毎年年末もしくは年始に行っているドラフトの即戦力予想の記事を今年も書いてみたいと思う。昨年の記事は上記の通りである。
投手(セリーグ)
巨人1位 西舘 勇陽 右投右打 中大
阪神1位 下村 海翔 右投右打 青山学院大
広島1位 常廣 羽也斗 右投右打 青山学院大
中日1位 草加 勝 右投右打 亜大
DeNA2位 松本 凌人 右投右打 名城大
巨人2位 森田 駿哉 左投左打 Honda鈴鹿
ヤクルト3位 石原 勇揮 左投左打 明大
阪神育成1位 松原 快 右投右打 富山GRNサンダーバーズ
即戦力予想の記事を書き始めてから10年以上が経過しているが、セリーグでこれだけ名前を挙げたのは初めてではないだろうか?それ程までに実践向きな投手が多い印象である。
西舘勇は、花巻東高校時代から高いレベルの野球を経験しており、中大でも先発、リリーフ両面で結果を残している。ストレートに速さがあり、変化球のコントロールもまとまっているため、プロの世界でも先発、リリーフ両面で適応できそうである。登板機会を得られる可能性も高いため、セリーグでは即戦力度№1の投手と見ている。
下村は、西舘勇同様、高校時代から注目されていた実戦派の右腕である。身長は、174㎝と小柄な部類に入るのだが、MAXは150キロを超え、試合でも140キロ中盤~後半のストレートを投げ込むことが出来る。変化球の精度も高く、阪神の強力な投手陣の中に割って入るだけの力はあると感じている。是非先発で見てみたい投手である。
常廣は、同じ広島の森下や栗林の後を追いかけることが出来る投手だと感じている。スラっとした細身の身体ながらMAX155キロの切れ味抜群のストレートを投げ込み、フォークは空振りを奪えるボールである。先発で考えた時にもカーブやスライダーを駆使しながら長いイニングを投げることも可能だと考えられる。ルーキーイヤーに数字を残すとしたらリリーフとしての方が可能性があるかもしれないが、潜在能力が高い投手だけに先発で大きく育てたい所だろう。
草加は、上級生になってから台頭した実戦派の右腕である。長い手足を器用に使う印象があり、内外角にボールを散らしながらアウトを重ねる技巧的な投球に特徴がある。出力という部分でもう少し成長の余地があるように感じるが、1年目から数字を残せる投手だと思っている。先発としてローテを守れればある程度の数字が残りそうである。
松本は、独特なフォームに特徴がある、パワー型サイドハンドである。4年次は、リーグ戦で打ち込まれてしまう場面も目立ち、多少評価が下がった印象もあるのだが、クセのあるストレートと内外角に散らせるスライダー、シンカー(ツーシーム)は、初見では対応が難しいのではないだろうか?身体の厚みを見ても良く鍛えられていることが伝わってくる。リリーフとしてフル回転してもらいたい投手である。
森田は、ルーキーながら来季は27歳という年齢で迎えるシーズンであり、1年目から結果が求められる。富山商時代の快投の後、怪我などで苦しみ、だいぶ遠回りをした印象だが、ここ2年ほどで安定した数字を残せるようになってきている。元々素材は良かっただけに、投手としての組み立て、駆け引きが出来始めるようになった今がまさに「旬」である。先発、リリーフ両面で期待できそうである。
石原は、名前を挙げるかどうか迷ったのだが、ヤクルトに左投手が不足しているチーム事情もあり、出てきてもらいたいとの期待も込めて、名前を挙げさせてもらった。個人的に注目していた投手であり、身体が出来、変化球の精度も高くなっているように感じるため、リリーフであれば1年目から十分やれるのではないだろうか?個人的にはフォームも安定しているように感じるため、将来的には先発も考えてもらいたい投手である。
松原は、育成ドラフトでの入団なのだが、パワー型サイドハンドとして、NPBでも通用する投手だと思っている。同じBCリーグの椎葉や大谷が高い順位で指名される中、松原が本ドラフトで指名されなかったのは意外だった。この即戦力予想に育成ドラフトで指名された選手の名前を挙げるのは初めてであり、投手の層が厚い阪神ということを考えると1年目から支配下契約を勝ち取り、結果を残すことは簡単ではないのだが、即戦力になり得る可能性はあると思っている。
野手(セリーグ)
DeNA1位 度会 隆輝 右投左打 ENEOS
中日3位 辻本 倫太郎 右投右打 仙台大
度会は、社会人久々の大物と言って差し支えないのではないだろうか?近年では、近本(阪神)、小深田(楽天)といった大学卒社会人経由のルーキーが活躍したことはあるのだが、高卒社会人経由のルーキーでこれ程期待感を抱かせる選手は近年稀である。横浜高時代から巧みなバットコントロールには定評があったのだが、ENEOSでパワーを付け、走攻守全てにおいてパワーアップしているところが好印象である。守備、走塁で大きなアドバンテージがないという部分で多少なりとも不安はあるのだが、新人王候補の一人として名前を挙げたい逸材である。キャンプ、オープン戦から打撃がどの程度通用するか楽しみにしたい。
