2020ヤクルトドラフト指名選手

早川のくじは外してしまったが、指名選手のバランス的には、90点以上を付けられると感じている。早川が獲れなかった分上位2人の即戦力候補にスケールダウン感は残るのだが、投手偏重ドラフトにならず、野球センス抜群の高校生捕手、「映える」大学生遊撃手、快速大学生外野手、器用な大型高校生投手と3位以降で面白い指名を展開してくれた。非常にバランスは良く、減点部分が少ないドラフトになった印象である。逆に言うと名の通った1位~4位までの選手については、アマチュアではスター選手なのだが、プロの世界で自分の特徴を出せるか?という部分に一抹の不安を感じてしまう。日本最高峰のNPBの舞台で埋もれてしまわなければ良いのだが…
それでも今年のドラフト関連の記事で書かせてもらったことがある程度実現したドラフトになったと感じているため、個人的には満足である。
過去記事はこちらから→「2020ヤクルトのドラフト(1)」、「2020ヤクルトのドラフト(2)」、「2020ヤクルトドラフト予想遊び

  1位入札 早川 隆久(早大)左投左打 投手
  外れ1位 鈴木 昭汰(法大)左投左打 投手
外れ外れ1位 木澤 尚文(慶大)右投右打 投手
    2位 山野 太一(東北福祉大)左投左打 投手
    3位 内山 壮真(星稜)右投右打 捕手
    4位 元山 飛優(東北福祉大)右投左打 内野手
    5位 並木 秀尊(獨協大)右投右打 外野手
    6位 嘉手苅 浩太(日本航空石川高)右投右打 投手

  育成1位 下 慎之介(健大高崎高)左投左打 投手
  育成2位 赤羽 由紘(信濃グランセローズ)右投右打 内野手
  育成3位 松井 聖(信濃グランセローズ)右投左打 捕手
  育成4位 丸山 翔太(西日本工大)右投左打 投手

1位は早川、鈴木を抽選で逃し、木澤を指名した。高校時代、大学時代と怪我で苦しみ、最終学年で一気に飛躍した印象の投手である。そのため即戦力を期待するには実績という部分で不安を感じる投手である。しかしストレートの威力、変化球のキレは高いレベルにあり、ハイレベルの慶大投手陣の中で秋季リーグはエース格として活躍してみせた。この4年次の投球に関しては間違いなくドラ1レベルの投球だったように思う。後はコンディショニングとアベレージということになるだろうか?同じ慶大出身の福谷のようにリリーフでも先発でもどちらでも考えることが出来そうな投手である。

2位の山野は、高川学園時代に甲子園で寺島と投げ合った時から好投手だと個人的に注目していた投手である。大学で一段とパワーアップして、勝てる投手に成長してみせた。木澤とは逆に実績はあるのだが、4年次に不安定な投球が続いてしまい、この部分に不安が残る。元々はコントロールが大きく乱れるタイプの投手ではなかったのだが、4年次の乱調が気になると言えば気になる。個人的には外れ1位で選択した鈴木よりも山野を評価していたため、2位で指名されたことに喜びを感じている。

3位の内山は名門星稜高校で1年の春から主軸を担うセンス抜群の捕手である。下級生時はショートを守り、何でもできる選手として高い評価を受けてきた。捕手としても高校トップクラスの力を示し、3位という高い評価での指名となった。サイズがないのが気になるのだが、ボールを捉える感覚、ボールを扱う感覚に優れた選手である。捕手一本で行くのであれば、ロッテの田村のような捕手になってもらいたい。まずは身体作りからスタートである。

4位の元山は思った以上にプロの評価が低かった印象である。元山も内山同様佐久長聖高校時代からセンス抜群の内野手として活躍しており、長野県内ではピカピカに光る世代トップランナーだった。東北福祉大でも遊撃手として結果を残し続けている。総合力の高い選手である。しかしその反面、プロの世界で埋没してしまう危険性も持った選手のようにも感じている。走攻守飛びぬけているものはないが、全て平均以上の力を有している選手だけに打撃面でどの程度レベルアップできるか?という部分がポイントになってきそうである。

5位の並木は、首都2部所属の獨協大学にとんでもない快速選手がいるとの噂が聞こえ始めたのは今年に入ってからだっただろうか?日本ハムで2位指名を受けた五十幡(中大)ほどの知名度はなくても、そのスピードはプロのスカウトの眼に留まるだけのものを持っていた。まだ画像と寸評のみで動画を見たことがないのだが、上位で投手に向かう他なかったチーム事情を考えるとこの順位でスピード系の外野手を獲得できたことは良かったのではないだろうか?

