男子100m決勝は、山縣亮太(セイコー)が9秒95(+2.0)の日本新をマークした。
サニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が2019年に出した日本記録9秒97を0.02秒更新。自身初の9秒台突入から、一気に初の日本記録保持者となった。日本人の9秒台は史上4人目。
(月刊陸上競技参照)
若くして日本のトップランナーとなった山縣は、桐生と共に日本人初の9秒台が期待されるランナーとして注目を浴びてきた。山縣の凄さはそのコンスタントさにある。陸上100mというごまかしの利かない種目で常に安定感のある走りを見せてきた。オリンピックなどの大舞台でも好タイムを連発する姿を見て、強さと速さを兼ね備えた再現性の高いランナーだと感じていた。しかし後僅かの所で9秒台には届かず、桐生、サニブラウン、小池に先を越される形となってしまった。
また山縣自身も体調不良や怪我が重なり、「東京オリンピック」という意味では、他のランナーに半歩遅れを取るような格好となっていた。今回のレースはまずは、オリンピックの参加標準記録を破ることが大テーマとしてあったと思うのだが、予選で参加標準記録を突破すると決勝では追い風+2.0mという条件にも恵まれ、自身初の9秒台を9秒95という日本新記録で達成してみせた。個人の勝手な見解なのだが、潜在能力という意味では、サニブラウンや桐生の方が上なのかな?と感じるのだが、この山縣はとにかく自分の力をどんな舞台でもしっかり発揮する能力に優れていると感じる。先程は再現性という言葉を使わせてもらったのだが、100mを走るテクニックやメカニックという部分での再現性、本番に合わせる調整力、どんな相手が周りにいても自分の走りに集中できるメンタルの強さと短距離ランナーに求められる多くの能力を高い次元で発揮できるランナーである。
オリンピックの参加標準記録を突破していなかったため、他のオリンピック候補選手に比べて、早めにピークを作る必要性があったからこその日本新記録だった可能性もあるのだが、山縣くらいの経験値があるランナーであれば、日本選手権にもしっかり状態を仕上げてきてくれそうである。サニブラウン、桐生、小池、ケンブリッジ、多田辺りとの戦いは今回も熾烈を極めそうである。1年延びたオリンピックイヤーでこのタイムを叩き出す山縣亮太は、やはり日本を代表するトップスプリンターである。
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