辻本は、アジリティに優れた守備が一番の武器である。この守備については、プロの世界でも即通用するだけのモノを持っていると思う。龍空、カリステ、村松、田中、福永、ドラ2の津田などライバルは多いのだが、どの選手も決め手に欠ける部分がある。一旦レギュラーを掴み、プロのスピード感に順応すれば、打撃面含めて結果を残す可能性はあると思っている。中日のショート、セカンドのレギュラー争いは熱いものになりそうである。
投手(パリーグ)
西武1位 武内 夏暉 左投左打 國學院大
楽天1位 古謝 樹 左投左打 桐蔭横浜大
日本ハム1位 細野 晴希 左投左打 東洋大
西武2位 上田 大河 右投右打 大商大
武内は、個人的には今年のドラフトで指名された選手の中で最も即戦力度が高い投手だと感じている。無駄な力が入っていない滑らかなフォームから素晴らしいボールを投げ込めている。ストレート、変化球ともにコントロールも良いため、狭いプロのストライクゾーンにもすぐに適応できるのではないだろうか?1年間シーズンを戦い抜けるスタミナと怪我以外の部分で気になる点はほとんどないと見ている。新人王候補の筆頭だろう。
古謝は、新人王本命の武内に対抗する存在になり得ると感じている。手元が見づらいフォームに特徴があるが、決して技巧派という印象もなく、ストレートを軸として組み立てられる先発候補である。コントロールという部分で多少のバラつきがあるようだが、フォームが固まり、再現性という部分でスキルアップすれば、プロの世界でも十分通用するサウスポーだと感じる。
細野は、剛腕型のサウスポーである。日本ハムは先発、リリーフどちらで考えているだろうか?試合ごとの波があったり、コントロールに課題があると言われている部分もあるが、MAX158キロのストレートと空振りが奪える縦、横の変化球を持っており、素材としては間違いなく一級品である。投球フォームも安定してきており、マウンド周りの守備やランナーを出した後の投球も安定し始めているため、個人的には充分1年目から通用するだけのものを持った投手だと思っている。
上田大は、近年好投手を輩出し続けている大商大で下級生時から結果を残した実戦型の投手である。現ヤクルトの大西のルーキー時に似たタイプかな?という印象はあるのだが、実績では上田の方が上ではないだろうか?試合を作る能力にも長けているし、短いイニングを高い出力で投げることも出来そうである。すぐに使える投手ではないだろうか?
野手(パリーグ)
日本ハム2位 進藤 勇也 右投右打 上武大
ロッテ1位 上田 希由翔 右投左打 明大
楽天6位 中島 大輔 右投左打 青山学院大
進藤は、今年のドラフトの№1捕手である。特に守備面での評価は非常に高く、正捕手が固定できていない日本ハムであれば、キャンプでのアピール次第で出場機会は与えられそうである。サイズもあり、それなりにパワーも感じるため、将来的には打撃でもある程度の数字は残してもらいたい捕手である。
上田希は、内野での起用ということであれば、年齢の近い安田や山口、池田らがいるため、簡単にレギュラーを確保できるチーム状況ではないのだが、明大で4年間レギュラーとして活躍した経験値は、プロの世界で活きてくるように感じる。一見パワーヒッターに見えるのだが、コンタクト能力が高く、いわゆるいくつもの引き出しを持った選手のように感じる。打席を与えられれば与えられるほど、自分で修正することが出来る選手ではないだろうか?
中島は、ドラフト6位という評価の低さが多少気になるのだが、サイズもあってパンチ力もあり、スピードもある素晴らしい外野手だと感じる。龍谷大平安、青山学院大とエリートコースを進んでおり、よく鍛えられている選手という印象がある。走守という面で、大きな課題はない選手であるため、首脳陣は使いやすい部分もあるのではないだろうか?ワンチャンスをものにすれば、1年目から数字を残す可能性はありそうである。
即戦力予想で、これだけ多くの選手の名前を挙げたのは、おそらく久々である。ここ10年程でNPBのレベルも上がった印象があり、ルーキーがいきなり活躍するのは難しくなっているのだが、それでも今年のドラフトで指名された選手は投手を中心に即戦力になり得る選手が沢山いる印象である。この中で実際に結果を残せる選手はどの程度いるだろうか?
新人王予想は、セリーグは思い切って度会、パリーグは大本命の武内にしておきたいと思う。
皆さんも期待の即戦力ルーキーはいるでしょうか?新人王予想などもコメント頂けると嬉しいです。
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コメント
選手の目利きが出来る方ではないのですが、ヤクルト二位で社会人出身の松本が入っていないのが不安ですね。来季は大丈夫かなと。
新人王予想はドラフト前の時から度会推しだった私なので、fiysさんよりもう少しだけ積極的にセリーグは度会と言っておきます。ルーキーの時の牧クラスの成績を残しても驚きません。パリーグも武内だと思っています。全く同じでスミマセン。
超匿名さんへ
松本健は、よくまとまった好投手ではあるのですが、NPBで通用するかどうか?という部分は未知数ですね。総合力で勝負するタイプの投手であるため、プロの世界で埋没してしまわないか心配ですね。
度会は、どの程度の数字を残せるか楽しみですよね。