6位の嘉手苅は、北信越地区では名の知れた大型投手である。大型投手でありながら、手先の器用さを併せ持っており、高校生投手としてプロに指名されるだけの最低限のコントロールも持ち合わせている印象である。しかしヤクルトはこの手のタイプの高校生投手の育成が上手い印象がないため、その辺りに不安を感じることも確かである。それでもその大きな身体を器用に操るだけで魅力的な投手である。

育成1位の下は、昨秋の段階で既に高い評価を得ていた投手である。まだまだ線が細く体幹に強さを感じないのだが、身体が出来てきたときにどのような化けるか見てみたい投手である。しなやかな腕の振りは魅力的である。

育成2位の赤羽は、今シーズン急成長した右のハードヒッターである。まだ高卒2年目の20歳という若い選手なのだが、木製バットで長打を量産してみせた。サイズがないため、プロでは中距離ヒッターとして生き残りをかけると思うのだが、今シーズンの成長ぶりは目覚ましいものがあった。楽しみな選手である。

育成3位の松井はフットワークの良い捕手である。おそらく捕手だけでなくユーティリティー枠での獲得ではないだろうか?打撃もセンスを感じる。まずは2軍の便利屋としてアピールしていきたい。

育成4位の丸山は、身長190㎝を超える長身右腕である。一般企業から内定をもらっていながらプロを目指して志望届を出したことがニュースになっていたことを覚えている。まだ動画を見たことがないため、これからチェックしてみたい。

コロナ禍での異例のドラフト会議ということでどのような指名を行うのか読めない部分が例年以上に多かったのですが、本指名に関しては、上位2人は大学生投手を確保しつつ、3位~5位までは野手を指名し、6位で高校生投手というバランス型の指名に落ち着いた。育成ドラフトに関しては、おそらく4位まで指名したことは初めてのことではないだろうか?これまでヤクルトは70人縛りの選手の中で戦ってきたのだが、今ドラフトで育成含めて10名を指名したということは、70人縛りを撤廃する流れなのだろうか?それともシーズン後に多くの選手が戦力外通告を受けるのだろうか?その辺りは少し気になっている。 

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村








コメント

  1. 超匿名 より:

     FIYSさんが書かれている通り、投手偏重にならずバランスのとれた指名という点は同感です。また育成を含めて二桁指名という点も評価できます。しかし最下位を独走するチーム状態で二回もクジに外れたのはどう考えても痛いです。状況を考えれば、残っていた木澤を指名する。二位で早川の代わりに先発候補の左腕に行ったのも戦略的に理解できます。ただ他球団との戦力差が縮まったかという点は懐疑的です。
     二位で残っていた牧に行かなかったので、山田の残留への感触があれば良いのですがどうなのでしょうね。
     田澤はどの球団も指名しませんでしたね。やはり彼を指名するのはリスキーだと判断されましたかね。

  2. タラちゃん より:

    1位入札で外れ外れとなったわけだが、その割に上手い事やったという印象。
    その外れ外れって、
    山田哲人に清水と当たりになる。ラッキーな感じ。
    慶応の木澤は、見た感じ、リリーフ向きに見えるので、万が一石山の楽天移籍?になった場合、昨年ホークスのルーキー甲斐野みたいな起用もありなのかもね?
    正直先発だと球威落ちるのかな?
    その代わりに寺島か梅野あたり先発転向を考えるところかな?

