州立大)左左 内野手
2位 廣澤優(愛媛MP)右右 投手
3位 下川隼佑(オイシックス新潟アルビレックスBC)右右 投手
4位 松本龍之介(堺シュライクス)右右 捕手


1位の中村優に関しては、個人的には今年のドラフトで№1評価をしていた投手である。評判を耳にしたのは、昨年のことだったのだが、投げている動画を見て、驚いてしまった。威力抜群のストレート(現在はMAX160キロとの報道もありますね。)と空振りを奪える変化球のキレに目が釘付けになってしまった。その後日本代表にも選出されるなど、全国の野球ファンに知られる存在となっていった。今年は、その中村優以上に評価が高かった金丸の存在があったため、多少影が薄くなった部分もあるのだが、私の中では現日本ハムの田中正義(創価大)、伊藤大海(苫小牧駒大)の大学時代と同列に語ることが出来るだけの投手だと思っている。出力が高い投手だけに怪我のリスクはあるのかもしれないが、それはどの投手にも起こり得ることである。1年目から大いに期待したい逸材である。まずは先発からのスタートになるだろうか?

2位のモイセエフに関しても、私の中では今年の高校生外野手の中で境(大阪桐蔭)に次いで№2評価をしていた選手である。センバツでDeNAに育成ドラフト2位で指名された吉岡(阿南光)から放ったホームランは見事な一打だった。左投であること、守備面、走塁面で大きなアドバンテージがないことから潰しが利くタイプの選手ではないのだが、いわゆる「マン振りの一発屋タイプ」ではなく、強く振れて、対応力もある打者だけに、プロの投手の球筋に慣れてくれば、面白い存在になりそうである。2022年のドラフト2位でヤクルトに入団した西村は、プロのボールの前に想像以上に苦しんだ印象があるのだが、モイセエフはどうだろうか?

3位の荘司は、ヤクルト陣営からすると狙い通りの指名ということになるのではないだろうか?個人的には投球術に優れた西村(東芝)の方により魅力を感じていたのだが、ヤクルトのフロント陣が選んだのは荘司だった。荘司はまだ荒々しさがあり、どこか安定感に欠ける印象もあるのだが、ある程度制球が安定すれば必殺のチェンジアップが活きてくるのではないだろうか?ボールの質という部分では、短いイニングであれば十分通用するものを持っているように感じる。そのボールを活かすためには、一にも二にも制球力ということになるだろうか?

4位の田中は、個人的に大好きな選手である。サイズがあって、動けて、パンチ力のある遊撃手であり、非常に見栄えの良い選手である。身体能力の高さと野球センスの両面を高いレベルで持ち合わせている選手という印象があり、プロの世界で鍛えられれば、1軍でのプレーも見えてくるはずである。今年は、様々なタイプの高校生遊撃手がいたのだが、その中で本ドラフトで指名されたことを、自信に変えていってもらいたい。

5位の矢野は、私の中では全くノーマークの選手だったのだが、四国アイランドリーグplusでは、名の知れた捕手だったようである。すでに四国アイランドリーグplusでは、4年プレーしていたようで、その経験値の高さは、プロの入った時の武器の一つになるのではないだろうか?まずは2軍でしっかり出場機会を勝ち取ることを目標にしてもらいたい。総合力で勝負するタイプの捕手ということで、様々な役割を期待されそうである。

育成1位で指名された根岸は、変わり種の注目選手としてちょくちょく名前が挙がってきていた選手である。ノースカロライナA&T州立大がアメリカの大学でどのような位置づけであり、野球の実力がどの程度のものなのか把握していないのだが、打撃でしっかりアピールした中で育成ドラフトにこぎつけた辺りに根岸の心身のタフさを感じることが出来る。1年目、2年目のシーズンが勝負になることは間違いないだろう。結果に拘ってプレーしてもらいたい。

育成2位で指名された廣澤は、日大三時代から大器と言われ続けてきたパワー型投手である。高校卒業から5年の月日が経ち、身体はがっちりとし、パワーに磨きがかかった印象である。高校時代は、まだ身体の線が細く、しなやかさも感じさせてくれていたのだが、今の廣澤の姿はまさしく「パワー型」と呼びたくなる。年齢的にも根岸同様1年目、2年目のシーズンが勝負になるはずである。まずは2軍で結果を残せるかどうかという部分に注目してみたい。

育成3位で指名された下川は、ここ数年ドラフト候補として名前が挙がっていたアンダーハンドの好投手である。今年度の3月に25歳を迎えるだけに年齢的にもラストチャンスだったと思うのだが、そのラストチャンスをものにしてみせた。個人的にはイースタンリーグに所属している新潟アルビレックスの選手を獲得するのであれば、本ドラフトで指名してもらいたかったという気持ちもあるのだが、先日くふうハヤテから獲得した西濱同様支配下指名のチャンスは広がった状態にあるため、そのチャンスを活かしてもらいたい。下川は、今の実力がシンプルにプロの1軍クラスの打者に通用するかどうか?が試されることとなる。「プロ入り即正念場」という感じだろうか?

