柔道男子66キロ級の東京五輪代表決定戦が13日、東京・講道館で無観客で行われ、2017、18年世界王者の阿部一二三(23)=パーク24=が制した。19年世界王者の丸山城志郎(27)=ミキハウス=との日本柔道史上初のワンマッチによる代表決定戦に勝利した。お互いに決め手に欠けて、勝負はゴールデンスコアによる延長戦に持ち込まれ、阿部が大内刈りでの技ありで約24分の激闘を制し、初めての五輪出場を確実にした。
(スポーツ報知引用)
コロナ禍により代表決定戦が延期となり、最終的には無観客での異例のワンマッチとなった柔道男子66キロ級の五輪代表決定戦は、今年1年の日本スポーツ界全体を振り返った中でも非常にハイレベルな勝負となった。
新旧世界王者同士の戦いではあるのだが、年齢的には19年の世界柔道王者の丸山の方が上であり、17年、18年の世界柔道王者の阿部は年下である。
阿部に関しては、高校時代からその名を柔道界に轟かせており、正直リオオリンピックに関しても選考方法が違えば、阿部が代表になっていてもおかしくないよう実力だった。若き天才柔道家の登場にスター誕生の瞬間を目撃した気持ちになったし、東京オリンピックの主役候補の1人として名前が挙がる存在となっていた。私は普段から柔道を観戦しているファンではないため、このまま阿部が東京オリンピックまで突っ走るものだと疑わなかった。
しかしその阿部に待ったをかけたのは年上の丸山だった。丸山も若くしてその実力を評価されていた柔道家だったようだが、阿部が放つあまりに強烈な光の前に存在が霞んでいた。しかし怪我から復帰した丸山は実力で阿部の快進撃にストップをかけてみせた。19年の世界柔道で丸山が金メダルを獲得してからは完全に立場が入れ替わった印象があった。あれだけ強烈な光を放っていた阿部の光が霞み始めるという逆転現象を生んだのは紛れもなく丸山自身の実力からだった。
しかし最後の最後で踏みとどまったのは阿部だった。追い込まれた昨年11月のGS大阪で丸山に勝利し、丸山の五輪内定を阻止すると今年2月のGSデュッセルドルフ大会でも優勝し、選考レースを五分に戻していた。そんな過程も含めて男子66キロ級の代表選考レースは注目されていたのだが、コロナ禍による大会の中止、オリンピックの延期もあり、12月13日のワンマッチ決戦となった。
異例の代表決定戦、しかも無観客での一発勝負ということで普段の大会とはまた違った緊張感に包まれた中での試合となった。両者の心技体は充実しており、延長戦を含めた24分という長丁場の激闘はひりひりするような場面の連続だった。最後は阿部が大内刈りで技ありを獲り、勝利したのだが、実力が拮抗した中での稀に見る激闘だった。テレビ中継をしていたテレビ東京の放送時間内に収まらないというハプニングもあったのだが、そんなエピソード含めて後々伝説と呼ばれるような試合になるのではないだろうか?
来年東京オリンピックが開催されるかどうかは現段階では不透明なのだが、この日の阿部VS丸山は今年の世界一を決める舞台でもあった。異例の環境での世界一決定戦。スポーツ観戦が趣味の私にとっては非常に興味をそそられる一戦だった。勝った阿部にはもちろん、負けた丸山にも「あっぱれ」と言いたくなるような激闘だった。
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