    山野はわからないけど、残っていた左腕で1番良い印象だったのでしょうね。
    ただ何となくコントロールが。っていう感じね。あくまでも印象。

    3位で上武大の古川指名を考えてたらしくここで相当時間かかってはいましたが、その割には「神ドラフト」って言われる指名したと3位~5位は思います。

    3位で星陵の内山。どっちで使う?捕手?ショート?
    4位で残ってたよ元山。
    5位で五十幡よりも速いと言われる並木。と。

    6位、育成でも、
    左腕、右の大砲、左打ち捕手、パワー系投手。

    ほぼ完璧に近い指名できたと思います。

    となると、今後戦力外がどうなっていくのか?育成にする選手も含め、70人枠を撤廃するのか?このあとの注目と、
    エスコバーの処遇でしょうね。
    個人的にはエスコバーは元山獲得できた時点&村上サード固定と1塁手の大砲外国人補強を考えると、リリースで良いと思いますけどね。

  3. JEF九郎 より:

    早川君は残念でした。但し、これはくじ運なのでどうしようもないですね。
    総論としては、個人的にはFIYSさん、タラちゃんさんと全くの同意で、後半(下位指名)で上手く立て直したという印象です。特に皆さんが注目されていた元山君、そして私が熱望していた盗塁の狙える外野手候補(並木君)には期待したいです。あとは木澤くん、彼には私もうちのハズレハズレ1位のゲンの良さを願ってます(笑)

    ※ あと、セの他チームでは、DENAが又々着実に戦力増強をはかった印象です。

  4. sabo より:

    そう私がサニブラウンに勝った男に勝った男の指名と順位を当てた男です(笑)
    並木の名前が呼ばれた時は鳥肌来ましたね。あー楽しかった。


    まず総評の前に自分の反省点。コロナの影響で未知数の高校生への評価が辛くなるという風説を安易に信じたことを猛省しております!!

    2019年 本指名 74人(高35人、大25人、社11人、独3人) 育成 49人
    2020年 本指名 74人(高31人、大31人、社10人、独2人) 育成 33人

    確かに去年と比べて高校生4人減りましたが誤差の範囲と言えるでしょう。また全体も減るという風説もありましたがこちらは74人で完全一致。大雑把な分析ですがコロナの影響で個々のスカウティングの難しさはあれど、ドラフト(編成)にはほぼ影響無し。育成も加えれば増えました。採用止めをしないなんてまさに優良企業ですね。私の考えが足りなかった。


    総評としては120点満点中90点って感じですね
    そもそもチームのウィークポイントを埋めるのに1回のドラフトでは足りないのは分かっていたので今回のドラフト結果には満足だし、チームとしては戦力の偏重過少は依然残っているという具合です

    個々の選手は皆良いと思います。4位までが意外とうまく運んだだけでなく下位指名である5位並木と6位嘉手苅は強みのはっきりした選手なので育ったイメージがしやすい。育成の下も入団に前向きでほっとしたしクジ以外は十分でしょう。

    超久々の二桁指名ということですが、まずはみんな仲良く友達になってもらって、同期の絆を深めた欲しいですね。というのもやはりプロ野球選手も社会人なのですから野球の前に良き大人になってもらいたい。これからの野球人生に友情がきっと助けになると思うんですよね。山野と元山はムードメーカーらしいので上手くいくとよいな

    というのも当てた並木が一番心配なんですよね。性格も大人しいほうと聞くし、相談できる相手を作ってほしい。丸山もほかの選手もそうですが才能が問われる前に躓かずにプロ野球の世界に思う存分挑戦してほしい。

    高津監督のように優しいまなざしで新人を見守ろうと思うのですが、松井聖だけは違う。年齢的に初年度から支配下勝ち取る気でとんでもなくアピールしないといけない。おそらく二軍でのチャンスもそれほどない。全打席ヒットのつもりでいないといけないし。捕手でいこうと思ってるだろうけど球団的には便利屋を求めてるだろうから守備も捕手でいけるアピールしないとならない。一軍でマスクを被るのが目標ならユーティリティ選手になっちゃいけないと思う。あくまでも捕手にこだわってほしい

    是非、松井と松本友が一軍スタメンで出るのを期待してる

  5. パイン より:

