金久保好投

ヤクルト３－３広島（延長10回）

プロ初先発となった金久保が5回無失点と好投した。消化試合ということで参考記録的な部分もあるのだが、それでも1軍の公式戦でこれだけの投球が出来たことを自信に変えてもらいたい。

金久保は高卒3年目の20歳の右腕である。高校時代からそのしなやかな腕の振りから投げ込まれるキレの良いボールで注目を集めていた。プロ入り後はプロ1年目に右ひじの手術を経験するなど順風満帆とは言えなかったのだが、それでも3年目のこの時期に1軍で登板し、結果を残せたということで、悪くないペースで成長してきていると感じる。高校時代に比べて身体の厚みが増し、プロ野球選手らしい体格になってきた。
ストレートとスライダーを軸に投球を組み立てるのが今現在の金久保の投球スタイルのようだが、スライダーに関しては、右バッターにも左バッターにも関係なく自信を持って投げ込んでいる姿があった。困ったときに頼れるボールがあるということは良いことである。キレ、コントロールともに1軍で通用するだけのボールだった。
5回で77球を投げ、被安打1、与四死球3の無失点と広島打線に得点を与えず、奪った三振も６つという見事な数字が並んでいる。今シーズンもう1回くらい投げるチャンスがあるかもしれないのだが、来シーズン以降を考えた時に楽しみな投手が出てきたと感じることが出来た。今年のドラフトでは木澤、山野という大学生投手を2人指名しているのだが、学年的には1学年下になる金久保にも負けじと頑張ってもらいたい。

消化試合とは言え、金久保が勝ち投手の権利を持って、降板していただけにリリーフ陣には何とか粘ってもらって、金久保にプロ初白星をプレゼントしたかったのだが、この日は7回に登板した清水が曾澤にタイムリー2ベース、長野に2ランホームランを浴びてしまい、あっという間に同点に追いつかれてしまった。今シーズン飛躍を遂げ、セットアッパーとして活躍した清水を責めたくはないのだが、長野のホームランに関しては、甘く入った変化球を捉えられてしまった。長野の得意なコースにボールが浮いてしまった印象である。防がなければならない一発だった。
高津監督は今シーズンかなり慎重にリリーフ投手の運用を行っていたのだが、それでもシーズン通してブルペンを支えるということは難しいことだと改めて感じるゲームとなった。

打線は初回に塩見の3ベースからの4連打など5安打を集中させて、広島先発の薮田から3点を奪ってみせた。見事な集中打だったのだが、結局この試合の得点はこの3得点のみに終わってしまった。この辺りがいかにも最下位に沈むチームである。
ヤクルトファンの数少ない楽しみである村上のタイトル争いに関しては、この日は1安打1打点ということで打点王、ホームラン王のタイトルは射程圏内に入っている。残り10試合のうちホームラン、打点のタイトルを争う岡本が所属する巨人との試合が5試合残っているのだが、両チームベンチはどういう判断を下すだろうか？個人的には敬遠合戦は見たくないのだが、完全な消化試合になる可能性が高いだけに、そういった展開もあり得そうである。

P．S　塩見はオープン戦のように活き活きとプレーしていますね。公式記録には残るのですが、やはり消化試合であるため個人的には参考記録程度の扱いで捉えたいと思っています。来シーズンは開幕から躍動感のあるプレーを見せてもらいたいですね。


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