育成4位で指名された松本龍は、私は全く知らない選手だったし、「堺シュライクス」というチーム自体にも馴染みがなかった。指名された後、情報を確認したのだが、東海大山形高校を卒業し、まだ2年目の若い捕手である、スピードも併せ持っているとのことで、もしかするとコンバートを前提とした獲得の可能性もあるかもしれない。若さを活かして積極的にチャレンジしてもらいたい。

今年のドラフトに関しては、個人的な満足度はかなり高い。特に1位中村優、2位モイセエフという並びは、最高である。Sランクと言っても過言ではない即戦力投手を一本釣りし、ロマンあふれる大砲候補の高校生を2位で獲得したことは、今のヤクルトのチーム事情を冷静に見ることが出来ているからこその指名であると感じた。今日指名された9選手が1人でも多く活躍する姿を見てみたい。




野球太郎No.052 2024ドラフト直前大特集号 (バンブームック) [ ナックルボールスタジアム ]

価格:2490円
(2024/10/24 21:44時点)
感想(4件)




にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村

コメント

  1. 超匿名 より:

     監督のブラフには完全にしてやられました。石塚指名濃厚かと思いました。投手であっても競合確実な金丸ではなく中村指名はクレバーな選択だったと思います。今年のドラフトは終了時点では満足しています。後はケガなくシーズンを迎え、一年目から活躍してくれたら大成功と言えますね。

    • fiys より:

      超匿名さんへ

      ドラフト会議自体の駆け引きやゲーム性も楽しみの一つですよね。今年は上手いことやりましたよね。
      中村優の活躍を楽しみにしたいと思います。

  2. sabo より:

    個人的には金丸より中村が好みだったので大満足です。そもそも単独というのがまさかでした。もっとも森下(広島)も単独だったような気がするので前評判でこのクラスでも単独の年はあるんですよね。今年は駆け引きの成功だと思います

    中村はスタミナと制球も良いので開幕ローテ期待ですね

    モイセエフ指名は驚きましたがそれだけヤクルトが評価しているなら良い指名だと思います。これも中村を一位指名できたから出来た指名だと思うんですよね。本当に即戦力と信頼できる投手は金丸中村だけですから取れなかったら2位も保険というか念のために大社の投手を指名したかもしれないと思います。徳山、佐藤柳之介、篠木はドラフト一位候補にも名前が上がってましたし。

    3位の荘司は高津監督としては一年目から一軍でという期待があるかもしれませんが私としては伸びしろなのかなと思ってます。
    下位チームにとって3位指名って順番的に高卒に行きやすいところなんですけど…まあいいか

    4位の田中はサイズもあって期待が高まりますね。今年はタッパのある高校生が多かった印象です

    5位の矢野は高卒で独立いったのですね。気合入ってるなぁ。大卒と同い年ということか。若いし良いと思います。管理人さんも書いてましたが捕手にとってアマチュアでの経験(独立は正しくはプロですが)というものが近年再評価されてるらしい…ような記事を読みました。言っては何ですがあまりレベルの高くない投手が投げないといけない日があるのでそんなときでもどうやって抑えるかという知恵や工夫や胆力が見に付くのではとか。矢野にも期待です

    育成指名組も皆期待しているのですが、下川ですね。これが若ければ二軍の成績ももっと評価されたでしょうけど、この年齢ならもっと無双しなければならない。だからこそ育成3位なのだと思われます。とにかくまだまだ伸びしろがあると思うので頑張ってほしい


    ちょっと思うのはやはり西田残した方が良かったような。松本龍は身体作りがメインになるだろうし…なんて思ったり

    • fiys より:

      saboさんへ

      私も中村優は、金丸と同等の評価をしていたため、一本釣りでの獲得は嬉しかったです。

      育成ドラフト含めてバラエティに富んだメンバーになりましたね。

タイトルとURLをコピーしました