    外れ外れですから満点というわけにいきませんが、評価は低くないようですね。
    木澤については、外れ外れで12番目になってしまいましたが、かつて西村もそうでしたからね。残っていてくれてラッキーということも。小川、石山の動向によって起用法なども変わるでしょうか。まずはケガをしないでいただきたい。木澤と山野に共通するのはクレバーであることかと思います。石川がピッチングのお手本といわれますが、本当に手本に出来るのは山野のような投手だろうと思います。3位以降はセンタ-ラインの立て直し。内山を捕手とみれば3年ごと3位高校生が機能してますかね。それなら来季は松本、古賀の起用が増えるはずです。松本は山川に替えて獲得したと考えられ、現状捕手は時間をかけて育成していく方針と思われます。4位元山はすぐにも使われそう。ショートは守備型がいいですが、今のチーム状態では守るだけでは厳しく、小川より元山とは思っていました。しかし、ここまで残っていたのはレギュラーとしては弱いと判断されたのかもしれませんので、打撃の壁を越えて、どんな選手になれるか注目です。5位並木は本当に走れる選手が欲しかったので期待は大です。6位の嘉手苅は大型投手ですが、今年は大型選手の指名が多く、ちょっとした流行になっているでしょうか。楽しみです。先日の指名したいランキングの記事からはヤクルトの5位までが上位に、しかも指名順通りに収まっていて、さすがと思いました。ヤクルトにしては珍しくエッジのきいた指名になり、育成も4人を指名して努力の跡が窺えます。今後、もし内山にも内野の可能性があるようだと、廣岡、宮本は本格的に外野コンバートとなるでしょうか。ポスト山田の動向からも目が離せませんね。

  6. マッツー より:

    ドラフト全体の印象としては皆さんとほぼ同意見です。クジを2回外した割にはよく立て直してくれたと思います。
    個人的に、元山が4位まで残っていたことが衝撃的でした。大卒ナンバーワンショートとも言われていましたから取るなら2位かと思っていました。時の運が良かったからと信じたいですが、何かアクシデントが起こったのでは無いかと勘ぐってしまいます…
    木澤山野両選手には即戦力として先発リリーフ問わず活躍を期待します。元山選手は選球眼が良いらしいので開幕スタメンもあるかも?並木選手にはまずは走塁盗塁のスペシャリストを目指して欲しいです。内山選手は将来、奥川選手との星稜バッテリーを期待!
    総論としては未来への希望とウィークポイントの補強を両立できた、非常に満足できるドラフトだったと思います。

  7. FIYS より:

    超匿名さんへ

    早川を逃したことは間違いなく痛いです。現巨人の藤岡以来の完成度の高いサウスポーという印象でしたから、10年に1人の逸材ということになるのではないでしょうか(藤岡は結果を残せていませんが…)?
    田澤は年齢と独立リーグでのスタッツ、指名拒否のリスクなどを考えるとどの球団も指名を躊躇しましたかね?

  8. FIYS より:

    タラちゃんさんへ

    木澤は即戦力として考えるのであればリリーフかな?と思いますが、どういう起用法になりますかね?

    山野は本来コントロールの悪い投手ではないはずなのですが、4年次の乱調が少し引っ掛かるのですよね。

    バランス的には良い指名でしたよね。

  9. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    並木は大学時代の比屋根が比較対象ですかね?比屋根は社会人を経ての指名となりましたが。比屋根はスタメンで結果を残したじきもありましたが、並木はどうでしょうね?まずは足のスペシャリストを目指してもらいたい選手ですよね。

  10. FIYS より:

    saboさんへ

    「5位並木」お見事です。

    1位~4位がネームバリューのある選手、5位、6位が特徴がはっきりしている選手ということで私もドラフト時点では喜べるドラフトになったかと思っています。

  11. FIYS より:

    パインさんへ

    私は木澤の投球をしっかり見たことがないのですが、クレバーだと感じるような投手ということであれば期待値は高くなります。楽しみです。

    内山はどう育てますかね?捕手として鍛えまくりますかね?ロッテの田村がよいモデルケースになるかと思います。阪神の上本のように内野手で育てるのも手ですが、上本に比べてスピードに欠けるのが気になりますね。

    元山は、京田が2位指名だったことを思うと3位、4位くらいまで残る可能性はあるかな?と感じてはいました。京田は守備とスピードという目に見えた武器がありましたからね?元山は良くまとまっていますが、現時点でプロで通用する明確な武器が見え辛いのかもしれません。

  12. FIYS より:

    マッツーさんへ

    早川は逃したのは痛いですが、バランスは良かったですよね。チーム状況から投手偏重ドラフトになることも仕方ないのかな?という思いを持っていたのですが、バランス型の指名に落ち着きましたね。私も満足感のあるドラフトとなりました。

タイトルとURLをコピーしました