カール・ルイスVSベン・ジョンソン

オリンピック

思い出ショートショート⑤

88年のソウルオリンピックは私が初めて見たオリンピックである。男子100mのカール・ルイスVSベン・ジョンソンの対決は当時かなり大きく報道されていた記憶が残っている。私はまだ小学生にもなっていない年齢だったのだが、「カール・ルイス」、「ベン・ジョンソン」という名前はすぐに覚えることが出来た。おそらく周りの同年齢の友達もこの2人の名前はすぐに覚えたのではないだろうか?もちろん名前が覚えやすかったからという理由もあるのだが、ベン・ジョンソンのドーピング違反での失格という結果が非常に大きな波紋を呼んだことが最大の要因である。
ベン・ジョンソンがこの時記録した9秒79という記録は当時の世界記録であり、その後も長らく破られることはなかった(もちろんドーピング違反を犯しているため公式記録としては残っていないが…)。スタートから飛び出し、当時すでにスーパースターだったカール・ルイスを圧倒した走りはインパクト抜群だった。それだけにドーピング違反での失格という結果はかなり衝撃的だった。当時私はベン・ジョンソンという選手は「悪人」というように刷り込まれてしまっていた。そういった空気感の報道が多かったのかもしれない。ルールを守って正々堂々と戦った「善人」カール・ルイスとズルをして勝とうとした「悪人」ベン・ジョンソンという構図が出来上がっていた。ベン・ジョンソンは当時から「ドーピングは私だけでなくみんな行っていた。」というような主張を繰り返していた記憶があるが、子ども心に「何てずるくて、悪い人なのだろう。」という感想を持っていた。
しかし大人になって様々な情報を目にする機会も増えるたびに「ベン・ジョンソンの言っていることももしかしたら真実味のある話なのかもしれない。」という気持ちも持ち始めている。30年以上経った出来事を蒸し返してもいけないのだが、カール・ルイスとベン・ジョンソンの明暗があまりにくっきりしてしまったことへの違和感を持っている識者の方もいるのではないか?と想像する部分もある。当時の陸上界に蔓延していたと思われるドーピング問題の真実は果たしてどこにあるのだろうか?

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